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温泉ツーリング同好会へようこそ 2nd  作者: 秋山如雪
第7章 東北の温泉
31/43

31湯目 東北への誘い

 7月末に紀州へのツーリングを終わらせた後。


 学生にとって、夏休みはまだまだ続いていた。

 おまけに、まだ高校2年生の私や、高校1年生の花音ちゃんには余裕があった。


 夏休み期間中のため、部室に集まることもなく、ロングツーリングや温泉ツーリングの計画はないだろう、と思っていた私の予想を、「いい意味で」裏切る出来事が起こる。


―瑠美。暑いからどこか行こうヨ―


 不意に届いた、フィオからのLINEがきっかけだった。


―どこかって? 大体、フィオは受験勉強とかしなくていいの?―


 仮にも3年生の彼女のことを心配して言ったつもりだったが。


―ん-。ワタシはパパのイタリア料理屋を継ぐから大丈夫―


 そう言えば、前にまどか先輩から、フィオは実家を継ぐと聞いたことがあったと思い出していた。

 ある意味、世間の高校3年生の緊張感とは無縁の、優雅な立場のフィオだが、元々が彼女はフリーダムで、気分屋だ。


―じゃあ、涼しいところで東北なんてどう?―


 どうせ、まどか先輩や琴葉先輩は受験勉強があって、忙しいから来ないだろう、と予測しつつ私は返信した。


―いいヨ。場所は、もう瑠美に任せるし、いつでもいいヨ―


―了解―


 その後、私はネットを駆使して、調べた。

 東北の「温泉」についてだ。


 北は青森県から、南は福島県まで、東北地方には多数の温泉があり、温泉街として発展しているところも多数ある。


 有名どころでは、青森県の浅虫温泉、酸ヶすかゆ温泉、秋田県の乳頭温泉、岩手県の花巻温泉、山形県の銀山温泉、蔵王ざおう温泉、宮城県の秋保あきう温泉、鳴子温泉、福島県の東山温泉、飯坂温泉などなど。


 その中で、私が個人的に、条件として指定しようと思ったのは。


(適度に距離があって、一泊して帰ってこれるところ)

 だった。


 そんな中、試しに元・バイク乗りの父に聞いてみたところ。


「そうだなあ。秋保温泉なんかいいんじゃないか」

 という回答だった。


 秋保温泉は、宮城県のちょうど真ん中あたりにある温泉で、一大温泉街を形成している。

 ちなみに、山梨県の我が家から約430キロ。高速道路を使っても、5時間以上もかかる。


 まあ、一泊ツーリングにはちょうどいい距離かもしれない。


「どうして?」

 一応、理由を聞いてみたところ。


「ああ。近くにデカい滝なんかがあってな。あと古い共同浴場もあって、落ち着いた雰囲気の温泉街だ」

「ふーん」

 父は昔、行ったことがあるらしく、それでオススメしてくれたらしい。


 私は自室に帰り、早速、フィオにLINEで、


―宮城県の秋保温泉はどうかな?―


 と送ると、すぐに、


―いいヨ!―


 と、満面の笑みのスタンプと共に返事が返ってきた。思うに、彼女はきっと温泉やツーリングに行ければどこでもいいような気がするが、フットワークが軽いのはありがたい。


 だが、案の定、まどか先輩と琴葉先輩に、温泉ツーリング同好会共有のLINEグループでメッセージを挙げたら。


―あたしはパス。忙しい―


―私も。夏季講習があるから―


 断られていた。


 花音ちゃんはというと。


 見ていないのか、しばらく何の反応もなかった。だが、既読にはなっているようだった。



 翌日の午後になって。


―行きます―


 とだけ返信があった。


 このタイムラグは一体なんだろう、と思いながらも、私は一応、主催者的な立場として、ネットから秋保温泉の宿を検索して、3人で泊まれる、リーズナブルな宿を探して、予約するのだった。


 急きょ、決まった、東北ツーリングが始まろうとしていた。同時に、それは私にとって初の東北行きであり、初の東北の温泉体験でもあった。

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