寮と封印魔法
サキカたちの教室のある校舎を出て数分後のところにそれは存在している。堂々とそびえ立つそれは、寮と呼ばれていた。
──サキカ達一行は学園の敷地内にある寮へと到着した。しかしそれは、寮と思える建物ではなかった。
白い煉瓦の壁、十階建て以上の高さの洋風の豪華な建物。それは、洋館というべきか、ホテルというべきか、とにかくよく分からない代物であった。
取り敢えず言えること、それは、寮とは呼べない建物であるということだ。
だが、サキカはそれをあっさりと受け入れることができた。
「あんまり驚いてないみたいだけど……、なんでだ? 大抵、みんな初見は驚くのに」
レイトが不思議そうに問いてきた
「……もっと凄いものを見たことがあるから」
サキカの頭に浮かんだのは中央の国の王の城である。まさに豪華絢爛の代名詞とも言えるあの巨城に比べれば、これぐらいどうってこともないといえる。
「サキカはガイアと同じこと、言うのね~」
「そういえばガイア君もそんなこと、言ってた」
有舞が笑い、リリスが呟いた。サキカは少しだけ驚きつつも、なぜか嬉しかった。
「そうなんだ……」
ガイアをちらっと見ると全く話を聞いていなかったらしく、彼は首を捻った。
寮に入 るとサキカは受付に向かう。金の装飾が施された大理石の受付に二十代前半の若い女性がいた。
「すみません」
「はい」
「本日、転入して参りましたサキカ・フォーラスと申します。部屋を教えて頂けませんか?」
「あ、君がサキカ君ね。私は寮長のメアリー・フランツェウェルです。これが部屋の鍵よ。903号室だから9階ね」
メアリーは優しそうな笑みを浮かべ、サキカにカードキーを渡した。数年前に発明されたカードキーは、実はサキカの発明した魔方陣が組み込まれている。それを知っている者は極僅かであるが。
「有難うございます、フランツェウェルさん」
サキカは笑みを浮かべ、踵を返す。
「おまたせ」
「部屋、何処だった?」
有舞に訊ねられてサキカは答えた。
「903号室だって」
「おっ、俺の隣だな」
ガイアが嬉しそうに笑った。
「本当?!」
隣ならば、遊びに行きやすい。それに何かあったときに気軽に会いに行ける。サキカも嬉しくなり、笑みを浮かべた。
「みんなの部屋は何処なの?」
サキカはふと気になり、尋ねてみた。近ければ彼らの部屋にも遊びに行けるだろう。……流石に女性の部屋は遠慮するが。
「俺は902号室。で、レイトが10階の1006号室、リリスが9階の915号室……」
「あたしは8階の812よ」
ガイアと有舞が答える。リリスは同じ階のようだが、レイトの部屋はサキカの部屋の階より一つ上で、有舞の部屋は逆に一つ下の階らしい。
「そうなんだ。……あ、ちょっと話したいことがあるから、六時頃、俺の部屋に来てくれる?」
サキカはリリスから感じた違和感を思い出し、皆に頼んだ。本人とその友人である皆には、説明すべきだろう。できれば解決もした方がいい。
「分かったわ」
「了解」
「……うん」
「分かったぜ!」
四人は異口同音に快く了承してくれた。
「ありがと。ついでに晩御飯は御馳走するよ」
時間的にも自分が夕食を作るべきだろう。幸い、サキカは料理が得意だ。独り暮らしをするのと野営をするときぐらいしか役にたたない特技である。
提案したサキカに、皆が少し驚いた表情を見せた。
「またサキカの飯が食えるのか……」
しかし、ガイアだけは珍しく目を輝かせ嬉しそうだ。彼には幾度か手料理を振る舞っている。彼の気に召していたようで何よりだ。
「そんなに美味しいの?」
それを不思議に思ったのか、リリスがガイアに聞いた。相変わらず彼女の表情はフードに隠れて見えないが、どこか期待している様子であった。
「ああ、あれは美味しいってもんじゃない、天下一品だ」
表情はいつもと変わらない無表情だが、その声には若干力がこもっている。──ガイアの舌はある理由から肥えている。そんな彼から誉められたのだから、嬉しい。
「マジで!?」
