第五話(加筆版)
2012 6/11 誤字脱字、及び提案による修正を行いました。
謎の、いや、ありえる未来の一つを夢見てから次の日。ヴラドは心の底に溜まるもやもやとした澱を吐き出す為にも、助けた幼児と外に来ていた。
巨木の中は薄暗く、どうしても思考はネガティブになりがちだ。樹海ではなく、樹海と繋がる形で、あるいは囲むように存在している大草原。
その樹海との境界線に今エルとヴラドは来ている。暖かな……いや、少し熱すぎる陽射しの中でヴラドは同じ言葉を繰り返していた。
『ヴラドだ。ヴラド=ツェペシュ』
「う゛ぁお?」
『ヴ ラ ド』
「う゛ぁど」
『……そうだな。それじゃあ、パパなら言えるか』
「ぱーぱ?」
歳を考えれば言葉くらいそれなりに発音できそうなのだが、どうもその辺を学んではいないらしい。
そもそもからして樹海にどうやって来たのか、あるいは誰かが置いていったのかも不明だ。有している知識の出所も分からなかった。
見た目は三歳児くらいだが、もしかしたら違うのかもしれない。それこそ、見た目はこれでも生まれたばかりという可能性もあるのではないか。
なにせこの世界は既に地球ではないと確信しているほど、中々に奇抜な生物が跋扈している。
人型の生き物とは言え、赤子の姿で生まれるとは限らない。実はその年齢で突如あの場に現れました、そう言われても今のヴラドなら信じられるだろう。
そんな風にヴラドは“日本語”を教えながら考えていた。
『そうだ。パパだ。私のことだよ』
「んっ、ぱぱ!」
『ああ、パパだ』
「ぱーぱ! ぱぱ? ぱぱ! ぱ、ぱ、ぱっぱ!」
言葉そのものはしっかり理解することが出来ている。知識面では逆に歳に似合わないものがあるのだから、やはり生まれたばかりというのは変だろうか。
そう思うものの、それにしてはどうもこの娘はあまりに邪気がない。子供は得てしてそうだが、それでもこの世界の仮にも一生態系に属する生物であるというのにだ。
まるで生まれたてのようだと思ってしまうのは、ヴラドの色眼鏡であるのだろうか。
ぱぱと、まだ発音は間延びしたりとぎこちないが、それでもその何が気に入ったのか「ぱぱ」と連呼する姿は愛らしく、ヴラドに表情があればきっとだらしなく緩みきっていたことだろう。
ヴラドが次の言葉を伝えようとすると、その気配を察知したのか、騒がしかったのが嘘のように、何か期待するような瞳でヴラドを黙って見詰めてくる。
空気を読めて聡い。しかも中々に知識欲に溢れているときた。彼の世界で英才教育を施せば、どれほどの高みへと至れただろうか――そんな埒のない事を考えつつ口を開く。
『エルジェーベト』
「えるじぁーえと?」
『駄目か。それじゃあ、エルなら言えるか?』
「える!」
『そうだ、エル。君の名前だ。エルジェーベトのエル』
「……え、る……える――――えるッ!! ぱぱ! える! えるじゃーえと! う゛ぁど! える!」
ぶつぶつ何か呟いては俯いていたエルが、暫くすると幼子特有のぷっくりとした饅頭のような頬を目一杯笑みに変え、先程より更に嬉しそうに己の名前とヴラドの名前を繰り返し口にする。
その紅葉のような小さな手でヴラドを指し、その名を呼び、今度は自身を指して名を呼ぶ。この瞬間、エルの存在は“エルジェーベト”として確立されたのだ。
そんなはしゃぐエルの声に反応して何か危険生物がこないか、一応気を配っているが、その様子もない。
本当ならこの世界に言語があるのならば、そちらを教えたかったのだが、ヴラドは残念ながら英語に日本語、それにロシア語を少ししか学んでいなかった。
