闇に染まった世界に光を灯す

　世界は負の感情が満ち、血のように赤い月が輝き、大地には黒や灰色の花だけが咲くようになった・・・

　かつての色鮮やかさは消えてしまった・・・

　国を形成し栄えていた所も、スラムがあった所も、例外なく徐々に荒廃していき、あらゆる負の感情が世界を変えていった。

　外交が困難になる程危険が満ち溢れ、人口は急激に減っていき、まるで頂点に立つかのように存在していた人間は、負の感情に飲まれた生き物達によって散り散りになっていった。

　やがて世界の人口が10分の1程に減った頃、各地に光を纏う少女が現れた。彼女達の周りは光が満ち、周辺を浄化した。辺りは色鮮やかな植物が育ち、人々に一時的な安らぎを与えた。人々は彼女達を聖女と呼び、やがて新たな都市を形成して栄えていった。

　聖女達は死後も辺りを浄化していった。聖女達の墓と周辺は、様々な植物や動物たちがかつての姿のまま存在する場所となった。しかし、人間達はその近くに都市を形成することも、行くことも出来なかった・・・・

　そんな負の感情に飲まれた世界にまた一人の聖女が誕生しようとしていた。その少女はこれまでの聖女たちと違い強大な浄化の力を持っている。その力は辺りをたちまち色鮮やかな世界に戻していった。そして、その少女の誕生とともに負の感情に飲まれた世界は終わりへと向かって行くことになる。