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第四話 妻との出会い
当時、ダンジョンはほとんど探索が進んでなくてな。低階層でも中々に強い魔物が出てきたんだ。それゆえに、あまり人がいなくて、ダンジョンの中でけがをしても、助けてくれる人がいなくて命を落とす輩が多かったんだ」
「なるほど、じゃあ、おじいちゃんはけがを負って動けないおばあちゃんを助けたってわけだね」
うむうむ、自分に似て鋭いなと思いながら、言葉を続けた。
「いや、そうではないんだ。あいつが魔物にやられて、けがを負うように見えるか。あいつは魔物の動きを封じるために自分で仕掛けた罠に引っかかってたんだ。そこを助けた、ということなんだよな。全くドジだよなー」
この話をするときは、いつも笑いがこみ上げてくる。そう話を続けようとしたところ、玄孫は私のもとから離れていった。自分で聞きたいといったのに、勝手にどっかにいくとは何事だと思っていると後ろから声がかかった。
その声とともに、私が意識を手放したのだった。
妻よ、後ろから魔法を放つのはお願いだからやめてくれ。