レイトが勢いよく身を乗り出した。どうやら、レイトは食べることが好きらしい。もし彼がたくさん食べるようなら、量を考えて作らなければならないかもしれない。
「 で、話って何の話?」
しかし有舞ははしゃぐレイトを無視した。
──少しばかり刺のある彼女に、どこか子供っぽいレイト、それから気になることはすぐに追及するリリス。サキカは皆の大体の性格が掴めてきて、少し苦笑した。
「えぇとね……リリスのことについての話なんだけど、……説明し難いんだよね」
魔力の質が封印されている、とだけ言われてもわけがわからないに違いない。言葉を濁らせたサキカに、レイトが口を開いた。
「オレにも話をさせ──」
「ぼくについての話?」
今度はリリスに話を遮られ、レイトの目の縁に涙が溜まってくるのが見えて、流石に口を出そうとしたが──、
「うぅ……ひ、酷──」
「詳しくは後でいいだろ。部屋行くぞ」
「ぐすん……」
ガイアにまで話を遮られ、ついにレイトの涙腺が崩壊してしまった。彼らのやり取りに口を出していいものかと躊躇しながらも、サキカは口を開く。
「ほらレイト、ぼうっとしてるとおいてくよ?」
「ざぎがぁ゛~!」
声をかけたサキカに、レイトが感極まった様子で飛び付いてきて、サキカは内心顔をひきつらせた。無論表情に出さないようにはしたものの、反射的に避けてしまう。
サキカが避けたことにより、レイトは何か固いものを破壊する音をたてながら、床に顔面から飛び込んだ。
「ご、ごめん!」
レイトは鼻を押さえてうずくまり、その手の隙間からたらりと鮮血が垂れるのが見えてしまった。
「サキカ、行くぞ」
しかし、ガイアはサキカの肩に手をまわし、何事もなかったかのように歩き出す。
「え、レイトはいいの?」
サキカは思わず聞いた。
「レイト? あの馬鹿か? 放っておけば勝手に来る。気にするな」
ガイアはどんどん歩いて行く。有舞とリリスもそれに続いた。
なぜ彼らは、友人であるはずのレイトを放置するのだろうか。しかし、やはり彼らのやり取りには悪意を感じられない。──編入一日目にして、ついていけないやり取りに不安を覚えたサキカであった。
「お、おいてかないでぇ~!!」
情けない叫び声が、背後から聞こえてくる。戸惑いを覚えつつも、この場に流れる穏やかな空気を感じて、サキカは僅かに口元を緩めた。
── 一行が向かった先は、ロビーの隅の階段の隣であった。
「……転移魔方陣?」
半径2mほどの円形魔方陣。読み解けばそれが寮の階から階に移動するためのものであることがわかった。
転移魔方陣とは、魔力を流し、行き先を念じることで、幾つか行ける特定の場所の内どこかに転移をすることができる魔方陣である。街と街を繋いで行き来出来るようにしたり、建物内のそれぞれの階に繋ぎ、階段の上り下りをしなくてすむようにするために使用することが多い。普通に転移するのと比べ、特定の場所にしか行けないのが短所であるが、特定の場所になら魔力があれば行けるという長所を持っている。
「使い方はわかるでしょ?」
「うん」
有舞に訊ねられて頷く。転移魔方陣はギルドの支部と本部を結ぶのにも使われており、サキカはそれを幾度となく利用していた。魔方陣がなくとも転移は可能であるが、実は魔方陣を使用した方が消費する魔力量が少なくてすむという利点が存在しており、故にできるかぎり魔方陣を使っているのだ。
「よし、ならいいわね。じゃああたしは先に行くから」
サキカが頷いたのを見て、有舞は魔法陣の中に入り、魔力を流して転移して行った。
「ぼくも先にいくよ」
リリスも転移して行く。
「俺らもいくか」
「うん」
サキカはガイアと共に転移した。転移してから気がつく。
「あ、レイト……」
彼をロビーに置いてきてしまった。しかし、思い返せば彼の部屋はサキカの部屋と階が違うのだ。
どんどん先を歩いていってしまうガイアを追いかけながら、レイトのことを記憶の彼方に追いやったのであった。
××××××××××××××××××××××××××××××
サキカは夕食の準備を整え、ソファーに座って皆の到着を待っていた。時刻は午後六時の五分ほど前で、中途半端に時間が余ってしまったのだ。
