9【銀河連合組合】
そもそも銀河連合組合に騙されて、魔力が枯渇し、最新鋭だった文明の方を捨て去ったオプシティア星は、その組織に良い感情は持っていない。
とはいえ五千年以上昔のことであったので、朽ち果てた古文書の文献にしかそのことは残っていない。
ダンとともに会議室に入ってきたのは、ゴブリンのような緑色の人だった。それでも銀縁の眼鏡の奥に鋭い眼光の目が合ったので、頭がよさそうに見える。と言うか良いのだろう。
『我々は、魔力というエネルギーで生活をしている。今は、その魔力の消費を出来るだけ抑えて、星の中で穏やかに平和に暮らしたいだけなのだ。大昔、そちらの組合のある星出身の役員に、我々を悪と指定し、やみくもに攻撃された経験が文献とともに残っている。その時のことを、今はどうなっているのか、場合によっては補償してほしいぐらいだが、もう時効になっているかもしれないし。宇宙での法律に詳しいものも今はいないのだ』
「その件については我々で調査済みで、その時の役人は他の星にも攻撃を仕掛けて、資源を強奪するなど問題になっていたのです。いまでは、訴えてきた団体に対してもう補償が終わっていて、その役人については、元居た星からも追放になっております」
『じゃあ、なぜまだ羽虫どもはこちらに来るのだ、そもそもどこから。
我々のエネルギーでは受け身で返すしかないのだ。根本的な解決に協力していただくなら、どうすればいいのかお教え願いたい』
「では、こちらでも調査いたしますので、しばらくお待ちいただけますか」
『待っている間の防衛は』
「申し訳ないですがご自身た・・」
「それについては、俺が守ります」
「ダン!」
ちょ、なんであんたが一人で頑張るのよ!
『ダン殿』
「幸い、ここに来ているゴーレムはかなり旧式の更に廉価版。数だけです。俺の最新のアーマーなら、いちいちすぐに撃退して見せます」
でも、だって、暖は学校に通わなくちゃ。自分でそのために働いているんでしょう?
「この件は、銀河連合の後処理のまずさが原因でもあります。ですから、全力で解決に向けて・・・」
その時けたたましい警報が会議室に響き渡り、敵襲の知らせがアナウンスされる。
『土日は平和だったのに。今日はお開きで、加入手続きなど続きは明日お願いします』
私はすっくと立ちあがると、魔力強化をかけて自室に転移する。
「また晩御飯抜きね。そう言えばロコモコ丼、美味しかったなあ」
まあ、あんまり満腹で激しい戦闘も負担がかかるんだけど、
“ポイント 小惑星98CHの方角に敵空母出現”
戦闘用のスーツに着替えてヘッドギアを装着しながら戦況のアナウンスを聞く。小惑星ねオッケーあそこに行くには 近くの別の小惑星に転移装置があったはず。
意識を戦闘モードに切り替えなきゃ。
愛機が待つ専用のゲートへ走る。少しでも魔力を温存するために、ローラーシューズになっている踵で滑るように移動する。
「待ってくれ魔王」
「木村ぁ邪魔!」
いまはヘッドギアは着けていて顔は明かしてないが、邪魔なチョーカーなども外している。魔王だとかそういうさっきまで取り繕っていたことをすっかり忘れて、愛機に向かう。
「待って!黒石」
「後で」
早くいかないと、あの数はやばい。もしかして、銀河連合と接触したのが刺激になってしまったのかもしれない。
安易に受け入れるのは早まったのでは。
ぐるぐると不要な思考も流れてくる。
「えーい、もう、あとあと!集中!」
ガチャ、ウィーン
『ディアマンテ ノア 搭乗完了、転移準備を』
“ディアマンテ ノア 転移用エネルギー充填完了シマシタ。カウントダウンニ入リマス・・・”
あれ?ちょっと待って?今、ダンは私を黒石って呼んだ?
そして私もその前に木村と呼んでしまっていた?
やばいなーどうしょうかなー
学校で会ったらやばいね。
今日のことなんてうっかり話題にしちゃったら、
私たちの会話が厨二病オンパレードに聞こえるかもしれないわよ。
中三だけどね。
私は小惑星に転移すると、羽虫を蹴散らしていく。
『ノア様!なぜいつも先に前に出てしまうんですか!
もっとご自分を大切にしないと』
『私が生き残っていたって、皆を亡くしたりつらい目に合わせていたら意味ないでしょう!ロー』
もう、個人的な家族はいないんだから!
『それより結界付近の防衛を!』
『はっ』
私は向きを変え、恒星系の外側に飛んで行く味方機に当たらないように羽虫を屠っていく。
なんかもう、殺虫剤みたいなものはないかしら。それとも巣ごと丸ごとって感じで。
決めた、今から巣を探しに行こう。
『ロー、ごめん!行き当たりばったりで。お説教は後で聞くから』
『ちょっと、ノア様!』
私は頭上にいる敵の指令空母に愛機ではなく自分がそこへ転移する。愛機のサーチレーダーではここに生命反応があった。
宇宙服の機能があるボディスーツとヘッドギアのまま、魔法でその外側を守りながら空母の中に侵入する。
空母の中にも羽虫のようなアンドロイドが沢山いた。それらは生体反応はないので、遠慮なく蹴散らす。
私は魔法に長けた魔王だから、丸腰に見えて色々な攻撃が出来る。それは、地球に通って色々な動画を見たおかげで、魔法を使用するのに大事なイメージが蓄積され、よりよく使えるようになっていた。
これまでもいくつもの空母をとらえては研究成果を見てきたから、もし人が乗るならこの辺りが指令室だったはず。わたしは迷わず目的の場所を目指す。
バアン
自分の力では到底動かせないような分厚い扉を魔法任せにこじ開ける。
たしか、この辺りが指令室だったわ。
「おや、誰が来たかと思ったら、小柄なお嬢さんだね」
「お、お前は!」
さっきのインテリゴブリン!
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