いや、どう考えてもおかしいだろ
目が覚めたら自分の名前が目の前に刻まれていた。
「にゃ?にゃにゃにゃん?(え?どういうことだ?)」
しかも猫になっていた。
「にゃにゃにゃーーーん!!!(いやおかしいだろ!!!)
そう突っ込んでも声から出てくるのは「にゃん」という猫の鳴き声だけ。
いったん冷静になろう。そうしてまずは目の前にある墓を見上げた。うん、どっからどう見ても俺の墓だ。俺は死んだのか?一旦深呼吸し、目が覚める前のことを思い出した。
俺は目が覚める前は普通の人間だったはずだ。両親は冒険者だったが俺が物心ついてすぐに仕事亡くなったし、そんな俺を育ててくれた祖母は、俺が働き始めたころに老衰した。職場では雑談ぐらいはするが、プライベートであったりするような親しい友達もいなかった。あれ、もしかして俺が死んだところであんまり支障ない?いや、職場の同僚くらいは悲しんてくれてるはずだ、たぶん。危ない、早くもメンタルブレイクするところだった。
今日俺は森に入ったんだ。理由は思い出せないが白い猫を追っていたら気が付いたらそこにいた。猫を見失った時、奥のほうにいたゴブリンと目が合った。そうだ、今まで魔物と対峙したことのなかった俺はそこで腰が抜けてしまいこっちに向かってくるゴブリンから逃げることができずに.....
バキッ!!!
いやなところまで思い出してしまった。
まあ要は、猫を追いかけていたら自分が猫になっていたってことだな!HAHAHA!
笑えね~。まあこういう手の本は読んだことあるから分かる、何かしら特別な力が与えられててその力で世界を救うんだ。まあ基本人間だがな。というわけで
「にゃにゃにゃー(ステータスオープン)」
目の前に半透明な板が浮かぶ。
名前 :
種族 :ねこ?
MP :220
スキル:猫パンチ
誘惑
にらむ
ひっかく
魔法 :火魔法(小)
治癒
幻惑
隠密
称号 :猫又の加護
なんか、突っ込みどころがいっぱいある。まず名前が空白、これはまあ転生したということを考えるとまだ許せる。前の俺は死んだわけだし、でも種族が『ねこ?』ってなんだ。なんで疑問形なんだよ。
しかもなんだスキル『猫パンチ』って、ただのパンチだろ。『誘惑』に関しては本当になに?ちょっと怖いんだけど。あと猫又の加護ってなんだ?初めて見た。猫又さん誰だよ。魔法に関しても前の体で使えた火魔法以外は初見だな。よく見たらMPも普通の魔法使いくらいになってる。てか逆になんで体も違うのに前使えた火魔法をこの体でも使えるんだ?不思議だ。
それはともかく、ステータスを見た感じ世界を救う英雄とかでもなさそうだ。じゃあ本当にただ転生しただけなのか、猫に。
「..................」
力が抜け地面に座り込む。さっきまで興奮気味だった脳が冷え、冷静になった。
前の俺は死んだ。親しい友人はおらず天涯孤独、惰性で生きていただけで特に未練があるわけでもないし今世でも何か使命があるわけでもない。思えば前世ではあまり自分のしたいことをする時間がなかった。それならもうこの生は自分のしたいことをして自由に楽しく過ごそう。そう思うとすっきりした。
よし、そうと決まればまずは今ある問題から解決しよう。
ズバリ、飯アンド寝床をどうするか問題である。え?残飯食って地面で寝ればいいだろって?いやに決まってんだろこっちは猫になりたての元人間なんだ、そんな人としての尊厳を捨てれるわけないだろ。
まあでもせっかくなら良いもん食べたいしお金持ちのところ行きたいよな~。でもお金持ちってねこ溺愛してそうだしベタベタしてきそうなんだよな~。俺あんまり構われたくないし。あとせっかくならいろいろ外の世界を見てみたい。そう考えると旅人か。でも飯のこと考えるとな~。
そうやっていろいろ考えているとき、両親が言っていたことを思い出した。たしか冒険者はランクの高い人ほど一つの依頼に対する報酬がでかく、Sランクだと一回で金貨100枚は余裕で超えるらしい。俺の給料の5倍はある。さらに町や国からの依頼が多く世界各地に行っている人が多いらしい。つまり強い冒険者と仲良くなれば金を持ってる分飯に手は抜かねえだろうし色々外を見れる可能性が高いということだ。そうと決まれば冒険者ギルドに出発だ!




