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女性エンジニアと工具たち

作者: chikiny

ツイッターの方でリクエストをいただきましたので2作目書いてみました。

擬人化表現が含まれますので苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

「ふぅ・・・」


部屋の暑さに耐えかねて作業着の胸元を少し緩める。

前の仕事が終わった段階で着替えに行っておけばよかった、と少し後悔しつつ作業を再開する。


「あれ・・・?」


ねじ山が潰れていてこのドライバーでは回らないようだ。

今回は突発的な仕事だったから貫通ドライバ持ってきてないや・・・


「さてどうしようか?」

「うぅ・・・お役に立てずにすみません・・・」


プラスドライバーが「融通の聞かない私なんて・・・」などと自虐に陥っているのを慰めつつ方法を考える。


「そんなときこそわたしのでばん!」

「・・・そこうるさい」


ここぞとばかりにマイナスドライバーが自己主張をしてきた。

最近全く使っていないからきっと活躍の場が欲しいに違いない。


「でもでも〜!ほら、まだよこのみぞはいきてるからわたしだったらいけるって!」


確かに中心部分は潰れてしまっているが端っこの方はまだ潰れていない。

約束の時間まではあまり余裕が無いしやってみよう。


「よっしゃ!じゃあいくよー!」

「張り切りすぎてこれ以上ねじ山潰さないでよ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


無事ねじ山の潰れたネジも外れたので作業を続行する。

中を見て動作不良を起こしている原因を探る。


「ああ、これが原因か」


内部をチェックしたところバネが一つ外れてしまっていた。

これを付け直せば元通りに動くだろう。

よし完了。


「さて、じゃあ元通りに組み立てますかね」

「ネジしめもわたしにまかせろー!」

「新しいネジで締め直すから必要ない」

「なん・・・だと・・・?」


そんな漫才をしつつプラスドライバーを手に取る。


「私のせいでねじ山舐めちゃったらどうしよう・・・そしたら私なんて・・・」


・・・なぜこの子はこんなに悲観的なのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「本当に有難うね!」

「お礼はいいですから早く戻ってあげてください。娘さん帰ってきちゃいますよ?」

「はっ!そうだった!それじゃあほんとありがとうね!」


ブンブンと手を振りながら女性が家に戻っていく。

ああいつまでもこっちに手を振りながら歩いてると・・・


「ふぎゃ!」


・・・やっぱりぶつかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、それじゃあ帰りますか」


仕事場隣に住んでる奥さんに

「娘が戻ってくるまでに娘のおもちゃを直して!」

と言われた時にはどうなるかと思ったけれど何とかなってよかった。

というかあの人はいい加減娘に新しいおもちゃを買うたびに自分がその玩具を弄り倒すのをやめたほうがいいと思う。

5割くらいの確率で壊すんだから・・・

確かに見た目的には幼い感じの人なのでそこまで違和感もないけれど。

むしろ何をすればその若さを保てるのかと小一時間(ry


「ますたー、めがこわいよ?」


む、いかんいかん。

って・・・


「なんで君は工具箱からでてフツーに隣歩いてるのかな?」

「ますたーといっしょにいたいから?」


いたいからだけで人化して横歩き始めるのは君だけだと思う。


「ところでますたー」

「何?」

「こんかいのおしごとってえんじにあのしごとじゃないよね?」

「お客さんの笑顔がもらえたんだからそれでいいんだよ」

「そっかー」

「素晴らしい心構えです、さすがマスターです」


・・・いつのまにか一人増えてるし

まあいいか、今日はこの子たちも頑張ってくれたし報酬にもらったケーキを3人で食べるとしよう。

他の子達が羨ましがって出てきそうだけど・・・


3人並んで歩く夕暮れ時の道は、とても和やかだった。

いかがでしたでしょうか?

感想・ご意見・小説のネタなどなどお待ちしております!

ツイッターもやっておりますのでもし興味がありましたら作者名で検索をかけてください。

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