思念を明確な言葉化するのに手間取ったが、慣れれば中々便利である。今も嬉しそうに声が枯れるまで名を叫ぶエルの姿を見れば、例えこの世界には存在しない言語だとしても、教えることはきっと間違いではないと、少なくともヴラドは心より思っていた………
その夜、ヴラドは奇妙な夢を見る。いや、それは夢と言う程のものではないのかもしれない。
例えるならば、周波数の微妙に噛み合わないラジオを延々と聴かされる夢とでも言おうか。それだけなら一種の悪夢とも呼べるのかもしれないが、実はこの夢、既に三度目であった。
しかも聴こえてくる内容はほんの少しずつだが鮮明となってきている。それでも精々が音程度にしか判別出来ないのだが、悪意のようなものは一切感じられなかった。
感覚として訴えに近いだろうか。あるいは何か語りかけようとしているのかもしれなしい、助けを求めているようにも思える。
この夢の間、ヴラドは夢を見ていると自覚は出来るが、音を聴く以外には何をする事も出来なかった。
自由のない明晰夢と言ったところかもしれない。やがて、それも終わりが来る。大体夢の中での感覚で一時間もしない内にその奇妙な夢は終わり、目覚めるか別の夢へとシフトしていく。
同じ夢は何か意味を持つとかよく言うが、この世界でなら本当にそれもあるかもしれないと、感じる覚醒の中でヴラドは心に留めて置く事にした…………
『美味しいか?』
「(こくこく)」
ヴラドが樹海で仕留めて来た体長ニメートル程の単独行動を好む、ハスキー犬に近い容姿をした大型のイヌ科生物。
その首筋に吸い付き、流れ出る血をとろんっとした瞳で夢中に啜っていたエルが、ヴラドの言葉に首だけを上下させる。
まだ上手く飲む事が出来ないため、見る見るうちに草色のワンピースは血に染まり、頬や髪の毛、それに口の周りがべったりと血糊で汚れていく。
何とも言えない濃い血臭が漂い始めた。それを嗅ぎながらふと、己もすっかりその臭いに慣れてしまっていると感じ、良い意味でも悪い意味でも順応していると内心で苦笑を零す。
生前、確かにそれなりに血を見る機会は多かったが、ここまで日常的でもなかったし、無感動でもなかった筈である。それが人間ではない、としてもだ。
血の臭いに誘われて小物が現れるが近寄っては来ない。エルに名を付けてから今日で既に一ヶ月、ヴラドだって安穏と過ごしてはいない。
名を決める時に見た不気味な夢を振り払うため、そして近くに居て長いこと“エル”への衝動を感じない為にも積極的に“捕食”を行っていた。
幸い当初より衝動に慣れてきたお陰で、一日中でもくっ付いていない限り今のところ耐えられる範囲である。
夢のように、成長を止めてはいずれ本当に衝動に屈しかねない。それだけは何としてでも阻止しなければならなかった。
ゲルの面積は一ヶ月前に比べても一回り程度の成長しかしていないが、強化された能力は中々に凶悪だ。
塩基も酸も強力な一撃と化し、あえて肉体の一部を切り飛ばし、高濃度のそれらを対象にぶちまける一撃は非常に恐ろしいと言えよう。
惜しむらくは、この世界の生物の多くが大なり小なり様々な耐性を有している事だが、一撃が強力となればそれすらも無いのと同然となるだろう。
硬質化に関しても短い時間であれば、肉体の五割以上を岩石並みに硬くすることが可能だ。
他にも内部で様々なものを生成したり可能だ。このままいけば、ゲル以外にも肉体を変化させる事が出来るかもしれない。
『もういいのか?』
「もう、おなかいっぱい。ごちそうさまでした」
『よし、それじゃあ身体を洗わなければいけないな。何時もの所に行こう』
