転生理由
「あの、私は何処に連れてかれるのでしょうか」
「黙って引きずられてろ」
「はいぃ」
はぁ、俺はいつからこんな情けなくなってしまったんだろう……
数十分くらいだろうか、引きずられ連れてこられたのは大きな扉の前だった。
「ここは?」
俺は連れてきた張本人に聞いた。
「魔王様のお部屋だ」
「魔王!?」
「貴様、魔王様を呼び捨てとは良い度胸だな。ここで首をはねてやろうか?」
彼は手に持った槍を首にあてがい、俺にそう告げた。
「すいませんでした!!」
見よ、このプライドのかけらも無い綺麗な土下座を!!
「とりあえず、中に入れ」
「わ、分かりました」
ここは、素直に従っておこう。じゃないと命に関わるからな……
「魔王様!怪しい者が居ましたのでお連れしました」
「うむ、ご苦労。とりあえずゼヌ、君は外してくれないか」
「はい、かしこまりました」
そう言い、彼は出て行った。そうかあの龍の顔した怪物はゼヌというのか
「それで?君はいったい誰かな?」
魔王と呼ばれる彼は、どちらかと言えば人間に似ている。日本人そっくりだ。髪は黒く、目も黒い。身長は175といったところか……
「私は、霧生煉夜と申します」
「ふむ、霧生煉夜というのか」
そう言うと彼は、スマホによく似た物を取り出し弄り始めた。正直羨ましい。
「そうか、君が神の言ってた転生者か」
「えっ、確かにそうですが、よくご存知で」
「神からメール来たから」
そう言い画面を見せてきた。いや、本当にきてた。
てか、そうかそうかと納得してるみたいだが俺は今のところ何も理解できてないぞ?
「で?君の能力はどんななのかな?」
「えっ?能力ですか?」
能力?なんだそれ、身体能力的なあれか?それともよくゲームで見る、魔法とかの類いか?
「すみません、よく分かりません」
某人工知能みたいな受け答えになってしまった。
「そうか、でもおかしいな」
「何がでしょう」
「普通なら転生前に神から教えられるはずなんだが」
えっ、そうなの?教えて貰ってないんだけど。
「教え忘れたのかな……」
「そうじゃないですか?」
「ちょっと失礼」
そう言うと彼は徐に俺の額に手を当てる。
「あれ?あれれ?」
「どうしました?」
彼が慌ててる様子なので聞いてみる。
「君には何の魔力も流れてないどころか、種族がただの人間みたいなんだけど」
「嘘だ!!」
「いや、本当」
マジでか、俺死ぬぞ。例え前世最強な俺でも無理だろ
「そういえば、君は前世でどんな罪を犯したんだい?」
「えっ、罪?」
「うん、魔王側に転生される人は何かしら罪を犯してる人なんだけどさ、君はどうなのかなって」
「特に犯してませんよ?」
起こすわけ無い。なんたって俺は品行方正でも売ってたからな。
「そうなの?ほら、女子からモテたとか、告白されまくってたとか、チート的なステータスだったとか」
「確かに告白はされましたけど」
それがどうしたというのだ
「それは重罪だよ?」
「は?」
「そりゃ、こうなるなぁ」
なんでだよ!!