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かわいい顔には棘がある

主人公・柴乃は、自信が可愛いがゆえに

寄ってくる男子が大嫌い。

そんな彼女と真逆な双子の妹・姫野とは

いつもけんかばかりで・・・

授業終わりのチャイムが、校内に響き渡る。

同時に、先生が教室を出る。

その様子を確認しつつ、私はうーんと背伸びした。


やっと長い一日が、今日も終わった。

毎日毎日勉強なんて、せいせいしちゃう。

どの授業も、私にとっては退屈だ。

当てられるといつも男子から注目の的だし、正解すると大げさに拍手してくれる。

まったく、こっちの気も知らないで……


「ねぇ! 今年の美男美女コンテストの結果! もう発表されたって!」


「うっそ! マジ! 早速見に行かないと!」


なんだか女子も男子も、やけに騒がしい。

うちのクラスだけでなく、他のクラスの人達も次々に教室を出ていく。


「柴乃、行かないの?」


なかなか腰をあげようとしない私に、あんちゃんが話しかけてきたのはその時だった。


「はぁ? 行くってどこに」


「結果でたってみんな言ってたでしょ? 気にならないの?」


「ふんっ、そんなの私が一位に決まってるじゃない」


「そのセリフ、去年も言ってた気がするんだけど……とりあえず、見るだけ見てみない? 帰り道なんだし」


「……まあ、あんちゃんがそういうなら」


彼女に言われ、ようやく立ち上がる。

私達が通うここ、蛍雪(けいせつ)高校(こうこう)には変わったイベントがある。

それが、美男美女コンテストだ。


生徒会が学校を盛り上げるためという名のもとに、昔から続いているらしい。

年に一回行われるそれは、男女ともに学年問わず「かわいい」「かっこいい」と思う人に投票する形になる。

全校生徒、というわけにはいかず自分に自信がある人、またはクラスなどの推薦で決まった人がそこにエントリーされる。

実に、いたってシンプルなイベント。

当然この私が、エントリーしていないはずがなく……


「あっ! みてよ、あんちゃん! 一位に私の名前がある! まあ当然の結果よね!」


「あ、ほんとだ。すごいね、柴乃」


どうよこの圧勝ぶり!

優勝して当然! 今年こそ、私の勝利は決まって……


「……待って、柴乃。確かに渕脇って書いてあるけど……その横」


「横? 人がいっぱいで見えないんだけど」


「一位のところ、柴乃じゃなくて姫野ちゃんだよ」


「う、うそでしょ!?」


衝撃のあまり、人ごみをかき分けて一番前の方に出る。

そこには一位から五位までの順位が並んでいた。

渕脇柴乃とかかれた名前の横に書かれていたのは、二位という文字。


「わ~! 二年連続で一位だぁ♪ あっ、また会ったね❤︎ お姉ちゃん❤︎」


いつの間にいたのか、隣には姫野がいた。

何人かの男子を後ろに連ねて。

彼女は私をまるであざ笑うかのように、笑みを浮かべた。


「あれ~? お姉ちゃん、また二位~? かっわいそ~」


「う、うるさい! これは何かの間違いよ!」


「え~負け惜しみとか恥ずかしくないのぉ~? 素直に負けを認めたら?」


「なっ……! どうせまた下僕とか何かを使って、票を集めたんでしょ! 卑怯よ!」


思いっきり叫んで、はっと気づく。

姫野はさっと真顔に戻り、私の顔をじっと見つめている。

次第に、その顔が崩れて……ってまずい! この展開は……!


「ひ……ひどい……お姉ちゃん、姫野のことそんなふうに思ってたの……? お姉ちゃんのこと、信じてたのにぃ……」


そういうと姫野はぼろぼろ泣き出した。

すると一斉に男子達が彼女を囲み、


「姫野様が泣いているぞおおおおおお!」


「姫野様をまもれぇぇぇぇぇ!」


ハンカチを出したり、私から遠ざけたりする。

結果を見に来た生徒のほとんどが、関わらないようにとそそくさ帰っていく。

私を、偏見の目で見つめながら。


「柴乃さん! 姉妹でもいっていいことと悪いことがあります! 謝っていただきたい!」


一人の男性が言ったのを機に、ワーワー言い出す。

その中心にいる彼女と、ふと目が合った。

姫野は涙を拭きながら私に向かって、べーっと舌を出して……


「~~~~っ! 次は絶対、負けないんだからぁぁぁ!」


怒りでたまらずその場を去った私の後を、追うようにあんちゃんが追いかけてくる。

さすような姫野の視線が、去ってゆく私をずっと見ていたような気がした……


(つづく!)

前作から結構空きましたが、その間に私の携帯が

Iphoneになりました。使いにくくて仕方ないです。

作品集での書き下ろしはほぼ携帯で書いているのですが

変えてすぐのころデータが消えて、発狂しました・・・汗


次回、やっと男子が出るか出ないか・・・そんな感じです。

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