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温泉ツーリング同好会へようこそ 2nd  作者: 秋山如雪
第7章 東北の温泉
33/43

33湯目 宮城県の秘境

 そこからの展開は、比較的速かった。


 首都圏を中心に、いわゆる「朝の通勤ラッシュ」を迎える時間になっていたが、私たち3人は、高速道路上にいた。


 つまり、周りにいるのは、せいぜい営業車か、長距離トラックくらい。行楽に行くような家族連れが乗る、サンデードライバーみたいのはほとんどいなかった。


 そのため、流れが速く、途中で休憩を挟みながらも、あっという間に東北地方最大の都市、宮城県仙台市に近づいてきた。


 羽生PAの出発からおよそ3時間あまり。


 午前11時頃に、仙台南インターチェンジを降りると、後はもうひたすら真っ直ぐ続く、「田舎道」だった。


 東京周辺はもちろん、私たちが住んでいる山梨県でさえ、甲府盆地では見られないような、交通量の少ない山道を通る。


 途中で、秋保温泉の大きな温泉街を抜ける。つまり、元々、ここに立ち寄るつもりだったが、時間があるので、先にこの先にある場所に行くことになった。


 そして、その場所についた。


 秋保大滝。


 ここは正直、なかなかすごい景色だった。


 駐車場にバイクを停めて、案内板に従って、ひたすら階段を下って行くうちに、耳に轟音が響いてくる。


 そして、木々の間から現れたのは、幅6メートル、落差55m。一説には、「日本三大名瀑」の一つにも数えられるという、大きな滝だった。


「すっごーい!」


「涼しいですね」


 フィオと、花音ちゃんが対照的な感想を述べる中、私もまた滝に見入っていた。何しろ、ここは東北の山の中。


 花音ちゃんが言うように、8月の盛夏と思えないくらいに、「涼しい」風が吹いていた。何よりも、この巨大な滝から巻き上がる水が涼しさを助長しており、周りの深い緑が、マイナスイオンを発出している。


 地球温暖化の進行が一向に止まないこの世にあって、ここだけは別世界のように、涼しさを演出していた。


「来てよかったでしょ?」

 私が滝に見入るフィオに尋ねると、彼女は珍妙な回答を寄こすのだった。


「そうだネ。()()()は素晴らしいネ」

「いや、フィオ先輩。ここは、()()()ですから」


 私が言う前に、隣の花音ちゃんが、渋い顔で訂正していた。


「んー? 違うの?」

「全然、違いますよ。宮崎県は九州です」


「キューシュー? ああ、あのラーメンに入ってる?」

「それは、チャーシューです!」


 思わず、この絶妙な漫才コンビのようなやり取りに、私は自然と笑い声を上げていた。

 フィオに、「九州」についてを説明するのも面倒になっていた。いや、むしろ宮崎県を知ってるのが意外だったが。


 私たちの、短い夏の旅は続く。

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