表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/50

空:ずっと近くで見ていたから

 あなたが言葉を失って五年と数ヶ月。


 今日、あなたは息を引き取りました。


 生まれた時から見ていたから——いいや、もしかしたら、生まれる前から近くで聞いていたから——さっちゃんは僕にとってはどこまでも普通のお姉ちゃんで、どこまでも単純にあなたのことが大好きだった。


 あなたの痛みを知りたくて、分かりたくて、あなたに笑っていて欲しくて、でもただただ一緒に居たくて、僕はいろんな本を読んだ。


 もしかしたら、あなたをの痛みを消す方法がどこかに書いてあるかもしれない。

 あなたと同じ痛みを持つ人がどこかに物語を残しているかもしれない。


 七夕の日も、動物園に行って来た日の夜も、『薬』を飲んで無理した日にも、マティアスさんが亡くなって落ち込んでいたときにも、お姉ちゃんの結婚式で笑顔なのに四六時中泣きそうになっていたときにも、箱根旅行でみんなで大笑いした後にひとりで悩んでたときも、病室で嬉しそうに最後のプレミアチケットを受け取ったときも、僕はいつだって、あなたの痛みを知りたかった。


 僕はあなたをずっと近くで見ていたから、幸せはたくさん分かち合ってこれた。

 けれど、頭痛すら知らない僕は、あなたの感じる痛みを分かち合うことはできなかった……。僕はずっと傍観者だった。


 マティアスさんのようにあなたに寄り添える存在ひとになりたくて、直さんの言葉を借りるなら、そう僕はいつも、君の生きている世界を生きてみたいと思っていた。



『さっちゃん、 Death day おめでとう。


 僕はさよならは言わないけれど、


 あなたが痛みのない世界にたどり着いていること祈ります』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