13【中学生のデートと言えば?】
「うそでしょ」
木村が向かった先は銀色に輝く星だった。
表面がステンレスのようになっているのはもちろん、色々な光の線が走っていて、地球人が映画で思い描くような、それは人口の星だった。大きさも地球と変わらないほどに大きい。その輝く球体の中が全部造られた空間だった。
木村が操るジャイアントアーマーはその星のいくつか空いている小さな穴に吸い込まれていく。
「ここは」
「ここはミルキーセントラル。銀河連合だ。俺が所属する銀河パトロールの本部もこの一角にある」
ヘッドギアを木村の後ろのシートに置いてジャイアントアーマーから降りる。
私は田舎から出てきた旅行者そのものの行動を抑える事が出来なくて、きょろきょろと周りを見ながら歩くものだから、危なっかしいと木村が手を繋いできた。
「そ、そのつなぎ方は恥ずかしいんだけど」
がっちりと恋人つなぎというやつだ。
「オプシティア星の奴も、地球の奴もいないんだからいいだろ」
木村はグイグイ来るけど、やはり日本人じゃないから?
あたしの心臓は大丈夫かしら。オプシティア星人は日本人ぐらいには奥ゆかしいのよ!
さっきから繋いだ手の近くに心臓があるのでは?というぐらい木村の手の温もりがぐるぐるしている。魔力も動いているかもしれないわ。
「こちらへ」
地下街のようなお店などがあるエリアを抜けると、大きな入り口がありそこが銀河連合の本部だった。
そのままエレベーターになっているチューブを通り、一つのオフィスに入る。
「ここに座っててね」
木村は手首のデバイスに話しかける。
「兄さん到着したよ」
『わかった、もう着く』
すぐに、私たちが入ってきたのとは違う扉が開くと、木村 暖によく似た男性が入ってきた。
「黒石、紹介するよ、俺の兄貴のゼン」
「初めまして、ダンの兄貴のゼンと言います。日本語で名乗るなら、木村 善。漢字は羊みたいな字の下にこういう・・・」と指で空をなぞる。
「これを渡した方が早いですね」
と名詞をくれた。
〈銀河パトロール CP45エリアチーフ 木村 善 〉
「ご丁寧にありがとうございます。黒石茉桜です」
「俺は前はダンのいた、地球当たりのエリア担当だったから、名刺も作ってたんだよ」
「なるほどです」
「今、君たちの星は過去の歴史の事も相まって銀河連合への信用は地に落ちているだろう」
ゼンさんのセリフに思わず頷いてしまう。
それに対して、ダンとよく似た微笑みでしかし凄くまじめな様子で
「しかし、何としても信頼を勝ち取って、加盟と正常な交流をさせていただきたいのだ。ここでぶち明けるのもどうかと思うけれど、オプシティア星のロストテクノロジーはかなり貴重な知的財産なのだ。それを保護しつつ先人の努力を陽の当たるところに出して見ないか」
「あ、兄貴」
「すまんすまん。どうも俺はせっかちで。
きょうはそんな難しいことは後にして、この銀河連合の全体の雰囲気を見て行ってほしい。何度が君や君に近しい人が通って、苦手意識が改善してもらえればと思うんだよ」
「あの、なぜ銀河パトロールの方がそのようなことを」
ゼンさんに投げた疑問を、隣で私の手を恋人繋ぎのまま座っているダンが答える。
「銀河パトロールは銀河連合の中の組織だから、銀河連合のためにも動くんだよ」
そして繋いだ手に少し力がこもる。
「個人的には黒石のためにも動きたいけどね」
「!」
この人は!やっぱり外の人だわ。
オプシティア星人と日本人は同じぐらい奥ゆかしいんだから。
顔が赤くなっていくのを止められないのを自覚する。
「もう」
「じゃあ、ちょっと待ってて。兄貴は黒石を見てて」
といって、ダンはさっきお兄さんが出てきた扉から消えていった。
「では、茉桜さん、こちらへ、ダンもそこに来ますから」
そう言って今度はゼンが手を出してくる。
繋がなくちゃいけないの?