ちなみに食材は“ボックス”の中に入れてあったものである。
一人部屋にもかかわらず寮の自室は3LDKで、部屋は広い。真っ白な壁紙を目にしたときは、正直目が痛くなりそうだと思ったのだが、備え付けられていた家具も全て真っ白で、模様替えは自由らしいため今度黒い家具を持ってこようかと思っている。どうも、サキカには白は合わないらしかった。
(それにしても、楽しい方々ですね)
皆の顔を思い浮かべた。三人はサキカの念願の友達というものだろう。
サキカは今まで同年代の子供とあまり話したことはなかった。例外はガイアと昔の二人の親友である。幼い頃は短期間であるが学園に通っていたこともあるにはあるが、……あの時は学園というものが全く楽しく感じられなかった。
化け物と罵られ、近づくなと穢らわしいものを見るかのような目を向けられる。あの日々は、決して楽しいといえるものではなかった。しかし、あの頃のサキカにも親友がいたのだ。
── 一人は浅黒い肌に短い青髪で、黒い瞳の鋭い目をした少年、もう一人は優しい紅い目に背中まである柔らかな紅髪を一つに纏めている少年。
「……冬也」
青髪の彼の名前を呟く。彼は今頃どうしているのだろうか。──突然姿を消したサキカを、あの事件のことを、恨んでいないだろうか。
そしてもう一人の親友だった、少年を想う。
「煉稀……」
──血だらけになって倒れていた彼のことを。
目を閉じていたサキカは、部屋のチャイムの音で目を開いた。大きく息を吐き出して、ソファーから立ち上がり、玄関のドアを開ける。
一番に入 って来た有舞が、リビングのテーブルに並べた数々の料理を見て、目を見開いた。そんなに驚くようなことではないと思うのだが、彼女はそうは思わないらしい。
「……これは凄いね」
リリスがぽつりと呟いた。その後ろからやってきたレイトが、言葉を失ったかのように、口を開いて固まっていた。をあげたみた思った以上の皆の反応に、サキカは対応に困った。
「……また腕あげたな」
サキカの頭の上にぽんと温かい手を乗せたのはガイアだ。
「そうでもないと思うけど……」
サキカはテーブルの上に目を遣った。以前母親代わりのステラに日頃の感謝を込めて作った料理と同じ料理に、多少手を加えただけだ。皆を呼んだのはいいが、レシピに困った結果である。
「いや、上達していようがしていなかろうが、これは純粋に凄いと思うぞ」
スープに浮かぶ野菜でできた花を凝視し、顔を引きつらせたレイトが言った。
「……何か勿体ないわね、食べるのが」
ガイアたちを椅子に座らせ、サキカも腰を下ろすと、有舞がフォークを手にして呟いた。
「食べてくれないと作った意味がないよ……?」
まじまじと料理を見つめる有舞に、困ったサキカが告げると、ガイアが溜め息を吐いた。
「そういう意味じゃない。……有舞、それは見た目もすごいが、味もすごい」
「そうなの……って、何食べ始めてんのよ!」
既にスープに手をつけていたガイアに、有舞が目を剥く。しかしガイアは手を止めない。
「冷めたら勿体無い」
確かに一理ある、と、漸く有舞も食べ始めてくれた。一口口にして固まった有舞、同じく食べ始めて目を見開いて硬直したレイト、満足げに頷きながら食べ進めるリリス。
「何これっ!」
「うっま!」
勢いよく食べ始めた彼らに、サキカは頬を緩めた。こうも喜んでもらえると、作ったかいがあったと思える。
しかし、何故かこちらをちらりと見たレイトが再び硬直して顔を赤らめ、同様にして有舞とリリス、それからガイアもスプーンやらフォークやらを手にしたまま固まった。
「え、俺の顔に何か付いてる?」
ガイアがいち早く我に返ったようで、皆を見て珍しく無表情を崩し苦笑し、隣にいたレイトの頭を叩いた。
「──はっ!?」
レイトはガイアに叩かれて、数回 瞬きを繰り返してサキカから目をそらす。一体何だというのか。
「有舞を宜しく」
ガイアはレイトに有舞を押し付け、リリスの肩を揺さぶった。
「……あれ? ぼく、見惚れてた?」
「ああ」
──見惚れ……?
