イケメンを尾行したら熱愛報道が発覚した件について(嘘)
馨のあとを尾行していた柴乃と杏珠が見たのは
まったく見覚えがない男子生徒だった!
「お前が遅いのが悪いんだろ? 待ってただけいいと思え」
「それは感謝してるけど……遅れたの、馨のせいだよぉ? 女子が馨に夢中で話聞いてくれないって、なんで僕が怒られるの?」
「日頃の行いじゃね?」
「え~ひどいよ馨ぅ~」
耳にイヤホンをはめながらでも、普通に会話をしている浅沼君。
彼のもとにやってきたのは女子……ではなく、背が低めの男子だった。
彼の友達、なのかな。
イケメンだから、友達もイケメンなのかとは思ったがそうではなかった。
割と普通などこにでもいそうってイメージの、人。
あの人といるせいか、存在が薄いようにも見えるような……
「あんな人、同じ学年にいた? 初めて見たんだけど」
「……うーん、私も初めて、かな。浅沼君と同じクラスの人かも」
友達がイケメンだと、ああも目立たないものなのだろうか。
というか、意外だ。
浅沼君自体、友達とか作らなそうにも見えるのに。
案外普通に接してるんだな。男子って不思議。
「そういやこの前バイト先で、渕脇の姉の方に会ったぞ」
ん? 今、渕脇の姉の方って言ったような?
きっと気のせいよね、空耳空耳っと。
「えっ? お姉さんってことは、隣のクラスの柴乃さん?」
いやどう考えても、間違いなく私のことじゃない!
まさか、あっちから話題を振ってくれるとは!
「双子っつうのにまるで違うんだな、どうせ付き合うなら姉の方がいいんじゃねぇの?」
「確かに二人ともかわいいけど、人にはそれぞれ好みがあるんだよ! 僕にとってあの人は神とも呼べる存在だからね!」
「お前の中のランキングは相変わらずどうなってるんだよ……」
二人はなおも変わらず、楽しそうに話を続けている。
心なしか顔色が明るく見える浅沼君の姿に、どうしようもなく胸が苦しかった。
どんなに抑えても、鳴りやまない動機。
やっぱりこれって……そういうこと、なのかなあ……
「あっ、浅沼君み~っけ♪」
ん? この声、どっかで聞いたことあるような……
ちらりと後ろを振り返ると、そこには姫野がいた。
いつもはたくさんの男子を従えているのに、今日は彼女一人。
私達が隠れていることに気が付いているのか、目が合ったような感じがする。相変わらずの笑顔には、不気味な雰囲気を漂わせていて……
「あれ? 寺濱君も一緒なんだ♪ やっほ~!」
「ひっ! ひひひひひひ姫野さん!!!? ええと、本日はお日柄もよく♢☆□※!!」
「直樹~ろれつ回ってないぞ~」
「うふふ♪ やっぱり寺濱君って面白~い❤︎」
寺濱君と呼ばれた友人らしき少年は、恥ずかしそうに馨君の背中に顔を隠す。
そんな彼を呆れているのかいないのか、何も言わずに浅沼君は姫野に向き合った。
「それで? 俺に何か用?」
「浅沼君って彼女とかいないんだよね? だったらさぁ、姫野と付き合わない?」
!?
「ほら、浅沼君っていつもファンのお誘い断ってるじゃない? 毎回断るの大変でしょ? 姫野と付き合ってるって言ったら、みんな誘わなくなると思うんだよね~」
「ほお」
「な・の・で❤︎ どうかなあ、悪い話じゃないと思うけど」
やられた。まんまとあいつの策略のうちだ。
実際に彼と姫野が話しているところなんて、今まで見たことない。
さては私が彼を気になっていることを知って……? なんて妹なの!
「……悪いな、渕脇。俺、あんたとは付き合えないわ」
「どうして? こんなに姫野がかわいいのに? 奴隷たちのことなら、何も心配……」
「あんまりこういうこというのはあれだがな、この際はっきりと言っておく。俺、女に興味ないから」
そういった浅沼君の言葉に、私も姫野も衝撃のあまり声が出なかった。
(つづく!!!!)
こんなタイトルのつけかたと、終わり方をみるとあれですね。
じゃあ馨君ってそっち・・・!?
って思いがちですが(ちなみに作者もそう思います)
違います。はい。ここで言っておきます笑
次回! 曲者イケメンVS美少女!