躊躇っていると、出した手を引っ込めて行き先を誘導するように指をそろえて指し示す。
「どうぞ。こちらです」
そして、ゼンさんに誘導されてパトロール本部の入り口まで出てきた。
「おまたせ。黒石」
開襟のアロハシャツのようなもトップスにジーパンのラフなスタイルになった木村が横からやってきた。
「ずるい」
「なにが」
「私なんて中に暑苦しいものを着こんでいるのに」
「ははは。じゃあ行こうか。ありがとう兄さん」
「ああ、楽しんでおいで」
目の前にトラムのような乗り物が止まる。それに木村が繋いだままの手を引いて一緒に乗り込む。中には運転手はいなくて自動で動いているようだ。何人かの乗客がいる。
乗り物の振動で緊張からの疲れが緩んだのかいつの間にか眠ってしまっていた。
「黒石、着いたよ、起きて」
「はっ、また寝顔を見られてしまった」
「うん」
「ここは?」
「ここはテーマパークだよ。この人口の星はね、銀河連合やパトロールとその家族やそれを支える他の職種の人と家族が住んでいて、そのための普通の星にもあるような施設がさおロっているんだ。このエリアもそう」
人口の星の内部とは思えない、明るくて暖かい疑似太陽があって、清らかな水が流れている。色々な形のテントや建物があって、ところどころ人が列を作って人気なのだろうかアトラクションの入り口に集まっている。
木や草花などの植栽は本物で、日本で見るようなものもあって、ちょっとほっとする。
大きなプールに来た。中には鯨のようなイルカのようなものが泳いでいる。
軽快な音楽に合わせて水飛沫が少しかかるショーを見て、笑う事が出来た。
「あー面白かった」
「ほんと、目が四つもあるイルカなんて少し怖いって思ったけど、動いているのを見ているうちに可愛くなってくるのが不思議だったわ」
「そうだね」
そんな風にあたしたちは日本人がするような遊びを楽しむ事が出来た。
「ちょっとお手洗いに」
「うん・・あそこ、あのマークが女の子、そして横のそれが男の子で、真ん中のは性別がない人用のマーク」
「性別がない人もいるの?」
「うん。まあ、宇宙人だからねみんな」
「私もそうだけど」
でも、トイレは日本のと似ていて綺麗で使いやすくてよかった。
それから、自動販売機で飲み物を買って、草花の咲き乱れる丘に立ち入る。
「こんなところ踏んじゃっていいのかしら」
「大丈夫大丈夫、結構強いんだよ、なんか、雑草を改良したとかで」
「へえ」
テーブルのあるベンチがあって、そこで私が作ってきた弁当を亜空間バッグから出す。弁当の食材や調味料は中学校の近くのスーパーで買って、日本で暮らしている家のキッチンで作ってきたもの。
「他人に自分の料理を見せるのは初めてで恥ずかしいけど、どうぞ」
「うわ、うまそう。おにぎりに唐揚げに、これは・・・メンチカツ?まさかこれも作ったの?」
「すげー。うまいよ」
「後はこれを」
とポットに入れてきたお味噌汁を紙コップに入れて出す。
にこにこと自分が作ったご飯を食べる木村の笑顔が嬉しい。
「黒石は、自分の立場もあって忙しいのに、こんなお弁当作ってきてくれてありがとう。本当にうまいよ」
「そう、お口に合って良かった」
「この星で、デートに誘って良かった。日本の学園の近くじゃこんなに堂々とは遊べないもんな」
「この間、大型スーパーでご飯食べたじゃない」
「まあ、そうなんだけど、俺的には短時間すぎる」
「なにそれ、フフフ」
急に真剣な表情で見つめてきた。
「なあ黒石俺・・・」
「ねえ、他にも乗り物とかあるの?」
「え?うん、面白いのがあるよ、行こうか!」
視線が耐え切れずに、何かを言いかけたのを遮ってごまかす。
聞きたいけど、聞いてしまうのも怖かった。
それでも私は今日は楽しい一日を過ごした。
一応オプシティア星でいうところの、19時までには帰宅して、ローに
「門限ぎりぎりです」
と言われた。
スタートは仕事なはずなのに、プライベートだとばれていた。
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