95話 登城
スギノルリ、まだ会うべき人達がいます!
ギルドを出て、私は城へ向かった。
もう二度と、ここへは来たくなかったんだけど…
入口の門番が私に気付いた。
「お通しするよう言われております」
深々と頭を下げられる。
他に来た兵士に、部屋へと案内される。
ジロッソさんの店にいた兵士から話は通っているのだろう。
はじめてこの世界に召喚された時、役立たずの魔法使いと言われ、ここから追い出された。
次に来た時は、玉座で雷槍を連発した。
私を妃にと、3人の王子が迎えに来たが、返り討ちにしてやった。
そんな私が、今では【次期国王の妃】らしい。
本当、笑ってしまう。
そんなことを考えていると、部屋の扉が開いた。
人払いをして入ってきたのは、この国の第三王子、セレストだ。
お互いの利益の為、私はセレストの妃のふりをし、それによってセレストは次期国王の座を約束された。
前に会った時は、第三王子とは思えない、まるで兵士のような格好をしていた。
それはセレストが側室の子で、虐げられていたから。
それが今では、すっかり【王子】の姿をしていた。
私を妃とすることで、随分と待遇が変わったようだ。
妃になると決まった後、すぐに城に来るよう言われていたが断った。
それ以上何も言ってこなかったことを見ると、セレストが上手く処理してくれたのだろう。
「久しぶりだな」
「世間話をする為に来たわけじゃない」
友好的に話をしようとするセレストを拒絶した。
私は、そんな関係を望んでいるわけではない。
しかし、そんな私を見て怯み戸惑うセレストは、この国の傲慢な王のようにはならないだろうと、少し安心した。
やはり、セレストを選んで正解だった。
「魔王討伐に行く」
「……そうか」
「一つ、頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
「私は、獣族、エルフ族と共に魔王討伐に行く。そして出来れば、巨人族にも応援を頼みたい」
「!!」
「その為に、私が言いたいことわかるよね?」
「………」
巨人族が魔王討伐に参戦できない理由。
それは、人族のせいだ。
創造国は、精巧な技術力を持つドワーフ達を人族から守るために、巨人族が共に暮らしている。
巨人族が魔王討伐へと向かったら、手薄となった創造国へ、人族が攻め入ってくる。
勇者が倒せなかった魔王を封印する為に他族が命をかけているのに、その影で、別の争いをしようとしているなんてね。
「他の国のやつらに言っておいて。もし変な気を起こそうものなら、魔王共々転移で移動して、その国を戦地にしてやるとね」
「……わかった」
これは脅しだ。
力あるのもが、無いものに対して行う行為。
私達は、決して平等の立場ではない。
私の願いを断ることなど出来ないだろう。
それをわかって言っている私も、なかなか毒付いてきたものだ。
「あと、コレ」
私は転移石を差し出し、説明をした。
「来るか来ないかは自由」
「ただ、今までの国王で、魔王討伐の瞬間を見たことのある王なんているのかなって思ってさ」
「自分達の世界のことなのに、召喚者の他人に任せっきりってどうなの?」
「見事魔王討伐が出来れば国の手柄。失敗しても召喚者のせい」
「召喚者を、ただの道具としてしか思っていない」
「私達だって、同じ人間なんだよ!!」
私の言葉に、セレストは黙ってしまった。
八つ当たりだ。
こんなことをセレストに言ったってどうしようもない。
何百年、何千年と前からのことなのだろうから。
これが、この世界では当たり前に続いてきたことなのだろうから。
けれど私には、千代姫があそこまで追い込まれてしまった気持ちが、少しだけわかった気がしたから。
変えなきゃいけないのは、この世界なんだと思うから。
終始重苦しい空気の中、話し合いは終わった。
まぁ、私が一方的に言いたい事言ってただけだけど。
この後もう一戦、更なる舌戦をしなければならないと思うと、心中穏やかではないのだ。
スギノルリ、次は誰に会う!?




