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5話 アイテムボックス


 スギノルリ、この世界で、魔法使いとして生きていきます!


 カランカランッ


 「おはようございます〜」


 私は朝一で魔道具店を訪れた。



 「おはよ、早いね」


 キュノさんが、何冊も抱えた本を本棚へしまっていた。


 「ん?なんだ、手ぶらじゃない。昨日はモンスター倒しに行かなかったの?」


 「…?行きましたよ?」


 「魔石や魔物は?もう売って来たの?」


 「いや、どこで売れるのか知らなくて」


 「ギルドに売るのが基本だけど、魔石ならうちの店でも買い取れるよ」


 「よかった」



 私は机の上にアイテムボックスから魔石を出した。


 ジャラジャラジャラジャラ…


 魔法陣からたくさんの魔石が出てくる。

 全部で100個くらいあった。

 無我夢中でレベルアップしてたもんなー

 うんうん、頑張った。


 そんな私を、キュノさんが驚いた顔をして見ていた。



 「ちょっ、ちょっと待って!それってまさかアイテムボックス!?」


 「はい、そうですけど?」


 「なんで!?」


 「いや、普通に、もともとのスキルで持ってて」


 「……」


 キュノさんは黙って何かを考えていた。


 

 「ルリ、だったよね」


 「はい」


 「アイテムボックスを持ってることは隠しときな」


 「なんでですか?」


 「アイテムボックスのスキルはレアなんだ。持ってるやつは限りなく少ない」



 「欲しがるやつ、アンタを利用しようとするやつ、とにかく、持ってるってバレると色々と厄介だよ」


 「知らなかった…」


 召喚者だから?今になって特別なスキル持ってましたって言われてもね…


 とにかく、隠しといた方がよさそうだ。

 初めてバレた人がキュノさんでよかった…

 って、キュノさんが信用出来るかはわからないけど…


 

 私が不安そうにしているのがキュノさんに伝わったのか、


 「安心しな、誰にも言わないよ」


 キュノさんが優しく笑った。


 「大事なお得意様を逃したくないしね」


 「……え?」


 今度はニヤリと少し意地悪な顔をしている。


 「アイテムボックスを持ってれば、アイテム持ち放題じゃないか!薬草や魔力回復薬をたくさん持っておけるし、今回みたいに魔石もたくさんとってこれる!道具屋にとってこれ以上のお得意様はいないさ!」


 キュノさんが立ち上がり熱く語ってくれた。


 「ははっ」


 私は笑った。

 よかった。キュノさんは大丈夫そうだ。


 「ありがとうございます」


 私がそう言うと、キュノさんはまた、初めのように優しく笑ってくれた。




 「さて…と」


 ジャラジャラ……


 キュノさんが魔石を並べ、調べていく。

 そういえば、ウサギの魔石は透明だったけど、こうして見たら、少しピンクっぽいのもあるな。


 「これって、どうして色が違うんですか?」


 「あぁ、アンタはじめてだったね。魔石はね、強い魔物ほど色が濃くて、形も大きいものが出るのさ」


 「へぇ〜!」


 「この色だと、ウサギ、ブタあたりを倒して来たんじゃない?あ、何匹かウシもいるね」


 「そうです!」


 なるほど、小さくて弱いウサギはほぼ透明だったけど、大きくて少し強かったウシは、ピンクっぽい魔石だったってことか。


 「ウサギ10G×60で600G、ブタ20G×35で700G、ウシ40G×5で200G、合計1500Gだね」


 「やった!中級魔導書が買える!」


 「……。アンタこれ、一晩で倒してきたの?」


 「そうですよ?」


 「……。中級魔導書が買えるって喜んでたよね。ってことは、レベル10になったってこと?」


 「はい!」


 「アンタ何者?」


 「え…」


 キュノさんの綺麗で大きい目が、細く険しい顔となり私を睨んでいる。


 「ありえない」


 「え?」


 「一晩でこれだけの魔物を倒すことも、たった一晩でレベル10まで上がることも普通じゃありえないってこと!」



 「……どうしてですか?」


 「例えばこれが職業剣士ならわからんでもない。剣士ははじめのうちはレベルが上がりやすいし、魔力を必要としないから、薬草をたくさん持っていけば出来なくもないだろう」

 

 「けどアンタは魔法使いだ。魔法使いには魔力の限界が必ずある。しかも、レベルが低いうちは持ってる魔力も少ない。だからこそ、魔法使いはレベルが上がるのが他の職業に比べて断トツで遅いんだ」


 「魔法使いがレベル10に達するには、多くのやつは1ヶ月はかかる」



 「アンタ、他にもなんか隠してるだろ?」


 「……」


 鋭い緑色の瞳が私をじっと見つめている。


 どうしよう…

 キュノさんに言うべきか…


 少し考えて、私は答えた。


 「私、人より魔力多いみたいなんで!」


 無限大♾とは、さすがに言えなかった。


 「ふーん…。ま、そーゆーことにしといてあげるよ」


 納得はしていない、って感じかな。

 けど、それ以上聞いてもこない。

 キュノさんには、いつか話してもいいのかもしれないな。



 「中級魔導書、買ってくの?」


 「はい!」


 

 ブゥゥゥゥーン…!


 前回と同じように、魔導書へ手を当てた。

 魔導書が消え、手の甲に紋章が浮かび上がる。



 「よし!」


 私は掌を強く握りしめた。




 スギノルリ、中級魔法使えるようになりました!




 

 

 


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読んで面白そうだから読むんだけど、∞が絵文字なのがすごく気になる 自分の環境のせいなのかもしれんけど
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