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いまさら都市伝説  作者: 9602(クロオニ)
3/6

メリーさん

何もない昼下がり突然電話がかかってくる。

電話の相手可愛らしい女の子のようだ。

名前は「メリーさん」その度に自分の居場所を教えてくれる。

その場所はどんどん自分がいる方へと近づいてくる。

自分の部屋の前にいると告げられドアを開けるが誰もいない。

部屋の中へ戻るとその子から最後の電話がかかる。

「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」

「プルルルルrr...ピッ」

「ちょっと取り込み中なんd...」

「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」



「プルルルル...プルルルル...プr、ピッ」

「はい、もしもし?」

「あ、ユウキ?元気してた?」

「なんだ姉ちゃんかよ」

「なんだとは何よ。愛しのお姉さまからのラブコールよ!」

「んで?要件は?」

「つれないわねぇ。母さんから頼まれごとされたから今から行くね」

「は?いくら何でも急すぎr...」

「んじゃ、よろしく」「ピッ、プープープー」

切られた。

まともに片付けもしておらず、人を迎え入れるのは厳しい。

仕方なく掃除を始める。それにしてもいつぶりだろう。

姉ちゃんの結婚式以来電話ですら話したことがなかった。久しぶりすぎた。

お互い仕事やらなんやらで連絡をとる暇などなかった。

特に姉ちゃんは育児までやっているから余計に手が離せない。

まさか、連れて来るんじゃないだろうな。

電話越しに母さんの声が聞こえていた。おそらくあと3時間はかかるだろうか。

ありがたいことに夕飯の時間を外してくれたみたいだ。

一人暮らしなのもあって片付けはあっという間に終わった。

昼飯を食べ損ねていたことを思い出して、近くのコンビニに買いに行く。

マンションから出てコンビニの方へと足を向ける。

途中でゴミ捨て場の横を通る。ゴミ捨て場を見て驚いてしまった。

ゴミ捨て場に小さな女の子が!?と、思ったら人形だった。

最近の人形はなかなかリアルにできている。正直怖い。

俺も昔は人形が好きだった。

周りから馬鹿にされようが絶対に離さないくらいには好きだった。

だが、小学校に上がって自由に持ち運べなくなった。

そのうえ、学校での友達付き合いや部活動などから自然と離れてしまった。

今は実家の方に大事に保管されている。

ゴミ捨て場に置いてある人形の頭を撫でて、再びコンビニへ向かう。

 部屋に戻って買ってきた弁当を開け広げる。

昼食にしては結構遅くなってしまったが仕方あるまい。

今日は贅沢にもデザートも買ってある。姉ちゃんが来るまでに食べてしまおう。

弁当を食べ終えデザートに手を伸ばす。

「プルルルル...プルルルル...」

姉ちゃんだろうか?スマホを手に取り画面を見る。非通知?

誰からかかってきているかはわからないがとりあえず出る。

「ピッ」「もしもし?」

「私、メリーさん。今、あなたのおうちの近くのゴミ捨て場にいるの」

「なんだ?いたずらか?」「ピッ、プープープー」

切られてしまった。メリーさんとは懐かしい。昔流行った都市伝説だ。

一人暮らしの人間のもとに突如メリーさんから電話がかかってくる。

電話に出る度に自分の居場所だけを告げてすぐに切ってしまう。

その居場所も電話をかけてくる毎に近づいてくる。

家の前に来た頃には度重なる着信でイライラしていて、思わずドアを開ける。

だが、そこには誰もいなくて家の中に戻ろうとしたときにまた電話。

その電話に出てしまったが最後、「今あなたの後ろにいるの」と言われて死ぬ。

死ぬ間際に人形を見ただの見ないだのは諸説ある。

だが、人形に殺される覚えが俺にはない。

いたずらだと思って放っておく。

デザートを食べようとまた手を伸ばす。

「プルルルル...」

また、非通知でかかってきた。

「ピッ」「もしかしてメr...」

「私、メリーさん。今、あなたのおうちの前にいるの」

「ちょっとくらい会話をしてくれt...」「ピッ、プープープー」

切られた、会話の余地もないみたいだ。

確かメリーさんはここからが早かったと思う。少し待とう。

数分待つと。

「プルルルル...」

やはり、さっきより間隔が短くなっている。仕方なく出てみる。

「ピッ」「もしもし」

「私、メリーさん。今、あなたのおうちの2階にいるの」

俺が住んでいるのはこのマンションの5階だから、まだ少し時間はある。

メモ書き程度に姉ちゃんに向けて遺書を残すことにした。

通帳と印鑑の場所、誰にいくら渡してほしいなど簡潔に書いていく。

その間にも電話はかかってくる。案の定階を上がるごとにかけてきているようだ。

そして、とうとう5階まで上ってきた。となると次は...

