雨に謡う
今日もお前は泣いている
しとしと しとしとと
そんなに泣いて
涙は枯れないのか?
空は暗い
灰色が広がるこの世界には
夢や希望なんてないとさえ思える
お前もいずれは泣き止むのだろうが
こうも長い時間泣かれると
見ている私も気が滅入ってくる
楽しいことを話そうか
先日私の家に
小さなお客さんが迷い込んできた
きっとお前があまりにも泣くものだから
羽が濡れて飛べなくなったのだろう
私とその小さなお客さんは
互いに距離を取りながらも
同じ時間をゆっくりとすごしたよ
私たちは種族こそ違ったが
あのときだけは
お前が泣き止むのを待つ
ちょっとした仲間だった
それがなんとなく
私を楽しい気持ちにさせたんだ
結局その小さなお客さんは
痺れを切らしたのか
どこかに飛んで行ってしまったがね
楽しくなかっただろうか
お前はまだ泣き止んでくれない
もっと心の底から楽しめる話をすれば
お前も泣き止んでくれるか?
でもそれは難しい
お前が泣き止んでくれなければ
私も心の底から楽しいという気持ちにはなれないだろう
どうすればお前が泣き止んでくれるか
私にはわからない
……いや、答えは最初から知っている
時の経過だけが
お前を哀しみから解放してくれるということを
お前が泣き止むその日を
私はじっと待てばいい
ただ――
待つことの苦しさも少しは理解して欲しい
少しでも早く
晴れ晴れした笑顔を見せてくれ
今日も私は
お前に謡う