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8話 武器と防具


 スギノルリ、まだまだレベル上げです!




 の前に、寄りたいお店が。


 武器、防具屋だ。


 キュノさんに言われたしね。


 それに、確かにちょっと飛ばしすぎたかな、と思って。


 私、この世界に来てまだ一度も宿屋に泊まってないことに気付いて。


 これからは、夜はちゃんと宿屋で寝よう。


 日中にレベルアップしよう。


 レベル40までには普通は10年かかると言われたら、さすがに慎重になった。



 なので、まずは身なりから。


 だって私、まだ城を出る時に着替えさせられた服のままだから。


 いかにも初期装備、いや、村人ってかんじ。


 魔物をジロッソさんに売ってお金も余裕があるしね。




 チャリンチャリン


 扉を開けると、高音で可愛い音のベルが鳴った。


 キュノさんのお店のベルは、低く重たそうな音だったな。



 武器、防具屋。


 その名の通り、右側の壁一面に武器が、左側には防具が並べられていた。



 「いらっしゃい」


 体格の良いおじさんに迎えられた。


 ジロッソさんとはまた違うタイプだな。


 ジロッソさんは長身で全身筋肉ありますって感じだけど、このおじさんは、背も低いし、全体的に太い…


 けど腕だけはごつごつした筋肉が見えている。


 「えっと、防具が欲しくて」


 「じゃぁこっち側だな。職業はなんだい?」


 「魔法使いです」


 「……そうかい」


 あからさまにおじさんの声が低くなった。


 ここでも、『役立たずの魔法使い』みたいだ。


 「気になるのがあったら声かけて」


 そう言っておじさんは店の奥の椅子に座ってしまった。


 う〜ん、説明全くなしですか。


 防具の違いなんてわからないのに。



 とりあえず私は、壁に並べられた防具を端から順に見ていった。


 入り口側、店の1番手前に飾られていたのは、全身金色に輝く鎧だった。


 高そう…。


 戦士って感じかな。


 

 その次はシルバー?プラチナ?銀色の鎧。


 青銅、皮、毛皮、鱗、いろいろな鎧が並んでいた。


 そして1番奥に、魔法使いが着るような布のローブがあった。


 誰も買わないんだろう。


 ショーケースに入れられることもなく、埃を被ってただ置かれていた。



 「ローブってこれだけですか?」


 後ろにいるおじさんにたずねた。


 「そうだね」


 愛想悪……。


 一応客だよ?買うかもしれないよ?



 諦めて反対側の武器を見に行こうと思った時、店のさらに奥、薄暗い場所に棚があるのが見えた。


 マネキンに飾られることもなく、畳まれて置かれている服。


 私はその中の一つを手に取った。


 「コレって……」


 見たことのある柄。


 濃い青色。紺色?


 所々が白くなっていて…


 「藍染……?」



 「へー、知ってんのかい。そう、アイゾメとか言ってたなぁ。先代かその前からか、ずっと前から店にある売れ残りだよ」


 

 藍染の服がなんでここに?


 いや、そんなこと今はいい。


 私は、買い物は衝動買いが多い。


 悩んで他を見て回っても、結局、最初にピンと来たものを買うことが多い。


 わたしは、私の直感を信じている。



 「コレ、ください」


 「いいのかい?ローブじゃないよ?」


 「はい、コレがいいです」



 確かにローブではない。


 けど、このくらいが丁度良い気がする。


 鎧なんて重たくて暑苦しいの着たくないし。


 ローブっていかにも魔法使いですって格好も、この世界じゃ悪い意味で目立つってわかったし。


 懐かしい匂いのするこの服の方が今の私には合っている。


 

 「武器は買わないのかい?」


 武器か…

 

 正直必要ないんだけどな。


 けれど、この世界の魔法使いは基本、剣か弓を持ってるって言ってたな。


 私は武器側の壁を見た。


 これもまた…


 端から順にキラキラした武器が並んでいた。


 あれ?



 「杖ってないんですか?」


 「杖?何の?」


 この世界の魔法使いは杖を持たないのか。


 そういえば、城にいた魔法使いも持ってなかったな。


 

 「扇…もないんですね」


 「扇?さっきから変なことばっか言うね」


 武器は長剣、短剣、斧、槍、弓か。


 盾はある。


 この世界の戦闘スタイルは、攻撃重視なんだろうな。


 ここに来る前に、キュノさんとジロッソさんから少し教えてもらった。


 ここでは、武力が一番だと。


 戦闘において、魔法使いはただの回復要因だ。


 魔法攻撃なんてしない。


 ならば、魔物を倒すには直接攻撃しかない。


 その為、頑丈な鎧と盾で身を守り、精巧な武器で攻撃する。


 稀に、魔力を持っていたとしても、魔法使いを本職とするのではなく、あくまで副職として、初級の回復のみを覚える人がほとんどだという。


 

 こんな重たそうな鎧着て、盾持って、剣まで持てと?


 無理……





 ん?そういえばさっきの棚に…


 私は藍染の服を見つけた棚をもう一度見た。


 「コレは?」


 それはまさに、[扇]だった。


 「それはただの飾りだよ。武器じゃない」


 「そうなんですか…」


 コレもまた、直感だった。


 「コレください!」


 「はぁー!?本当変わってるね」


 おじさんに呆れ顔をされながら、私は店を出た。


 あの後、長剣一本くらいは持ってないとどこのパーティーにも入れないぞ!と強く言われたので、とりあえず1番安い剣を買った。


 それと、藍染に合わせて、濃い青色のマントも。


 これでとりあえず、初期装備からは一歩前進ってところかな。


 よし、いざ出陣!



 スギノルリ、装備レベルアップです!


 


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