「プr...」「ピッ」

「もしもし」

「私、メリーさん。今、あなたのお部屋の前にいるの」「ピッ、プープープー」

来た。もう部屋の前だ。俺はあえて扉を開けずに様子を見る。

何も起きない。

暫くすると、チャイムの音が鳴る。ケータイをテーブルに置き確認に行く。

ドアアイを覗いてみたが誰もいない。恐る恐る扉を開ける。

そこには1体のお人形...のようにかわいい女の子が人形を持って立っていた。

女の子は恥ずかしそうにモジモジしたからこう言った。

「わ、わたし、めりーしゃん!」

盛大に噛んでいた。かわいい。

「プルルルル...」

不意を突いたかのように電話がかかってくる。

俺はろくに画面も見ずに電話に出てしまった。

「プルルルルrr...ピッ」

「ちょっと取り込み中なんd...」

「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」

俺は慌てて玄関の方に目を向ける。

女の子の後ろにワンピースを着た女性が帽子を深くかぶって立っている。

俺は情けないことに尻もちをついて叫んでしまった。

「ぎゃあああああああ!」

その声に驚いて女の子まで泣き出した。

大人1人と子供が1人大泣きしていて収拾がつかない。

 途端に女性が笑い出す。

「あはははははは!何よそれなっさけない」

「へ?」

「ほら、マリも泣かないの」

聞き覚えのある声だ。女性が帽子を取って顔が見えるようになった。

紛れもない、俺の姉ちゃんだ。

「あんた本当に怖い話駄目よねぇ。まさか、メリーさんで泣いちゃうだなんて」

「いや、だって、非通知だし、姉ちゃんの声じゃないし」

「声?ああ、そうか」

姉ちゃんは少し不気味な表情になり声を出す。

「私、メリーさん」

電話の声と全く同じだった。どういうことだ?

「あれ?言ってなかったけ?私、声の仕事してるのよ」

「しらねぇよ、いつからだよ」

「去年からかな?」

全然連絡を取っていなかったから知る由もない。

そして、もう一つ気になったことがある。

「それで、その女の子は?」

「初めましてになるよね、娘のマリ。ほら、叔父さんに挨拶しなさい」

「私、めrじゃなかった。マリです。よろしくお願いします。」

「初めまして、叔父さんのユウキだよ。よろしく」

マリちゃんはここにきて初めて笑顔を見せた。やっぱりかわいい。

「ところで、渡すものってなんだよ」

「あっ、そうだったわね。マリ、渡してあげなさい」

マリちゃんは両手で抱きしめていた人形を差し出す。

どこか見覚えのあるその人形は、俺のお気に入りの人形だった。

俺はその人形を受け取ろうとする。だが、手が止まってしまう。

マリちゃんが少し悲しそうな顔をしているからだ。

「マリちゃん、そのお人形が気に入ったの?」

「...うん」

「そうか、そしたらマリちゃんが連れていきな」

「いいの?」

「たぶん、マリちゃんがいたからこの子とも再会できたと思う。

それに、俺みたいなおっさんよりマリちゃんと一緒の方がいいと思う」

そう言って、頭を撫でる。

マリちゃんはまた嬉しそうに笑う。人形も少し笑った気がした。

「あら、意外ね。そのお人形とてもお気に入りだったんじゃないの?」

「これでいいんだよ。いや、この方がいいんだよ」

「ふうん、それならいいけど。じゃあ、私からはコレ」

そう言って紙切れを1枚渡してくる。

それはアニメ映画「いまさら都市伝説」の特別試写会のチケットだ。

都市伝説が好きだがホラーが苦手な俺にはもってこいのアニメだ。

毎週チェックしている。

「私もこの映画出てるから見に来なさい」

「出てるってどのキャラだよ」

「それは...いや、当てて見なさい」

姉ちゃんはまた先ほどの様な不気味な顔をして言う。

「ぽっぽっぽ...」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

...すいません最後の方で欲が出てしまいました。

オチは決まっていたのですが他のアニメのタイトルが思いつかず、

このシリーズのタイトルを使いました。

コミック化もされませんし、アニメ化もありません。

それを実現させたいなあという気持ちはこれっぽっちはあります。

そんな、夢を見ながら今後も執筆していこうと思います。

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