5【オプシティア星】
外は水色、さっきまでいた学園からの風景とそう変わらない。でもここは地球ではない。空の色もかなり薄い。
オプシティア星 太陽系から見ると、いて座の彼方にあるもう一つの恒星系の惑星の一つで、ここは魔族の星。
魔族は基本、魔法を使って生活をしている。普通の生活、医療、そして科学技術。地中や大気中から魔力を取り込み使ってきた。
より進んだ魔法技術を使い出した頃、それが有限だと言う事に気が付いた。星の魔素が激減し、新しく生まれてくる子供達にも魔法が使えない者が出てきた。
そして私達は思い切って一度文明を後退させた。それが五千年以上前のお話。その後、徐々に環境が改善され、魔力の溢れる過ごしやすい星を取り戻した。
文明が衰退したことにより、政治の形態も後退した。
私はこの魔族の住むオプシティア星を統べる 魔王 ディアマンテ ノア。
この星を救うべく、輝かしい文明を壊して改革した統治者の血を引き継ぐもの。自力で魔法が使えなくなったものが増えてきたこの時代に、自分自身の魔力も潤沢にあり、他所から取り入れたり放出する能力の高い一族が、この星を守り恒星系全体の魔力を維持し統治してきた。
「お帰りなさい魔王」
真っ黒なジャケットスーツに身を包み、マントを引きずりながら王座に向かう。認識阻害のできる仮面を被り、声が変わる魔道具を取り付けている。その私の手を部屋の入り口から掴んで豪奢な椅子まで連れていくのは王兄だ。本来なら、この人が魔王をしてくれればいいのに、私の方が魔力に対しての能力が高いので、魔王にさせられた。だが難しくて面倒な政は兄がしてくれている。だから平日は、魔力の採取のために地球に通う事が出来るのだ。
魔王の椅子に座った私は、留守中の報告をいくつも受ける。が、そんなことは通信で受けていたので、形だけの物でもある。
最後に兄に問う。だが私の方が立場が上だということは示さねばならない。このやり取りは遠隔で他の内務や外務の物にも見られている。
「ダーク。どのような感じですか」
「はい、地球から魔力が供給されて、先週より若干上回りました」
「そうか、先週末に戦闘で魔力を消耗したかと思ったから、多く送り込めてよかった。それで、代替エネルギーの開発はどうなのだ?」
「そちらの技師は、余り前に進んでいないと申しておりました。追加の予算を求めてきております」
「あまり予算はつぎ込めないのだがな。研究課程のレポートを提出するよう言っておいてくれ」
「はっ」
兄は返事とともに、遠隔カメラのスイッチを切ると、私の仮面を外してくれる。
「では、私はこの後部屋に戻る」
「わかりました、おやすみなさい良い夢を、ノア」
ダーク兄上は王座に座る私の額にキスをして、また手を取り部屋の外へ連れていく。
無駄に広いこの部屋こそ、不要に思えるが、遺跡を再利用した施設なので、しょうがない。
部屋の外にはローが控えていて私を引き継ぐと自室に連れていく。
「では、明日までごゆっくりしてください」
「平日もずっとゆっくりだったわ」
「しかしあなたは、その間、地球からこちらに魔力を供給し続けて下さってました」
「そうね。まあ、それが私の仕事だわ」
部屋には、女型のゴーレムがいて、これが身の回りの世話をしてくれる。魔王城で主に働くのはこのゴーレムたち。でも、ゴーレムなんて本当は要らないんだけど。せっかく地球から身を削って魔力を運んでいるってのに、この子らを動かすにも魔力がいるのよ。
食べることを知らないゴーレムが、味のない食事を置く。
私はそれに地球から持ち込んだ塩を少し振りかけて飲み込む。
たしかに、もっと地球で美味しいものを食べておくべきだったわ。
『入浴の準備が整いました』
私の部屋にはベッドはない。代わりにカプセル型の浴槽があって、ここに入るだけで、体を洗浄して、体調を整えながら睡眠をとれる。
合理的かもしれないけど、人間味はない。
部屋の中で服を脱いでカプセルにつかると蓋が覆いかぶさってくる。私は入浴液に沈み込むと意識を手放した。
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