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さよなら大嫌いで大好きな悪魔  作者: ひょく
序章 お世辞で綴られた千年に、さよならを
3/15

3 三度目の正直

レイ:悪魔の災厄の生き残り

リーリア:千年生きた孤独の少女

シルヴァード:屋敷の悪魔、リーリア専属の世話係

「もう少し話していたかったけど、時間のようね。」


彼女は手を下ろして扉の方を見つめた。

コツコツという音が廊下に響き渡っていた。


殺せという言葉が頭を駆け巡る。

「ストップ。」 

その声で我に返った。


いつの間にかドアノブに手を掛けていた。

そうだ、約束していたんだった。深く深呼吸した。


「渡したい物があるの。」


手を引かれて本棚の前まで連れて行かれた。


「ここ、隠し収納になってるの。」

本の後ろで何かの操作をした。途端、棚から引き出しが出てきた。


「縄.....?」


「これ、普通の縄じゃないのよ。これで拘束された悪魔は能力が使えなくなる。らしいわ」


「らしいって...」


「ADSの人が言ってたんだから嘘じゃないはず。それに、縄があったほうが生け捕りがしやすいでしょ。」

なぜか自信気だった。


ヒリっとする感覚が体を通り抜けた。


ドシンッその衝撃で少し突き飛ばされた。さっきまで響いていたはずの足音の主は音もなく目の前に現れ、斧を振りかざしていた。


リーリアの表情が強ばる。彼の斧が届くより早くシールドを展開させた。首を狙われたが無事だった。リーリアは唖然と俺を見つめていた。


「...なぜ魔法が使える。」

悪魔は冷たい目で俺を見つめていた。


質問には答えず、ただ冷酷に悪魔を睨み返した。


瞬きするほどの間で、さっきまでのナイフは長身の刀へと姿を変え、レイは悪魔の懐へと入った。


足首を切り裂いた。はずだった。

だが、刀が捉えたのは虚空だった。

背後から風を裂く音。

音に反応して刀で攻撃を受け止めた。ズシンと体に体重がかかる。足元の木がミシミシと音をたてた。


刀の腹で攻撃をいなした。

刀の持ち方を変えて悪魔に投擲。

悪魔がそれを受け流してる隙、わずかコンマ数秒の間でリーリアを脇に抱き抱えた。


「一旦退くぞ。」

影の中に沈むように一階へ避難した。


窓からの光で埃が舞い上がるのがみえた。

ロウソクもない。使われていない部屋なのだろう。


「レイ、普通の人間だとは思っていなかったけど、あんな事ができるのね!ADSの人ならすぐに死んでたわ。」


さっき確かに手応えがあった。

再生能力か、あるいは時間遡行か、

彼は一瞬で俺の後ろを取った。それならやっぱり時間操作の能力か...

それならなぜ連発しない...?時間制限もしくは何かの条件..?


「それに魔法が使えるのって1種類だけじゃないのかしら?」


あいつが瞬間移動してきた時、俺とリーリアを引き剥がそうとしていた...守ろうとした?......確信がない。


「ねえ、聞いてるー?」


そう言って俺の頬をつねってきた。さっきまでの戦闘の緊張感がまるで感じられなかった。


「ん?ああ、」


「それほんとに聞いてた?」


「生まれつきか、呪いのせいか知らないが、なぜか使えるんだ。」


「へえ」彼女は期待の眼差しで俺を見つめていた。


「降ろすぞ。」


「名残惜しいわ。せっかく仲良くできてると思ったのに。」

渋々、地に足をつけた。


何かを閃いたような顔をして俺の手を握ってきた。

満足気な顔だ。仕方ない。このままでいてやろう。


「縄は?」


「ここにあるわ!」

彼女は手に持っていた縄を俺に見せびらかしてきた。


「それで髪を縛ってみろ。この縄が悪魔の能力をなくすものなら時間固定の呪いが解けるはずだ。」

まだこれは仮説だ。悪魔を縛らないと縄の効力が発動しないのか、悪魔の能力に反応して発動するのかはまだわからない。


「いいアイデアね!わかったやってみるわ。」


彼女はツインテールを留めている髪ゴムを外し、縄で髪を結んだ。途端、髪がさらさらと粉のように消え、跡形もなくなった。

それと同時に結んでいた縄が地面に落下した。髪はもとのツインテールに戻った。


....消えた?


髪が跡形もなく。


予想とだいぶ違った。

...いや、前提が違うのか...

もしかして....いや、これはまだ仮説だ。そうと決まったわけじゃない。


廊下からコツコツという音が聞こえてきた。

タイムリミットぽいな。


「ねえ私の願いを叶えてくれるわよね?」


「ああ。約束したからな。」


「...さっき私たちが一階に来たように私の斧一階に下ろしてくれない?」


戦いの手伝いをしようとしてるのか?あいつは彼女を守ろうとしてるという仮説がある。彼女が戦ったときにあいつが彼女を傷つけなかったら..仮説が成立する。

彼女の斧を天井の影から引きずり出した。


彼女はバンッとドアを強引に開けて廊下へ出た。




一度目は何もできなかった。

二度目は、この斧に振り回された。

——でも今回は違う。彼がいる。


「シルヴァード!」

彼女は斧を構えた。

「3度目の正直よ。今日こそ、その凍った口を無理やりこじ開けてあげる。」

その目に迷いはなかった。

縄(ただの縄じゃない):悪魔の能力を閉じ込めるもの。数百年前ADSの人が残して逝った。

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