「はい、ぱぱ!」
口の周りをべったり血で汚す姿はかなり猟奇的なのだが、声音もほがらかな笑みも、雰囲気もそんな言葉とは真逆であり下手すればその赤すら血に見えないほどだ。
と言うのは流石にヴラドの親としての欲目かもしれないが……
「はやく! はやく、ぱぱ!」と先を急かすエルを横目に、“フォレストウォルフ”を触腕で絡め取り、そのまま肉体で包み込む。
自身の色を黒に変え、『浅い場所とはいえ、何が出るか分からない。私から離れてはいけないぞエル』などと親馬鹿な思念を伝えつつ、ヴラドとエルは樹海の奥、“小川”の流れる場所に向かっていく。
その小川も、草原の方にいくと一級河川並みの川へと繋がっており、そのまま遥か遠くの地まで流れは続いている。
住処の巨木から樹海の深部の方面へと進むこと二十分、ヴラドとエルの視界に横幅三メートル程度の、流れの緩やかな川が姿を現した。
本当なら沸かして何か風呂でも用意すればいいのだが、流石にそれは今のところ難しいと言わざるをえず、エルの汚れを落とす時はこうしてこの川に来ていた。
『深い場所には注意するのだぞ』
「んっ、わかってる。でも、ぱぱがたすけてくれるんだよね?」
『あまり期待はしないでくれ』
確かにエルの事は全力で守るが、それでも敵わない相手が出れば絶対とは言い切れない。
「ほら、早く服を脱いで綺麗にしてくるといい。水浴びは嫌いではないだろう」
「はーい!」
威勢のよい返事と共に、ぽぽいっとワンピースを脱ぎ散らかし、オムツに近い柔らかな繊維で出来た下着も脱ぎ捨て川に走り寄っていくエル。
その姿は年相応の無邪気さに溢れ微笑ましい。エルは水浴びが好きだ。特に今は完全に夏も真っ盛りの時期であり、殊更に気持ちが良いことだろう。
ヴラドは程近い場所、一際大きな岩の上で周囲を警戒しつつエルの姿を眺める。乾いてこびり付いた血は流れ、その真っ白な肌が目に眩しい。
最近は真夏の中でも更に猛暑と言える日々が続き、その冷たい水が気持ち良いのか、エルの口からはきゃっきゃっきゃっきゃっと楽しそうな声が零れだしている。
暫くじゃばじゃばと水を手に掬ったり、水面をその小さな足で蹴っては遊んだ後、ようやく同じく植物繊維で出来たタオルで肌を擦る作業に移ったようであった。
あまり強くする必要はないと教えてあるが、どうもその白い肌が赤くなってないかと凝視してしまうのは、やはりヴラドに親馬鹿の気質があるせいだろうか。
ふと、人ならざる者となってから、生前より遥かに鋭敏となった気配察知の感覚に何か中型の生物がこちらに近づいてきていると引っかかる。
流石に大まかすぎて大きさも大体しか分からないがそれでも一メートル以上、五メートル以下。
距離もここから百メートルも離れていない。明確な意思でヴラド達。いや、エルに向かってきているのは間違いなかった。
口はないが、内心で溜息を零す。このようなことは初めてではない、だからこれからヴラドが取る行動もよくある内容に過ぎない。
楽しそうに水浴びをするエルに声を掛けるか迷う。相手はそう強力な種でもないよ思われるが、それでも時間を食う可能性はある。
ヴラドが居ないと知れば、聡い子ではあるが、それでもどんな行動を取るか完全には読めない。それなら一言声を掛けておくかと口を開いた。
『エル! 私は少しだけここを離れる、戻ってくるまでしっかり待っているんだぞ!』
「はーい、いってらっしゃいぱぱ!」
特に疑問に思った風もなく、エルは川原で片手を振り元気よくヴラドに返事を返す。それを耳にした後、岩からするりと滑るように落ち、そのまま移動を開始する。
