ついに解明? イケメンの真の姿!
プール掃除にて、馨の友人・直樹に
彼のことに探りを入れる柴乃。
すると直樹は、放課後一緒に来ますか? とさそって・・・
百聞は一見に如かず。
百回聞くよりも、たった一度でも自分の目で見たほうが確かだという意味。
それは何となくわかる。
別に説明だけでもいいはずなのにあえてそういうってことは、何か意味があったのだろうか。
あれからあっという間の放課後、私は考えをまとめられずにいた。
寺濱君からのお誘いはよくわからないまま引き受けちゃったし、何よりどこに行くかまで知らされていない。
彼が知ってる、浅沼君の秘密って何だろう。
どうして私、こんなにあの人のこと気になってるんだろう。
ああ、もう! なんかむしゃくしゃしてきた!!
そもそもこの私を待たせるなんて、どういう神経してるのよ!
普通、男子が先に来るもんでしょ!?
「怒りが態度に出てきてるよ、柴乃」
隣に本を片手に持ちながら、同じように待っているあんちゃんがいる。
彼女はさも気にしていないように、本のページをめくる。
「一緒に来ませんかって言った割に、ちっとも来ないじゃない! まさか! 約束すっぽかされたんじゃ!」
「寺濱君から誘われたんでしょ? それはないよ。あの人、お人よし過ぎるって噂立ってるし」
「まったく! こっちの気も知らないで!」
「へえ~本当に来たんだ。人気者でも意外に暇人なんだな」
とそこに、またいらつく声が降ってくる。
ばっと振り返ると、浅沼君がいた。
けだるそうな表情を浮かべながら、買ってきたのか紙パックのカフェラテを口にしている。
後ろの方には「お待たせしました」と、優しい笑みを浮かべた寺濱君の姿もあった。
「遅いわよ! いつまで待たせる気!?」
「悪いな、先生が意味不明な熱弁かましてさ。遅くなった」
「それで? どこに行くつもりなの?」
「どこって直樹から聞いてねぇの? ゲーセン」
ゲー…………セン?
「こいつと二人で行くってなってたから、つまんないって言われても責任とれないぞ~」
「やっぱりそういうところって、女の子は嫌……ですかね?」
「いえ、私は大丈夫なんですけど……柴乃、どうしたの?」
呆然としていた私に、やっとあんちゃんが気づき話しかける。
彼女の言葉にこたえるかのように、私は一言
「ゲーセンって、何?」
と正直なことを言った……だけだった。
「柴乃さんってゲーセン知らないんですか?!」
「え、えっと……うん」
「前々からお嬢様っぽいなとは思ってたけど……本当に知らないんだ?」
あんちゃんの問いに、浅くうなずく。
お嬢様、というほど私の家は高貴ではない。
ただ昔から俗にいう「箱入り娘」状態で、家からろくに出してもらえなかったからか世間に疎い。
それは中学時代に、あんちゃんと友達になってからすごく痛感した。
高校に上がる前までにそういうのはなくしたつもりなのになぁ……
「ふうん、ってことはお前ゲーセンのなんたるかも知らないわけ?」
「……悪い?」
「悪い。人生の半分を損してる」
浅沼君はそういうと、急に私の腕をつかむ。
あまりのことにびっくりして、急に体が熱くなる。
「なっ、何するの!?」
「行くぞ。時間がもったいない」
つかつかと私の腕を引っ張りつつ、寺濱君と何かしゃべっている。
よかったねと耳打ちしてくるあんちゃんに、私は赤くなっている顔を隠すの精いっぱいだった。
「ここが……ゲーセン?」
目の前に広がる光景に、私は思わずぽかんと口を開ける。
ゲーセンと呼ばれたその場所は、私の予想を色々な意味で覆した。
きらびやかな装飾と、何かとまぶしい照明。
BGMのような音楽がガンガン鳴り響いている。
小さな子供がいるかと思えば、私達のような学生までいる。
「思ったより人、多いんだ……」
「そりゃゲーセンだからな」
「あの……そもそもゲーセンって?」
「ゲームセンターの略。まあいえばアミューズメント施設のようなもんだ」
「へ、へえ……」
「せっかく来たんだ。人形でも取ってやろうか?」
そういうと浅沼君は周りを一目し、ぴんときたのかある場所へ歩いていく。
そこには大きな箱のようなものの中に、なんともかわいらしい人形がたくさん置いてあった。
彼は財布から百円を取りだし入れたかと思うと、アームのようなもので人形をいとも簡単につかみ……
「ほれ」
と、私に差し出した。
その一部始終を見ていたあんちゃんも、驚いたような表情を浮かべている。
「あ、浅沼君ってすごい……UFOキャッチャーって、難しいのに……」
「そうか? プロから見れば、初歩の初歩だろ」
彼のを見たせいか、私もそんなにたいしたことないと思った。
あのアームを見る限り、だれでもとれちゃうのかなって。
でもそれは違う。浅沼君の技術あってのものだ。
事実、近くでプレイしている人が取れないと頭を抱えていたり、もう一回と意気込んでいる姿がある。
それなのに何事もなく、軽々やってのけるなんて……
「これ、私がもらっちゃってもいいの?」
「そのためにやったようなもんだしな。初ゲーセン記念、ってやつ?」
「馨~今一通り見てきたんだけど、あっちに新しいのが入ってたよ~」
「でかした、直樹。んじゃそういうわけで、お前らも自由に見てきていいぞ」
まだ事態をうまく把握できていない私にも関わらず、浅沼君は寺濱君と一緒にそそくさ行ってしまったのだった……
(つづく!)
先日、前にやっていたゲームを始めたんですが
前の引継ぎが行方不明状態で困ってます。
もうレアなの当たるまで最初からやろうという、
そんな考えをしている自分は最低ですね、はい。
次回、馨君の素顔が次々に!