彼女は何に見惚れたのだろうか。
有舞を頼まれたレイトは、有舞の頭を叩いた。途端、正気に戻った有舞が、レイトを睨みつける。
「ったぁ~! 何すんのよ、この馬鹿レイト!!」
「え、あ……だって──ってちょっとまて有舞!!」
「五月蝿い! “光球”!!」
──光属性初級魔法“光球”。彼女の掌に現れたのは、まさしく光の球である。眩しすぎる光を放つそれを、彼女はレイトに向かって大きく振りかぶった。
「うぎゃ~~!!」
初級魔法とはいえ、魔法である。止めなくていいのだろうか。ガイアに視線を向けると、口の形で『ほっとけ』と伝えてきた。
直後、レイトに有舞の魔法が炸裂したのだった。
「ご馳走様~」
「美味しかったぁ~」
三十分後、皆は夕食を食べ終わり、サキカは食器をキッチンに片付けると、洗うのは後回しにして話しをするためにソファーに座った。
「で、話って何?」
単刀直入に有舞が切り出す。皆もソファーに座ってサキカを見ていた。
「うん。その前に確かめたいことがあるんだけど。リリス、ちょっとごめんね」
サキカはリリスの前で片膝を付き、リリスの額に人差し指を当て、目を閉じ集中する。
「へ? ……何?」
驚いている四人を尻目に、サキカはリリスの魔力を探った。
人の体の中には、魔力の通る脈のようなものがある。その脈のようなものを辿ると、魔力を作る器官、魔臓にたどり着く。
正体を隠している今、本来ならばしない方がよい行動であろう。魔力を辿って調べることができるということは、魔力探知が得意だということを示しているのだ。しかし、新たに友人となってくれた彼女のためになら、これぐらいの危険は犯すべきだ。
(────っ!)
サキカはリリスのそこに、予想通りのあるものを見つけた。
「ありました……」
サキカは静かに目を開ける。
「あったって……何が?」
有舞が怪訝そうに尋ねた。僅かに彼女の眉間にしわが寄っている。
「封印」
サキカがソファーに座り直し、簡潔に答えた。
「封印だと?!」
ガイアがサキカと同じ様にリリスの額に人差し指を当て、探る。サキカほど魔力に敏感ではない彼であるが、しようと思えばこれくらいのことはできるのだ。
「……本当だ。気が付かなかった」
ガイアは脱力し、ソファーに座り込んだ。
「変だとは思っていたがまさか封印されてたとは……」
ガイアがおそらくは無意識に、ぽつりと呟く。
「変ってどこが」
全く話が掴めないレイトはガイアに聞いた。
「獣人は身体能力か魔力の質か魔力量のどれかに秀でているはずなんだ」
「……初耳なんだけど」
リリスの表情は訝しげだ。
「あたしもよ」
「オレもだ」
有舞とレイトが賛同する。
「ああ。学園では学ばないことだからな」
サキカは獣人についてのことも、三人がそれを知らない理由も知っていた。
学園で獣人について詳しく学ばない理由、それは生徒の中に彼らが紛れ込み易くするためである。獣人は遥か昔から穢れた混じり者として迫害を受けている。それは今も変わりがない。もし詳しく獣人について学んだとしたら、学園に紛れ込んでいる獣人が生徒に見つかり、イジメが起こる可能性が高いのだ。
「へえー。それにしてもガイアってホント頭いいわよね……」
有舞はあまり興味なさげに相槌を打ち、頭の良いガイアを羨ましそうに見る。しかしガイアは──、
「いや、サキカの方が俺なんかよりよっぽど頭いい」
それを否定して、どこか嬉しげに告げた。そしてガイアは無表情のままサキカに抱き着く。サキカは突然のことに避けれず、ガイアにがっちりと抱き着かれてしまった。
