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8【何はともあれ美味しいものを食べにいきましょう】

 週末ばかりとは言え、毎度、魔力のギリギリを渡り歩いていた私は、地球にいる時ぐらい、生活を楽しもうと切り替えることにしようと思っていた。

 だって、地球ならどこでも良かったんだけど、一番食べ物が私の好みに合ってたから日本にしたのに、小さいお弁当とかしか食べていない。他には自分みたいな黒髪が多いのも理由だけどね。

 ローにはちゃんと地球で使うためのお小遣いももらっているのに。


 そうやって平日の過ごし方を変えようと決意していた私に小さなイベントが入ってきた。


 「なあ茉桜、今日帰りに買い物に付き合ってくれない?」

 木村が昼休みに話しかけてきた。

 「私が?」

 「俺ほら、帰宅部じゃん、だから連れがいなくてさ。茉桜もだろう?」

 「うっ失礼ねと言いたいところだけど、私もそうだわ、でもちょっと待ってね、保護者に確認しなくちゃいけないから」

 今日も詩織がお仕事で、一人でいつもの保健室の窓の下でこれからお昼寝と思ってたら、隣に無理やり座ってきた木村からびっくりする話を振られて、ドキドキして眠れなくなってしまったじゃない。

 心の動揺から気を逸らしながらスマホを使う。休み時間だから使える。

 「これでいいわ。オッケーよ」

 「うっしゃ!なんかうまいものも食いに行こうぜ」

 「うん」


 まあ、とりあえず楽しみ。


 とは言え中学三年生が放課後に寄り道して食べられるところは少ない。

 最寄り駅の線路の向こう側にある大型スーパーに出かけた。


 「黒石、大丈夫か?」

 「え?なにが?」

 「いつもフラフラしているお前にしては歩かせてしまったなと思って」

 「大丈夫よ」

 ほんとうは良くないんだけど、魔力で体力を底上げしていました。


 目の前の、他の級友となんら違う事のない男子が、なんであんなに遠く離れたところにいたのだろう。

 

 フードコートで、ロコモコプレートをつつきながら木村が気持ちよく同じメニューを平らげていくのを見ている。

 「うまいなこれ」

  同じメニューではあるが、ライスの量やハンバーグの大きさを変更できたのだ。

 「どうした?」

 「ハンバーグが大きいと、目玉焼きが小さく見えるわね。」

 「たしかに」


 「なあ。今日は買い物付き合ってくれてサンキュ」

 木村は甘いお菓子を買いたかったらしいんだけど、男が一人で買うのに勇気が要ったらしい。私を誘うことは何とも思わないの?

 「なに?突然」

 「一応俺は男だしさ、そんなすぐにオッケーもらえると思ってなかったから」

 「もしかして断られると思った?」

 あっという間に食べ終わった木村は水を飲みながら私が食べるのを見ている。

 それが何故か恥ずかしいけど、早く食べ終わることはできない。

 「俺さ、親がいなくて一人っ子だからさ、いっつも一人飯で」

 「そうなの?」

 だからあんな危険な仕事をしているってわけでなないわね。


 それにしても本当に甘いものが好きなのね、次はクレープを二つ持ってきた。

 「私には何を選んでくれたの?」

 「ストロベリーミルフィーユ」

 なんて可愛いチョイスなの。

 「なぜ?」

 「黒石のイメージは俺にはそれだから」

 「!」

 「あ、黒石の顔がストロベリーになってきた」

 この他人が見たら砂を吐きそうなセリフが出るあたり、日本人離れしているんではないの?というか地球人なのかしら。私は違うけど。


 「そっちはなになの?」

 「チョコミント」


 「なあ、また俺と晩飯ここで食べてくれない?」

 「約束はできないけれど」

 「いいよ」


 もちろん割り勘で会計をして、帰る事にした。

 「黒石、ちょっとだけ」

 と言って手を繋いでくる。

 なんか、グイグイ来てる?私もこんなことは初めてなのでドキドキしている。

 それでも、暖かい手が気持ちよくて、食後っていう事もあって眠くなってくる。

 「お前の手って小さいのな、こんな小さな手で頑張ってるんだ」

 「うん、ふわあ」

 「あ、そうか今日昼寝できなかったか、ごめん」

 「え?大丈夫よ」

 「せめてものお詫びに、ちょっとそっちの手も貸して」

 もう私は朦朧としていて、頭がうまく働く前に、もう一つの手も取られちゃう。まあ、学校のカバンはリュックタイプだし、買い物でもらった袋は紐が長くて肩から掛けているから手は空いていた。


 夕方の薄暗い駅の近くの植え込みの横で立ち止まって両手を繋がれる。

 「ふふなに?」

 両手になるとさらに暖かい。


 じわり


 木村の両手から、馴染みのあるエネルギーがゆっくりと流れてくる。

 思わず目を開けて木村の目を見つめる。


 「これって、あの」

 「うん?こら、このポーズでそんなに俺を見るな。下見ろ」

 「え、だって」

 「俺、配置換えを申請しているんだ、だから、でもそれが通ったら、もう学校には来れないかもしれないけど」

 「なにの?」

 

 よく見たら木村の手首にも私と同じようなフェイクの腕時計がある。


 「じゃあ、ごめん、もう行かなきゃ」

 ヴン・・・

 なんだか聞いたことのある音がする。

 「また明日」

 「うん」

 パシュ


 手を繋いでいた子が目の前から居なくなった。


 「がんばってるのはそっちじゃない・・・」

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