イケメンは何をしても絵になる説
馨の秘密を知るべく友人の直樹の誘いで、
連れてこられたのはまさかのゲーセン。
そこで目にした、彼の意が意外な一面とは!?
「んじゃそういうわけで、お前らも自由に見てきていいぞ」
浅沼君はそういうと、寺濱君と一緒にそそくさ行ってしまう。
自由に見てきて、と言われても……
初めてきた私にどうしろと!? 回り方とかわかんないし!
そもそも何がどうなってるのか、未知の世界すぎるんですけど!
「どうしよっか、柴乃」
「そんなこといわれても……まだよくわかんないし……」
「じゃあついていってみる? 浅沼君のとこ」
さすがあんちゃん、名案だな。
確かに回り方分かんないわけだし、別にいいよね。
別に、気になってたわけじゃないわよ? あんちゃんがいってみる? って言ったから行くだけだし。
そう自分に言い聞かせつつ、浅沼君と寺濱君のあとをついて行ってみる。
少し奥の方に行ったところに合ったテレビのようなゲームのところに、二人の姿を見つけた。
「さっすが馨! いきなり高スコアだよ!」
「……ん」
「初めてやったのにすごいね~次はどうするの?」
「……一位の奴と4pt差か……悪い直樹、もっかいやる」
「うええ?! またそれぇ?? 4ポイントくらいいいじゃん!」
「あと小銭切れそう。これくずしてきてくれ、よろ」
「ちょ、ちょっと馨! もう!」
寺濱君の話を聞いているのかいないのか、浅沼君は無言でそのゲームをプレイしだす。
あんちゃんに教えてもらったけど、彼がやっているのは「サバイバルゲーム」というものらしい。
おもちゃ用に作られた銃を操縦する彼の横顔は、遠くからでもかっこよくて……
「あれ、柴乃さんと渉さん?」
げっ! 油断した!
私としたことが、見つかっちゃうなんて!
「わ、私はただ回り方が分かんなかっただけで……別に、気になったからついてきたんじゃないからね!?」
「柴乃、それじゃバレバレだよ……」
「う、うるさいっ!!!」
「あー……すみません。馨、ああなっちゃうと聞かないんで」
寺濱君はそういうと、私たちの近くにあった両替機に千円札を投入する。
小銭を一枚一枚とっていく彼を眺めながら、私はつい
「あんたがみせたかったのって、このことなの?」
と、気になっていたことをぶつけた。
「ああみえて馨、かなりのゲーマーなんです。ゲーセンがよいが、彼の生活みたいなもので」
「……だからあんなにうまいんですか?」
「ええ、まあ。ゲームになると負けず嫌いで、極めずにはいられないっていうか。このことは僕しか知らないので」
寺濱君しか知らない、彼の秘密。
それはわかるけど、なんで隠すんだろう。
ゲームが好き、なんて別に悪い事じゃない気がするんだけど……
「このことが女に興味ない、ってのに関係してるってわけ?」
「それが僕も詳しくは知らなくて……本人が隠したがってるので、僕的には関わってるんじゃないかなって」
この人でもわからないんだ、あの人のこと。
やっぱり浅沼君って、謎な人……
それって落とすにはかなり大変なんじゃ……
「あれ~? ひょっとして、お姉ちゃん?」
……この嫌味ったらしい声は……!
嫌な予感しかしないまま、ばっと振り向く。
そこにいたのは、見たくもない顔だった。
「やっぱり~♪ お姉ちゃんでもゲームセンターに来るんだ~? こんなとこで会うなんて、偶然だね❤︎」
「……姫野こそ、こういうとこくるんだ」
「かわいいお人形がほしいなって言ったら、みんなが連れてきてくれたの~♪ みんな、姫野のために頑張ってくれてるよ?」
なんでわざわざゲーセンに来てまで、こいつに会わなきゃいけないんだろう。
姫野の言ってることは本当のようで、先ほど私達がいたところに男子が何人もたむろっている。
「それでぇ……渉さんはわかるんだけど、なんで寺濱君もいるの?」
「ひえっ!? ああ、えっと僕は、その……」
「姫野様ああ! お望みのものが取れましたぁ!」
「わ~♪ みんなありがと~❤︎ じゃあ詳しい話は、お家で聞かせてね♪ お姉ちゃんっ!」
姫野はそう言い残すと、たくさんの男の人の中に入っていく。
相変わらずあいつは、男を奴隷扱いしかしてないんだろうな……
「ああもう……こんなところで会うんだったら、ちゃんとしとけばよかったなあ……」
その声が誰のものか、一発で分かった。
ちらりと横眼で見ると、寺濱君は彼女だけを見ていた。
どことなく頬が赤くなっていて、うらやましげに光景を見つめていて……
「あんたまさか……姫野が好きなの?」
単刀直入にきいた……だけだったのに、
「うええ!? な、なんでわかるんですか!?」
と慌てたように、私に叫んだ。
「いや、分かりやすすぎでしょ。浅沼君といるときだって、挨拶されただけなのにろれつまわってなかったりとかしてたし?」
「な、なんでそんなことまで!? 誰から聞いたんですか!」
この人の慌てっぷりに、私はため息をつく。
いつもなら、なんであんな奴をと思ってしまう。
姫野の性格の悪さは、誰から見ても最悪なものだから。
でも今は、そう思わない。
このことこそが、私にとってはチャンスなのだから!
「浅沼君のこと教えてもらったお礼よ! 私が姫野とあんたの、恋のキューピットになってあげる!!!」
「ええ?!」
浅沼君は、あいつには渡さない!!!
そう決意して行動した私の姿を、彼が見ていたことを私はまだ知らない……
(つづく!!!)
と、いうわけで馨君はゲーマーです。
今までUFOキャッチャーが得意な子はいたんですが
シューティングやら音ゲーやら・・・
ゲームって色々ありますよね
馨君は主にそちらが得意な、かなりの腕前の持ち主です。
同じ言葉・ポイントとptは二人の対称を表してるので
決してミスではありませんよ?
次回、ついに物語が動き出します!