7 それでも君を救いたい
「レーイ!見てた?見てたよね?
僕ちゃんと殺さなかったよ!褒めてー」
そう言ってクロが駆け寄ってきた。
「そうだな。よくやった。」
にしても、親友の顔で言われるのは、なんだか変な気分になる。
「それでさ、あれ誰?」
クロがメイナを指さす。
「彼女は...」
「私はメイナ。よろしくね。君の仲間は?」
クロは俺の手をにぎったまま、メイナをじっとみつめる。
...何も言わない。
「こいつはクロ。人見知りっぽいから気にしないでやってくれ。」
「ふーん。」
そう言いながらメイナはクロに近づく。
「わぁ。敵対心むき出しじゃん。私は敵じゃないよー。」
そう言ってメイナはニコッと笑った。
「レイ。こいつと旅するの?」
「そうなると思う。
そこまで警戒しなくてもいい。メイナはもうADSの一員じゃないから。」
「そんなすぐに警戒ほどいて大丈夫なの?さっきまで敵だったんだよ?」
「そこまで心配なら旅の途中で見極めればいい。」
クロの握る手の力が強くなった。
宿。みんなが寝静まった後。
だが、俺は寝れなかった。
ルル、彼女の体が赤く染まっている姿、
それが頭を離れない。
寝れなかったから外で散歩をすることにした。
時計塔の下まで来る。
確か彼女はこっちに行ったっけ。そう思いながら路地裏に入った。
明かりは月だけ。
真っ暗な路地裏に一人、誰かがいるのが目に入った。
座り込んでいる。
スラムの住人だろうか
....少し近づいて気づいた。
体が真っ赤に染まっている。
「リツ!もう..止まれよ。体傷だらけじゃ...」
シュッと音と共にまた刀が振られる。
刀についていた血が飛び散って、俺の顔に付着した。
リツは傷だらけのままで座り込んだ。全身真っ赤なのに、剣をを振ろうとしていた。
嫌な記憶が頭をよぎった。
真っ赤な体に、既視感を感じたからだろうか。
チャキッと音が辺りに響く。
目の前の人が俺に刀を向けていた。
よく見ると、その人物はルルだった。
刀の先が震える。
もう、握る力が残っていないのだろう。
カラン、
と刀が床に落ちた。
(クロ。確かに殺してはいないが、重症にさせたのか。
それとも、ルルの能力の性質上こうなりやすいのか...)
「殺せ。」
投げ出された刀が、地面を滑って俺の足元に止まる。
弱々しい声だった。
「殺さないよ。俺は君を殺したいわけじゃない。」
しゃがんで彼女と目線を合わせる。
首輪に手を伸ばす。
だが、バンッと手を振りほどかれた。
体が少し震えている。
(首輪を外すには首輪に触れないといけない。
そしたら必ず電気が流れる。
ルルは二百年以上前線で戦ってきた。
首輪の電気も、メイナより強いはずだ。
無理に外すのはよくないか...)
彼女の体が起き上がる。
刀を一瞬で手に取り、俺の首に当ててきた。
「目の前に敵がいるんだ。
なぜ殺さない?殺されるかもしれないのに。」
「同じ赤い目の者同士だ。差別はよく分かっている。
痛みを共にしている者同士がなんで敵対しあわないといけない?
俺は君を政府から助けたいだけだ。」
素手で刀を握って下に下げた。
ルルの首輪が赤く点滅する。
カチ。
カチ。
ヒュッという彼女の息を吸い込む音が聞こえた。
腕から赤い血が垂れ落ちる。
それが生き物のように広がり、彼女の体を覆った。
次の瞬間。
赤い塊は夜空に飛び去った。
(また、逃げられてしまった。
首輪の点滅...政府に対して反抗的な考えをしたときに鳴るのだろうか)
俺は追わず、そのまま宿に戻った。
この出来事で決意した。
絶対に彼女を助ける。




