表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学生失格  作者: 利苗 誓
1/22

アバンタイトル


 世界は時に残酷で、時に美しい。

 

 だなんて言うけれど、そう言い切るにしては、あまりにも残酷な部分ばかりが前面に押し出されてはいないだろうか。

 子供の頃の夢なんてものを叶えられる人間はほんの一握りだし、そもそも夢を叶えた人間と出会うことすら難しいかもしれない。プロ野球選手だとか俳優だとか漫画家だとか、そういう際物で食っていける人間なんて、枚挙することすらおこがましいほどの数しかいない。

 好きな子にフラれることだって多々あるだろうし、行きたい学校にすら進学できない奴も沢山いるだろう。


 それでも俺たちは、そんな何も叶えられない自分を直視したくなくて、今の生活が幸せだ、だとか、こんな良い友達たちに出会えたことが俺の一番の財産だ、だとかしきりに自分の人生を肯定したがる。自分が肯定しなけりゃ誰も肯定してくれない、何も持っていない自分を慰めるかのように、幸福だという自分をやたらに外に発信する。

 自分が取った選択肢をあたかも最善であるかのように思い込むことで、そんな現実から目を逸らし、なあなあにして、だましだましで生きていく。

夢を叶えることが出来る人間なんて、物語の主人公くらいのものだ。僕たちは、決して主人公なんて役柄じゃあない。社会の歯車でしかない僕たちは、平凡に生き、夢を叶えることもなく平凡な人生を送っていく。

俺たちの人生は激動ではあっても劇的ではない。記憶はされても記録はされない。


 今一つ問おう。


 君は胸を張って、自分の人生に満足していると言えるだろうか。





 俺は、言えない。

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