ぷろろーぐ:R15。あ、でも彼女は十三歳でした
整頓された勉強机。かわいらしいクマのぬいぐるみ。ピンクのクッション。
何度もお邪魔して、少し慣れてきたこの空間だが、目の前の女の子との距離が少し縮まっただけで、心臓がうるさいほどに暴れ回り、両掌は少し汗ばんでしまう。他人のベッドを自らの汗で湿らせるという、げに罪深き所業を成している俺は菅原勉。今春大学に入学したばかりのピッカピカの一年生。
「……してほしいんです先生。だめ、ですか?」
一方その俺にずいと詰め寄り、無邪気に、無自覚に、小悪魔的に年上の心をかき乱す、いと罪深き所業を成すこちらの少女は里咲梅乃ちゃん。今春中学校に上がったばかりのピッカピカの一年生。まあ、とりあえずどっちも罪深いなら両成敗ということで。
「いや、だって、そんなにしたら俺の身体が持たないよ」
「でも、今のままじゃ全然足りません」
ぎし、とベッドをきしませながら、さらに梅乃ちゃんが前かがみになる。
いや、やめてやめてやめて。そんなに前かがみになったら、ブラジャーの向こう側まで……じゃなかった、ブラジャーまでみえちゃうから。見えちゃったらもう、なんか罪悪感で断れなくなっちゃうから。決してその艶やかな肢体に興奮したとか、頼りない表情に庇護欲をそそられたとか、甘えるような声にあてられたとか、そんな不純な理由で心が揺れたわけではないのであしからず。その俺に、梅乃ちゃんはさらに追い打ちをかけた。
「あの、回数を増やすのが難しいなら、その分、一回一回を濃密に……」
「むりむりむり、今より濃密にしちゃったら、今度は梅乃ちゃんのほうがもたないよ。もしかしたら意識がとんじゃうかも……」
「いえ、私がんばりますから。先生のなら我慢できますから」
「いや、でも俺は梅乃ちゃんの先生なわけで」
「この際、先生とか生徒とか関係ありませんっ」
手ぶりに合わせて揺れるショートボブ。気のせいかかぐわしいシャンプーの香りが俺の鼻孔を刺激する。必死な瞳で訴えられて、また、ぐらりと心がゆらぐ。だって、梅乃ちゃんはすごくかわいい。ああとうとう生徒のことかわいいとか言っちゃったよ。
まだあどけなさの抜けない丸顔が、大きな瞳が、長いまつ毛が、発展途上の彼女のあやしい魅力を演出している。かと思えば唇は少し濡れていて、ホットパンツから除く両足は驚くほどに色っぽくて、彼女が既に大人の女性であるとアピールすることを忘れない。こんな女の子に上目使いでおねだりされて、応えられないなんて男が廃るというもの。
俺は覚悟を決めて優しく梅乃ちゃんの肩に両手を乗せた。
「わかったよ。俺も初めてだから、上手くできるか分からないけど……」