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さよなら大嫌いで大好きな悪魔  作者: ひょく
序章 お世辞で綴られた千年に、さよなら
2/19

2 千年前の災厄

千年前の出来事

リーリア:体が弱い。屋敷の主の娘

シルヴァード:リーリア専属の世話係





_________千年前、リーリア




外で遊ぶ子供の声は私の孤独感を加速させた。カーテンを開けなくてもわかる。あの子達は笑顔で走り回っているのだろう。


私は生まれた頃から体が悪く、ほとんど外に出たことがない。

母はわたしが生まれた時に出血多量で亡くなった。父は母を愛していたため酷く傷心して仕事に没頭していた。


唯一の話相手はシルヴァードだった。


「リーリア嬢様、お食事の時間でございます。」


「今行く」

椅子から飛び降りてシルヴァードについて行った。


「ねえねえシルヴァード今日の本でねバラっていう花が出てきたんだよ。とっても綺麗で感動したらしいの。いつか見てみたいな。」


「そうですね。明日にでも取り寄せてみましょう。」


私は目を輝かせた。

「え、ほんと!」


その次の日には本当に薔薇を渡してくれた。でも、太陽に当てなかったから数ヶ月で枯れてしまった。


「バラ、かれちゃっ、、た。」

目に涙をためて言った。

「......っ、わたし、ちゃんと..ひっ、いわれたとおり、ひっく....まいにち、おみずあげた。」


シルヴァードは私の頭をポンポンと撫でてきた。


「お嬢様、目を閉じて見てください。」

戸惑ってる私にシルヴァードの手で目を隠してきた。


「今から魔法をかけます。今から3秒後に薔薇は元気な姿に戻ります。3、2、1、」

1という声と同時に数ヶ月前の薔薇が目の前に現れた。


「え、すごい!どうやってやったの?シルヴァード」


「それは秘密です。言ってしまったらこの魔法が溶けてしまいます。それと、このことは私とリーリア嬢様だけの秘密ですよ。いいですか?」

その時シルヴァードの目が怪しく光った気がした。


「わかった。だれにも言わない。」


「偉いですねリーリア嬢様」

そう言いながら私の頭を撫でてくれた。


その夜も私が寝る前に朗読をしてくれた。


「生まれかわりって本当にあるのかなぁ。あるならもう一度シルヴァードに会いたいな。」

「そうですね。リーリア嬢様。」





幸せが崩れるのは一瞬だ。

夜の静寂を遮るように人々の悲鳴が聞こえてきた。


シルヴァードがカーテンを開いて窓の外を覗いた。険しい表情で硬直した。


「なにがあったの?」


「火事です。逃げますよお嬢様。」


私が返事をする間もなくシルヴァードに抱きかかえられて屋敷の外へ連れ出された。


外には数人の使用人がいた。


「お父さまは?どこ行ったの?」


シルヴァードから降りて、使用人の元へ駆け寄った。


みんな険しい表情で口を噤んでいる。


「お父さまのこと本当に知らないの?ねえ答えてよ。」


使用人の一人が震える声で言った。

「旦那様は、、奥様の形見を、、取りに、」


血の気が引いた。後ろで炎の音が響いてくる。

きっとそんなわけない。心臓の鼓動が激しくなってきた。振り返ると屋敷は既に炎に飲み込まれていた。


ゴォォォという音があがるたび火は勢いよく燃え上がった。その音は私の期待を引き裂いた。

体の熱が目に集まってくるのを感じた。きっとそんなわけない。きっと、、

私は屋敷に向かって駆け出した。が、シルヴァードに止められてしまった。


「おとうさま、おとう...さまっ、やだ、いやだ...ッわたしをわたしを、おいていがないでっ....!!」

喉が潰れるほどの悲鳴を叫んでもその声は届かなかった。


おとうさまは仕事でいそがしくても、すきまをみつけて私に会いにきてくれた。私が運動できなくてもそれをせめたりしなかった。

いつも、優しくて気遣いができるいい子だと褒めてくれた。それに私の、世界でたった一人の家族だった。




感傷に浸る時間なんてくれなかった。


使用人の一人が悲鳴をあげた。魔物に足を食いちぎられて動けなくなっていた。

シルヴァードが私の視界を遮るように前に出た。


バリッという何かが砕ける音、咀嚼音が聞こえてきた。足元は血の海。恐怖で動けなくなった。


「リーリア!」

シルヴァードの呼ぶ声で我に返った。


シルヴァードの脇に抱えられた。視界が激しく揺れる。


「さっきの使用人...は?」

「魔物はたおしました。あの人のことは......他の人に任せてあります。」


後ろから魔物の声が聞こえる。景色が凄まじい早さで変わっていくが、魔物の声は少しずつ近づいて来ていた。


シルヴァードは私を突き放すように放り投げた。後ろを振り返るとシルヴァードが魔物と戦っていた。

「お嬢様!お逃げください。ここは私が食い止めます。」


魔物は次々と増えてきた。

シルヴァードが倒しきれるわけがない。

嫌だ嫌だ嫌だ

シルヴァードまで死んでしまったら...


周りを見回した。どこを見ても炎が舞い上がり、道では魔物がうじゃうじゃといた。まさに地獄絵図。


そんな中、町から少し離れた家に明かりが灯ってるのが見えた。

あそこならまだ人がいるかもしれない。


震える足で無理やり立って家にむかって走った。必死に、とにかく走った。体が悲鳴をあげても走り続けた。肺が焼けるようだ。耳鳴りもする。


やっとのことで家の前までたどり着いた。


ひゅーはーひゅーはーっ大丈夫。まだ動ける。家の中から音が聞こえてきた。よかった誰かいる。


玄関のドアが開いていた。何人かの人は既に避難したのだろうか。


「だれかーだれかいませんか?」

そう言って家の中を覗いた。


そこには____


魔物がいた。

咄嗟に悲鳴をあげた。足の感覚がきえて地面に座り込んでしまった。







一瞬にして視界は赤く染まった。

悪魔の災厄:人口の三分の一が死んだ災厄

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