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部屋から消えた僕

 友人に誘われてこのゲームを始めた。

 昔からゲームは好きだった、オンラインゲームだっていくつもプレイしてきた。

 だから今回も同じ、別にいつも通り。

 後々「ああ、無駄な時間だったな」って言うのはわかりきってる。

 それでも沢山のゲームの一つだと思いプレイしたら、そうじゃなかったんだ。




 「集合は10時だからな、遅れんなよ」

 そうアイツは言って皆は「おう」って返事を返す。

 幼稚園の頃から大学まで一緒、まさかこんなに長い間同じ時間を過ごすなんて考えもしなかった。

 揃いも揃ってゲーマー、恋愛なんて青春なんて、残念な四人組。

 そんな僕たちが次に選んだゲームがこのオンラインゲームだった。

 どこにでもありそうなストーリー、世界観。ただ違うのは公式サイトがほとんど機能していなかったこと。ストーリーと世界観と発売日だけしか情報を出さないこともあって不信感は募るものの逆に相当自信のある作品なのかもという憶測がネット界隈に広がった。

 発売日が迫る中、発売日前日になってやっと更新される、「午前10時からサービスを開始します」と。


 せっかくの休日をゲームで潰す、どれほどの人がもったいないと言うだろう。

 でもゲーマーは違う、ゲームにかける情熱が違う。朝から夜まで、時には日をまたごうか関係はない。

 だから10時に集合と決まれば9時59分にはディスプレイの前にいるのが当たり前なのだ。当たり前なのにな。

 目覚めれば11時半を時計が示す、「やってしまった」と思いながらもすぐ飛び起き階段を駆け下りる。

 季節は夏真っ盛りの8月某日、蝉の鳴き声が響き渡り太陽の容赦ない日差しがアスファルトの地面に陽炎を作り出していた。

 誰もいない家、実際に家族はそれぞれの目的で外出している。僕だって目的はある、ただこの世界じゃないけれど。洗面所で格闘すること5分、台所で適当に腹の足しになりそうなものを掴み自分の部屋へ駆け戻った。

 冷房はこの夏休みに入ってから止まっていないと思う、カーテンも恐らく日の光を部屋に入れたことはない。そしてこのパソコンも電源は落ちていない、ずっとファンは回り続けオレンジ色の光が点滅を繰り返す。

 ディスプレイ前の机に台所から拝借してきた菓子パンを放り投げ特等席の座椅子に腰掛ける、マウスを持ち少し動かすとディスプレイには綺麗な景色が映った。

 アイコンをクリックしゲームを起動する、一人のゲーマーとしてはスタートダッシュに2時間近く遅れを取ったことをただただ後悔した。

 それにしても誰からも連絡がない、ディスプレイに表示されたnowlordingの文字を横目に携帯電話を確認する。誰からも連絡がないところを見ると連絡することすら忘れえしまうほど面白いゲームなのかもしれない。

 「とは言え遅れてしまったのはこちらなのだから謝罪メールくらい送っておかないとな」。

 遅れてごめん、今始めた、そう書き込んで送信ボタンを押す。丁度目の前の画面にはgamestratと表示された。

 ゲームをプレイする上でキャラクターエディットは重要だ。自分の分身、これから冒険する世界を自分に代わって体感してくれる、この「もう一人の自分」は時間をかけて設定する。それが僕の一つの楽しみであった。

 gamestartをクリックしキャラクターエディットの項目もクリックする、これまでプレイしたオンラインゲームでは当たり前の工程、そう思っていたが選択できる項目が名前と性別だけであった。

 少しばかり熱が引いた、ここは重要だろ、と内心呆れてしまったが時計がすでに12時を回っていた為自分の名前を打ち込み性別を決定する。OKのボタンをクリックするとnowlordingと表示された。

 胸が躍る、新しい世界に羽ばたくこの瞬間こそがゲームをプレイする上で初めて感じる喜びなのだ。

 ただ友人達からの連絡がないことだけが気がかりだった、「すぐに会えるさ」そう思って不安を掻き消す。ディスプレイに「welcome」と表示された.

 僕の部屋に僕はいなかった。




 凄く体が重い、息苦しい、そして暗い。

 今自分の状況がよくわからない、ゲームを開始してそれからどうしただろう。

 ひとまず大きく深呼吸してから目を開けた、アイツら待っててくれたかな。


 目の前には不思議な鳥の絵が描かれていた、たぶん鳳凰とかフェニックスとか、鳥なのは確かだけど名前がわからない、その鳥が大きな翼を広げ飛んでいる。全身をほぼ金色に輝かせ所々赤や橙がアクセントのように塗られていた。

 でも今見ているこれは天井なのだろう、上半身を起こすと僕は小さな部屋の中心にいた。

 見覚えがない部屋、天井の鳥と同じような金色で部屋中が輝いていた。

部屋の隅々には柱が立ちそれは大人一人分の太さで天井を支えている、天井の高さは僕の部屋二つ分だろうか。目の前には扉が一つ、他はすべて壁、そして当然のように金色に輝く。

 部屋のあちこちを見渡したながら理解できない自分の状況を小声で自問自答する。

 (僕は、どうしたんだ)

 服装はボロボロの所々穴が開き伸び切ったシャツとズボン、煤けているような跡がある。靴は履いていない。体はホクロの位置や昔の傷後から恐らく自分のものだと思う。

 とりあえず立ち上がる、さっき階段を駆け下りた時と何も変わらない、何の問題もない。

 (問題があるとすれば僕の頭の中なんだよね)

 どう考えてもおかしい、こんな部屋にこんな服装でいる訳がない。記憶にもないのに。

 ひとつ今の状況を変えれるとしたら目の前の扉だけだ、この扉を開けその向こう側に何があるのか、それを確認すればいい。

 今になって全身に震えが走る、一歩一歩歩きながら扉の前まで進む。静かにノブに手をかけ捻るとその扉は音もなく開いた。光が走る。


 音がないの一瞬だった、すぐに人の声が僕を包んだ。

 一人じゃない、もっとずっと沢山。

 扉を開けていくと声だけじゃなく視界にも人が映りはじめる、そこには僕とほぼ同じ服装の人が所狭しと蠢いていた。

 空が見える、ということは屋外、外に出れたのはうれしいけれど状況がまったくわからない。男も女も小学生くらいの子供から親父と同じくらいの人まで沢山の人がそこにいた。

 その塊を囲むように白い壁と赤い屋根の建物が立ち並ぶ。

 ノブから手を離し僕はその塊に近づく、扉の閉まった音が聞こえたけれどそれは大きな問題ではなかった。

 僕が近づいていくと一番近くにいた二人の女性の内一人が僕を見つけたようだ、傍にいるもう一人の女性に僕が近づいて行くのを肩を叩く方法で知らせた。

 もう一人の女性がこちらを見る、まだ高校生くらいだろうか、幼さが残っている。

 僕は疑問だらけですごく困惑した顔をしているだろう、でもこの場所を知らないことには何もできない、二人の女性に近づくたびに心拍数があがっていく。

 もう声は届く距離、(ここはどこなんですか)そう言えば答えてくれるだろうか。

 僕が口を開く前に女性は質問される内容を理解しているようだった。

素人の殴り書きです。勢いだけです。自己満足です。


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