これが俗にいう転機ってものです
ストレス発散の場の喫茶店に行くことになった二人。
そこで出会ったのは
美男美女コンテスト首位の青年、浅沼馨だった!
「あー、悪い。気になったものでつい。俺は浅沼馨、蛍雪高校二年二組」
かすかに香ってくるコーヒーの香りが、私の鼻を刺激する。
その整えられた目鼻立ち、思わず二度見してしまうほどの美しさはまさに「かっこいい」と言われてもおかしくないような……そんな人だった。
一年間高校に通っていたとはいえ、彼を間近で見たのは初めてだ。
今まで男子になんて、到底興味なんてわかなかったし。
しかも、私と姫野を一目だけで見分けるなんて……この人、ただものじゃないわね。
そんな私がみつめているからか、彼も興味深そうにふうんとつぶやいた。
「やけに今日は騒がしいと思ったわ。美女ランキングの二位様がいれば当然か」
「ちょっと、二位を強調しないでくれる?」
「双子ともどちらも上位とは。俺的にはどっちもそう変わんないように見えるけど」
むかっ!!!
なんなの、こいつ! 腹立つんですけど!
確かにそっくりだけど、あんな奴とは全然ちっともまったく違うのに!!!
「んで、そちらの人はお友達?」
「あ……えっと、渉といいます……浅沼君、ここでバイトしてるんですか?」
「一応な。同級生なんだし、敬語使わなくてもいいぞ?」
浅沼君がさぞ不思議そうにしながらも、まあいっかとすぐに飽きたようにつぶやく。
彼はお盆においてあったチョコレートパフェを、私の方に寄せておいた。
「優雅な女子会を邪魔して悪かったな。じゃあ俺はこれで」
「ちょっ、ちょっと待って! なんであなた、私が姫野じゃないってわかったの? 私達、会うの初めてじゃ……」
気が付いた時には、彼を呼び止めていた。
むかつくとか、そんなんじゃなくてただ純粋に気になったこと。
どこへいっても私は、姫野と間違われた。
それが嫌で、憂鬱で仕方なかったのに……
「さっきも言ったろ? 雰囲気的な問題だって。男の中じゃ、お前らのこと結構有名なほうだし」
「雰囲気?」
「双子だから中身も似てんのかと思ったけど、こっちの方が気楽そうだわ。ごゆっくりどーぞ、渕脇柴乃さん」
その時の笑みはあまりにも美しく、きれいで。
止まっていた時間がいきなり動き出すかのように、それは突然やってきた。
彼の笑みが、言葉が、頭に蘇ってくる。
「なんか、感じのいい人だったね。……柴乃?」
違う。まさか、そんなわけない。だって、あいつ男の人だよ!?
この私があんなイケメンごときに、やられるわけ……!
「……柴~乃」
「ほえっ!? な、なにあんちゃん!」
「もしかして……落ちた?」
「な、なわけないでしょ!? 男なんて大っ嫌いよ!」
そうよ、私。騙されちゃダメ。
所詮あんなの、見かけ倒しに決まってる。
あんなイケメンだからってことだけに、私が落ちるわけ……
「その様子だと、落ちたでしょ」
「なっ! なんでそう思うのよ!?」
「だって柴乃、嘘つくと食いつき気味になるでしょ? さっきも上の空だったし。ばればれ」
うぐっ……!
「恋すること自体悪い事じゃないんだから、そんなに否定しなくても」
あんちゃんの言うことは、正しい。
ただ受け入れることができないのは多分、彼がイケメンだからということだ。
男なんてどれも一緒と思って嫌ってた自分が、見た目だけでひかれるとか笑い話にもほどがある。
しかも今日あったばかりだよ!? ありえない! 絶対!
「やっぱり柴乃って、手に取るほどの単純だね」
「勝手に決めつけないでよ! あんな見掛け倒しのイケメンなんか、私っ、全然好きじゃないんだからぁぁぁ!」
あんちゃんにそう叫ぶ間でも、脳裏にはしっかりと彼の笑みが刻まれ、忘れることはできなかったー
(つづく!!)
要するに、柴乃って案外ちょろいんですよ。うんうん。
というのも馨君がかなりのイケメンだからです。
イケメンキャラを出すのは
私のモチベーションにも関係しますが、
彼は絶対かっこいいと思ってます、想像でしかないですが。
次回、馨君を巡って柴乃ちゃん大奮闘?