誓い
「お前が死ねば俺の目的は達成されない。」
『あなたが死ねば私も生きていけない。』
だから「俺がお前を」、『私があなたを』、「『死なせない。」』
冬、人気もなく雪がシンシンと降り積もる深夜、廃墟と化した建物のなかで一本の刀が振り下ろされた。その部屋の壁や窓、天井にも血が飛び散り床には赤い血の水溜りができていた。
この部屋の中には数人いたが今は血まみれとなり地面に横たわり屍となっている。生き残っているのはただ二人、一人は血まみれの刀を持って屍の上に立ち、もう一人は刀で斬られ屍となった者の前で壁を背に地面に座って震えている。
なにがどうなったのか全然わからなかった。
薄暗闇の中でひとつの人影が動き、バタバタと音がして気がつくと目の前で人が血を流して死んでいた。何が起こったのか全くわからなく、ただとても怖くて周りを見ることができずうずくまっていると上から視線を感じた。
恐る恐る顔を上げると自分を見ている男と視線がぶつかった。
目が合った瞬間、「殺される」、「ここで死ぬ」と、唐突に理解できてしまった。それほどまでにその場に立って自分を見下ろしている男の目はとても恐ろしく、そしてとても冷たい目をしていた。
目を逸らしたくても逸らした瞬間斬り殺されてしまうんじゃないかという恐怖が身体を締めつけ、目を逸らせず身体を震わしながらその男の目を見ていると、男は聞き取れるかどうかの声で一言喋った。
「・・・・・・・・・だ。」
「えっ なんて・・・」
その言葉を聞き取ることができず、なんて言ったか考える時間もなく
男は喋り終わったと同時に、左手に持っている血のついた刀を振り上げ躊躇うことなくそのまま自分に向けて振り下ろした。