パンツ見せるからお金頂戴
閃く小悪魔の商売頭脳。
「ふ、ふふふ…………」
御子柴は、授業中に新たな悪戯を思いつく。楽しんで、お金をふんだくる。新たな事業。
◇ ◇
【下着姿を見たい方は、1000円でお見せします。先着40名様、17:00に放送室に来て下さい】
A4用紙に黒マジックで書かれた、ご本人様直筆&写真付きの、ちょっぴりエロなご広告が放課後の掲示板と、LINEやツイッターなどにも載せられ、校内中に宣伝されるほどだった。
どうやら下着姿となる人物は、川中明日美という女子高生。可愛いポーズを撮った女子制服の写真に興味がないかって?
「な、な、なんだってーーー!!」
「川中さんの下着姿ーー!?」
男子生徒達がご興奮して、大声を出すほどであり、
「なんて破廉恥な!!高校生活にあるまじき事!止めますわよ!」
「しかし、止めるには1000円を払うしかないな!!」
「1000円を払って止めよう!!私共が止めるので、女性教員の方々は後日、怒ってください!!」
男教師達も唸るほどである。
見た目良し、性格良し、成績良し、彼氏は今いない良し、家事全般良しと来た。この学校一の美少女ならぬ、唯一にして絶対の天使である、川中明日美である。
そんな彼女の下着姿である。
「なにこれー!?川中さんってこんな方だったっけ!?」
「1000円で良いの!?行くぞ!なぁ!!」
クラスメイトの男子、相場や舟も絶対払うわ。って感じであったが、その2人の親友である坂倉は冷静な指摘。
「……相場、舟。止めておけって。なんか嫌な予感するぞ。御子柴の悪戯じゃねぇの?」
「坂倉!お前、彼女いるからって調子に乗ってんな!?」
「可愛さ、胸の谷間、下着ときて……さらなる展開もあるかもしれないんだぞ!!」
「いやいや………」
聞いてはくれない。いやしかし、
「しょうがねぇな。お前等のために俺も行ってやるか」
「テメェ!!迎っていうロリ彼女がいるくせに!俺達をダシにして、行く気だったな!!」
「迎ちゃんに言ってやるわーー!!こいつ、ムラムラしてるって!!」
その坂倉も大体同じである。川中明日美は学校の天使であるからだ。
それがほとんどであるように、
「うおおおーっ!放送室に行くのは俺だーー!」
「教師は引っ込んでろーー!」
「天使の笑顔と下着を見たら、あとの高校生活なんてどーでもいいんじゃーー!」
「いや!こんな行為をする女子生徒を止めるのが、教師の役目ーー!」
「そうでしょ、校長先生!!」
「違うわーい!儂はただ、なんとなく、放送室に行きたかっただけーー!」
「教師と生徒のなんちゃらより!青春させろーー!」
放送室近くでは男子達の大乱闘状態。
そこへお金回収係をなんかやらされた、御子柴の親友にして協力者の嶋村がいた。
「とりあえず、皆さん。1000円払ってくださーい。大丈夫ですよ、変態は40名ぐらいだと思ってましたからー」
「分かったよ!」
「払うから行くぞーー!」
「あ、放送室狭いんで順番で。先に金を回収~」
キッチリ、1000円。4万円の稼ぎである。
そして、金を払えばもうどーでも良くなってしまう男達。いったいどうして
バァンッ
「川中さーーん!!」
「どうして下着姿なんかに!?」
当たり前のオカシイを叫びながらのご入室。そして、当たり前のように
「きゃーーーーーー!!!」
鼓膜に効くほどの大絶叫を上げ、超赤面中の川中明日美と
「よっ」
今まさに、そんな彼女の前で。大絶叫の一種に入るのか、ドキドキなのか分からないような状況を作っている男が1人。ここに集まって来たど変態共とは明らかに格差の違うイケメン。四葉聖雅がそこにいた。
そんでもって、ちょっとモッコリしている状態のトランクス。上は制服のYシャツという。もうあれじゃないですか。イケナイ情事が行なわれそうな局面に
ビキィッ
この分け分からん空間に、亀裂が入ったような音と現象が起きた。……気がした。
「こんなに集まったのか。下着好きの。いや、川中さん好きの方が」
「あ、は?」
「え?」
入ってくる変態共は、当然。川中を見た。っていうか、ズームするくらい注視した。
彼女はふつー……の、制服姿。いつもの服を纏った天使だ。
それで、隣の男はなんで半裸?しかもなんで下がないの?
「よ、四葉。おい。どーいう事だ?」
「相場。御子柴ちゃんにね。下着姿になるだけで、1万って言うから。俺はやったんだ」
「ちょ、ちょっと待ちなさい。か、川中さんが下着じゃないの?」
「先生。そんなこと書いてないでしょ。約束だけしてます」
「写真が川中さんだったぞ!!」
「それが事実というのも書いてないっすよ。ネット社会の恐ろしいところですね」
「屁理屈ばっか言いやがって!お前の下着姿なんか誰も観たくねぇわ!!っていうか、こっち向けながら○○○すんな!」
「俺は君達にも興奮するんだがね。ゾクゾクする。こんなに興奮している人達を見ると」
「止めろ!イケメンの残念野郎!!」
おそらくこれ。普通の男だったら、袋叩きであっただろう。しかし、この四葉はイケメンであると同時に
「先生も俺とそんなことを期待してたんですか」
「アーーーーーッ」
ホモである。
もし、川中1人であれば、犯罪で良いから全員で弄んだ事だろう。しかしこの四葉は、その気になれば屈強な男達が相手であろうと、
「だーれと、……遊ぼうか」
「逃げろーーー!!」
「畜生ーー!」
「騙されたーーー!!」
襲っちゃう。
だから、みんな逃げる。廊下であろうと、走る。全力で逃げる。
「あははははは、面白いね。下を穿くから。ごめんね、川中さん」
「あ、あ、あのですね。四葉くん……」
「俺は君と一緒に、みんなに悪戯できて楽しかったよ」
「!……あははは。私もですけど、私から御子柴ちゃんには怒っておきます。それと」
四葉の容姿は川中の男バージョンと考えて欲しい。女子が注目している男子生徒であるが、この性格。むしろ、性癖。ちょっとドキマギしていたのに、残念な気持ちが出てしまう川中であった。
「ひとまず、その」
川中は放送のスイッチを入れて、叫ぶ。
「廊下を走らないで!!この、変態共!!」
ある意味、天使のありがたいお声であった。