握る手には……
こんなにもこんなにもこんなにもこんなにも闇の中を生きているなんて気づいた頃には、半身を失っていた……
―――ファンタジーフェイク―
¨いつものように、薪わりを終えた僕は、父さんが病床についている部屋に行った。
二ヶ月前は、元気だったのに……父親の笑顔は、今では、すっかり痩せこけてしまった。
¨父親の病名は、知らないが…母親を見るかぎり…かなりひどいようだ。
¨
「父さん調子どう?」
いつも僕を見守ってくれている窓のカーテンが悲しく揺れている。
「息子か…調子いいよありがとナ心配してくれて…いい息子を持ちましたよ神さま私は……」
¨
「父さん今日は、いい天気ですよ……お母さんは、パイを焼いています…」
お父さんは、そうかそうかと僕の手を握るとゆっくり手をさすった。¨父親は、昔戦争で、沢山の人を殺したと良く僕に悲しい顔して言っていた…時代は流れていくがこの手に残るあの時の重みは、一生消えないと………僕に命の大切さを語る父親は、いつも影のある笑顔だった。
¨
「父さん昔の話しを聞かしてくれませんか?」
¨父さんは、少し起き上がり枕によりかかると…語り出した。
「昔戦争中にね恐ろしい悪魔が私に語りかけてきたんだよ…」
「悪魔ですか…?」
¨僕は、少しおかしくなってしまったのかと不安になってきた……
¨
「お父さんがね…敵の兵隊に捕まってしまって今に殺されそうな時だった…急に全てが止まったそう時間もだょ…恐ろしい顔した悪魔が問いかけてきたんだ…」
¨語る父親は、恐怖からか殺気だった顔で初めて見るそんな表情に少し僕も背筋に走るものがあった。
「どんな問いだったんですか…?」
¨
「悪魔は、生きたいなら我の問いに答えよと…その問いは、仲間の兵隊の全ての命と引換に15年間の生をやるさぁどうすると…」
¨僕は、父親が病気でおかしくなり少し悲しくなってきた…
¨
「なんて答えたんですか?」
¨
「生きたいと…」 父親は、それ以上何も言わず…寝てしまった。
それから3日後父さんは、死んだ…その日は、父親がたった一人戦地から帰ってきた15年目の冬だった。
¨それから全てがおかしくなった…母は、男を連れ込み父さんが病床についていた部屋で知らない男と毎晩密会を行なっている………
¨父さん僕は、おかしくなりそうです…父親の肖像画に僕は問いかけた…
¨きっと悪魔は近くにいるんですね…僕は、ナイフを握りしめ二階につながる階段に足をかけた……
¨僕はきずいた頃には半身を失っていたんだ…
¨階段の段をあがるたびにギシギシおとがなる…その時だ、僕は足を滑らせた無重力に堅い床に頭を叩きつけられた。
¨もうなにもない見あたらい大切なものが…いつからだろう…遠のく意識のなか恐ろしい悪魔が語りかけてきた…
¨
「問いに答えよこの洋館にある命と引換に一生この洋館となり生きながらえるか…さぁどうする?」
僕遠のく意識のなかで一言
「生きたい」と言った
¨体は、父親の肖像画に引き込まれて行き二階から叫び声が聞こえてきた…そして僕は意識を失った……