ヴラドが上流の方に数十メートル進み、更に擬態で姿と匂いを誤魔化し草木に紛れるのと同時。
ガサガサと音を立て、鬱蒼と生い茂る木々と草葉の合間からそれは姿を見せた。その全体的なフォルムを端的に表せば“蟻”だろうか。
身体を下腹部含めてプロテクターのような厚い褐色の甲殻が覆い、それ以外の部分も硬質的な皮膚に守られている。
顎は通常の蟻と同じ形だが、大きさに伴いその威力は比べるまでもなく致命的だ。
前に見た時は、別の昆虫型生物の甲殻を一撃で破砕していた。ヴラドのぷにゅぷにゅゼリーな肉体では、豆腐を切るようにすっぱりと切断されてしまうだろう。
肉体を断ち切られる程度、怪我にすらならないが、そのまま核を切断されてしまえばその時点で終了である。それゆえにあまり楽観視も出来ない。
ヴラドは今も目の前を通ろうとしているこの種を“フォレストアント”と呼んでいるのだが、目の前の種はその中でも恐らくは“親衛隊”と呼ばれる固体だ。
通常のフォレストアントの大きさは二メートル未満。それが目の前の固体は優に三メートルを超えている。
ヴラドは知らないことだが、親衛隊は基本的に女王蟻の傍を離れない。親衛隊が離れると言うことは、女王に直接何か命令された場合のみである。
通常は働き蟻と呼ばれる一メートルから二メートルクラスの蟻が巣の外で活動するのだ。それらを知らないヴラドだが、なぜこの場に来たのかの理由は簡単に説明できた。
この蟻どもはなかなか感覚が鋭い。五感の話しではなく、女王に献上する“餌”を探し出す為に発達した器官により、獲物を探すのが他の生物より優れている。
その感覚がどこで知られたかは不明だが、エルと言う“極上”の餌を見つけ出してしまったのだろう。
女王蟻はどうか不明だが。雑魚蟻に知能はないし、親衛隊も知能は無いのだが、ヴラドは慎重に一撃の瞬間を待つ。
最大の強みは知能。慢心はしないが、相手は昆虫。ゆえに、この一撃を回避するのは――不可能。
(悪いが長引かせるつもりはない)
目の前を通り過ぎた瞬間、擬態のまま即座に背後より忍び寄り、そのまま甲殻の薄い腹部を硬質化した触手の一突きで貫通。
厚い甲殻部分はそれこそ鉄のような強度だが、腹部の下は別だ。精々が厚い皮程度でしかない。
叫びというより、空気の振動のようなものを発し、急に襲い掛かってきた闖入者をその強靭な顎で噛み砕くべく、腹部から血を滴らせ俊敏な動きで振り返る。
が、途端に襲った更なる苦痛に、あぎとを何度も開閉させ声にならない振動を迸る。
腹部に突き刺した一撃は切り離してあり、硬質化が溶けた瞬間、傷口から強力な酸で内部を直接焼いたのだ。
その致命的な隙を逃さず、ヴラドが一瞬でその脚から頭部に蛇の形で巻きつき、大量のアルゴンを大気から吸収し、強力な酸を生成しそのまま頭を焼きながら、容赦なく硬質化した細い触手を瞳に突き刺す。
再び周囲に響く声にならない絶叫を無視し、傷口から大量の酸を流し込み、直接瞳の奥から脳を焼き尽くす。
数秒ほどびくんびくんと痙攣した後、バタリと地面に倒れ伏しそれ以降動かなくなる。
この程度の相手ですら、今のような小細工を用いないと倒せないのだ。確かに汎用性の高い肉体だが、決め手に掛けるのは痛いところであろう。
死亡したのを確認し、流石に大き過ぎるので捕食せず放置することにする。エルの元へと戻りつつヴラドは思考する。即ち“女王に知らせているか”どうかだ。
蟻と言うのは巨大なコロニーを地下に形成する。フォレストアントはヴラドの世界の蟻からすると、かなりの小規模だが、それでも数にすれば数百から数千、あるいはそれ以上にも上るだろう。
