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59話 指飾り


 スギノルリ、エルフの縦社会を知りました!




 私は里を見渡した。


 相変わらず、紫色の魔法陣が至る所で光っていた。



 「そういえば、エルフの魔法陣は紫色なんだね」


 「あ、はい。そうですね」


 エレが小さな魔法陣を出してくれた。


 「人族は水色ですよね」


 ん?水色だっけ?


 私も手の上に魔法陣を出して見た。


 「濃い、青色?」


 私とエレが困惑して見ていると、



 「それは俺の力の影響を受けているからだ」


 ラピスが答えた。


 「竜族は濃い青色ってこと?」


 「いや、竜族に決まりはない。その色は俺の魔力によるものだ」


 「へぇ〜」



 魔法陣の色にも違いがあるんだな。


 魔力の違いか?




 「気になってたんだけどさ、その指輪にも何か意味があるの?」


 エレの指にしてある、花飾りのついた指輪についてだ。


 皆、花の指輪なのかと思ってたら、シュヴァルツ達は葉っぱみたいのをしていた。

 


 エレは指輪に触れた。


 「私達エルフは武器を持ちません。この指輪は、その代わりと言われています」


 「武器の代わり?」


 花や葉が?


 「この紫色の魔石が、我々エルフの力の象徴です」

 

 それは、花飾りの真ん中についていた。


 「この魔石は、ウサギの透明な魔石を使っています」


 「透明な魔石に自身の魔力を込めると、このような紫色になるんです」


 「そしてその紫色の濃さは、強さと比例しているので、優れた者程、濃い紫色になります」


 

 「私達は子供の頃、魔法について習う時、この指輪に魔力を集めるように抽出するのだと教わります」


 「その古くからの習わしが、今でもずっと変わらず残っているのです」


 

 「花や葉の意味は?」


 「ありません」


 「えっ!?」


 エレが笑った。


 「あくまでも、重要なのは魔石です。それがいつからか、それを飾るように花や葉を添えるようになったと言われています」


 「ですから、各々が好きな植物を選んでいるのです」


 「家族や恋人に贈ることもあります」


 「まぁ、一族によって、花を好むもの、葉を好む者といますが…」


 エレが目線をずらした。


 「……もしかして、魔力量派が花で、魔力質派が葉とか?」


 苦笑いをするエレは、嘘の付けない子だった。



 「でも凄いね、枯れたりしないの?」


 「永久に、ということは不可能ですが、時を遅らせることは可能です」


 「我々エルフの寿命が、人族より長いように」


 「なるほどね」



 私はヴァイスを見た。


 獣族は、倒した魔物の魔石を武器に飾ると言っていた。


 魔物の魔石の色は赤。


 その濃さが、獣族の強さの象徴。



 エルフ族は、自身の魔力を込めた魔石で強さを誇る。



 種族は違えど、している事は似ているんだな。




 「エルフの里へ来る前に、イット国って人族の国へ寄ったんだけどさ、そこでは子供の頃に、妖精に会えるって言ってたの」


 「エルフと妖精は関わりがあるの?」


 「はい。ここ北の大陸は【精霊族】と呼ばれていますから。エルフ族はその中の一つにすぎません」


 「【精霊王】は、エルフの誰かなの?」


 獣族王、巨人王との三代王。


 「いいえ。精霊王様は他にいらっしゃいます」


 「そうなんだ」


 「理由は一つ。我々エルフ族より魔力が高いからです」


 「確か、儀式の10点は精霊王の力って言ってたね」




 「精霊も、妖精も、昔は大陸中にいたらしいのです」


 「えっ、そうなの?」

 

 「ですが今は、この北の大陸にしかいません」


 「なんで…」


 エレは私を見た。



 「人族から、逃れる為に」


 !!



 「人族は、自分達が全てだと思っています。それ故、自分達とは異なる姿形の者を認めようとしないのです」


 ……。


 獣族や、ドワーフと同じように、エルフや精霊すらも、差別しているということか…



 「人族皆がそうとは思っていません。けれど、そう思う人族がいる限り、共存は難しいでしょう」


 「精霊族の大陸の大半を占める森は魔力の結界で護られているので、人族が容易に入ることは出来ません」



 「精霊様は好きな場所に留まり、妖精達は自由に暮らしています」



 「コレなんだけどさ」


 私はアイテムボックスから取り出した。


 「イット国近くの妖精に貰ったの」


 種だ。


 「樹か花が咲くらしいんだけど、どこに植えたらいいのか困ってて…」


 「妖精達が撒く種は森を豊かにしてくれています。人族の国に撒いても問題はないものですが、北の大陸にしかない種類なので、気付く人はいるかもしれません」


 「そっか…」


 「ここに植えて行かれますか?」


 「いいの!?」


 「はい。妖精の種なら問題ありません」


 私は土に撒いた。


 その後、威力を落とした水弾で水やりをした。


 花かな、樹かな?


 何が咲くか、楽しみだな〜



 宿屋に着くと、エレと別れた。


 明日はいよいよ、月祭りです!



 スギノルリ、10点とれるのか!?








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