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9.2 98〜99ページ目 十八歳の誕生日

 --98〜99ページ目--



 LIFE:


 五月。


 私が生まれた日がもうすぐ来る。


 誕生日は絶対に、お母さんとお父さんのために過ごそうと決めていた。

 けれど、二人が喜んでくれそうなことって、よく分からない。


 二人はゴールデンウィークが明けるまで休みで、私の誕生日のために色々考えてくれているのは知っていたけれど、どれも私が目覚めてから一時間のあいだにできることだばかりだった。


 一日かけて私は二人に何かを返したい。

 感謝の気持ちをありがとうの言葉だけじゃなく、行動で示すには、どうしたらいい?

 

 ☆   ☆   ☆


 五月五日と六日


 プレミアチケットを使ったら、明日私は二人を悲しませはしないか心配だったけれど、誕生日にやりたいことは決まっていた。


 一日中、お母さんとお父さんのそばにいて、朝から晩まで二人のお手伝いをする。

 馬鹿みたいかもしれないけど、それでいいんだ。


 今しないと、後悔する。

 たった一日のお手伝いが親孝行にカウントされるか分からないけど、二人に喜んでほしい。


 誕生日前夜、プレミアチケットを使ったら眠れなくなって、朝までずっとお父さんが撮りためたホームビデオを見てしまった。お父さんはどちらかと言うと静かな人だけど、長年撮りためてくれた写真やビデオを見返せば、どれだけ家族思いな人なのか分かる。


 朝七時。部屋を片付けて二人が起きてくるのを待った。二人が階段を下りてくる音が聞こえると、早速ベーコンや卵を焼きだした。二人は私がプレミアチケットを使うことなどお見通しだったのか、プレミアチケットについては何も言わずに、美味しそうに私が作った朝食を食べてくれた。食事中に「今日は何をしたいの?」とお母さんに聞かれて、「二人と過ごしたい。お手伝いとか……」と言うと、二人は初めて驚いた顔を見せた。

 お母さんが少しだけ間を置いて、「じゃあ、三人で一緒に買い物にでも行こうか? 帰ってきたらケーキを焼いて、夜はみんなで庭でBBQ(バーベキュー)パーティーしよう。お父さんもそれでいい?」と提案してくれた。お父さんは、「あと、店で服を選んで欲しい」と付け加えた。


 想像していたお手伝いとは違うけれど、すごく楽しそうで、ワクワクした。


 一日は瞬く間に過ぎて、BBQの時にはみんなが集まってくれた。見慣れた顔に囲まれて、リリもとっても楽しそうにみんなの間をすり抜けながら庭やリビングを歩き回っている。


 どこをどう切り取っても、最高の誕生日だった。




 Will and testament:

 できることなら、これからもずっと、日常のふとした瞬間に私のことを思い出して欲しい。けれど、私の誕生日にはお墓参りじゃなくて、旅行にでも行って、楽しい思い出を作ってね。



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