一体、あるいは二体、三体程度なら問題もなく撃退出来るだろうが、数十にもなれば蹂躙されるのが目に見えている。
流石に樹海を離れるのは惜しいが、とりあえずこの辺りからはどちらにせよ移動する必要はあるかもしれない。
なんて考えつつ巨大な岩まで戻ってくると、何やら慌てふためいているエルの姿が目に映った。
『エル、どうした?』
ヴラドの言葉にビクッ! と大袈裟に反応すると、こちらを振り向く。
が、驚いたのはヴラドの方であった。エルの瞳は相当涙を流したのか、白色の部分まで真っ赤になり、目蓋まで腫れてしまっている。
「ご、ごめん、なさい……ひっく…んっぐ、ふく……ひっく、かわにながされ、ちゃっ、たよぉ……ぱぱぁ、ごめ、なさい……ひぅっ、ぐっ……」
ヴラドを見たことでまた再燃してしまったのか、その大きな瞳からぼろぼろと透明な雫を流すエル。
見ればエルは下着だけ付けた姿で、上は素っ裸である。作ってあげていた毛皮で出来た足を保護する靴の代わりも履かず、その小さく白い足には無数の切り傷が出来ていた。
この時程、人と違い表情がなくてよかったとヴラドは感謝したことはなかった。
内心で激しく困惑する。そもそも、衣服をあまり汚さないようにとは言っても、大事にしないといけないとまでは言っていない筈である。
流石にエルの反応は少々異常に過ぎた。慰めるにも理由を聞かなければと、ヴラドは思念を飛ばす。
『泣き止みなさい。エル、ほら、ゆっくり息を吸って、吐いて』
えっぐえっぐとしゃくり上げながらも、ヴラドの言葉に懸命に従う姿はいじらしい。
触腕で軽く背中を摩ってやると、暫くしてようやく落ち着きを取り戻す。
『それで、一体どうしてそんなに泣いている。私は衣服はあまり汚さないよう言っているが、別に無くしたからと言って怒るようなことはしない。私に怒られると思ったのか?』
子供が泣くと言えば、大体の部分はこれだろうと口にするが、エルは首を横に振る。どうやら違うらしい。
『ではどうしてだ? パパに話してくれないか』
ゆっくりと、出来るだけ優しくそう言うと、こくりとエルが頷き涙を零ししゃくりあげながらも口を開く。
『……えっと、あれ、ね? ぱぱがはじめてわたしにくれたふくなの。えるしってるよ、ぱぱがいっしょうけんめいなやんで、かんがえて、やっとつくってくれたものだって。それなのに……える、まちがって、かわ、におとし……ちゃって、ひっぐ……はじめて、もらっ…た、ふく……なのに――』
そう言うと再び泣き出してしまう。そして口にした台詞にヴラドは言葉に詰まってしまった。
こんな小さな子供が、たかだか衣服一枚。それもそこまで衣服についての知識なんて無い筈の子が、義理の父からはじめてもらったからと。
普通はそこまで気にしないような事でここまで悲しんでくれる。ヴラドの心が何やら温かなぬくもりに包まれていく。
何時もなら多少は感じる衝動も、今だけは全く気にもならない。子が親に向ける無心の信頼とは何時だって親にとっての最大の報酬なのだ。
気づけば抱きついてギュッと抱きしめそうになるが、今度は今ほど肉の腕が無いことを恨めしく思うことはなかった。
仕方なく、肉体の弾力性を強化し、そっと伸ばした触手でその小さな身体を抱きしめてやる。
衣服は確かに特殊な植物の茎を肉体で溶かし、幾通りもの試行錯誤の末、溶かす過程で布状にまで整え、最後は触手で細い枝で縫って作ったものだが、そんなものまた作ればいい。
その後、ヴラドはひたすらエルが完全に泣き止むまでその小さな背を撫で続けた……