「俺の弟だからな」
「ちょっと、ガイア」
「いいだろ、別に減るもんじゃない」
そういう問題ではない気がする。三人からの視線が痛い。
「……なあ、ガイアってあんな性格だっけ」
「さあ……。小等部からのあいつの友達やってるけど、あたしも あんなガイアは始めて見たわ。てか、弟? や、明らかに血は繋がってないだろうし」
「ガイア、ホモ……?」
三人は本題もレイトを弄ることも忘れて話し合う。皆の様子にサキカは苦笑いだ。
ガイアは普段、結構真面目な性格をしている。その性格は長年のギルドでの生活から培われたものであり、出会った当時は悪戯好きの悪餓鬼だった。ガイアは訳あって親元を離れ、ギルドで生活しているが、もし両親と暮らしていたら、もう少し柔らかな性格になっていたかもしれない。
しかしサキカに対しては何故か皆とは態度が違う。理由は簡単であり、ガイア曰く、「サキカだから」だそうだ。
サキカは苦笑いのまま、なかなか離れてくれないべったりとくっついている親友の紅い頭を撫でた。
「それで本題は?」
有舞に指摘され、サキカはようやく思い出す。何のために彼女たちを呼んだのかを。
「あ……。ごめん」
無理矢理ガイアを引きはがし、リリスと向き直った。
「今、リリスの魔臓を調べて分かったことなんだけど……、どうやら、リリスの魔力の質は封印されているみたいなんだ」
「「「封印?!」」」
三人が同時に聞き返した。
「うん、封印。くわしくは魔力の質封印魔法陣があった」
「魔力の質封印魔法陣……?」
リリスが聞き返す。
「うん。魔力の質を封印……というか、わざと質を粗悪にするための妨害魔法なんだけどね」
魔力の質封印魔方陣を実際に見たのは、これが初めてだ。書物で何度か目にしたことはあるが。
「そんなこと、何でわかるのよ」
相も変わらず鋭い視線が有舞から向けられるが、サキカは作り笑顔で流した。本当のことを答えることはできないのだ、どうにかして誤魔化すしかない。
一方、リリスは宙を見つめていた。フードの上からでもぼんやりとしている様子が窺える。
「何でそんなものが……」
「自分にかけられているかって?」
サキカはリリスの中途半端な台詞を補い、尋ねた。何か思い当たることはないのだろうか。
「うん」
即答したリリスに、サキカは思考を巡らせた。幼い頃のことであろうから、記憶が曖昧になっているのかもしれない。
「……心当たり、無いの?」
訊ねたサキカに、リリスは迷った様に目を泳がせていたが、小さく息を吐くと口を開いた。
「……ぼくは小さい頃捨てられていたらしいんだ」
「────っ」
サキカは動揺した。他の皆はリリスから聞いていたらしく、少し目をリリスからそらせたぐらいだった。
「ごめん、嫌なこと聞いちゃって……」
サキカは目を伏せた。それ口にするのは勇気がいっただろう。ゆっくりと目をあげてリリスを見る。それは憐れみの視線ではない。純粋に心配からの視線だ。
「いいよ、 気にしないで。知らなかったならしかたがない」
リリスが微笑んだのがフードの上からでも分かった。
「うん。……でもごめん」
サキカが動揺しうなだれているのは、彼女の気持ちが分かるからである。──サキカも親がいないのだから。
憐れまないのもそのためだ。このような話をして憐れまれるのは、一番苛立つことだとわかっている。憐れまれたって、嬉しくはない。彼女の気持ちを理解できるのも、サキカの気持ちを理解できるのも、自分自身だけなのだ。
「だから気にしないで。それでサキカ君には理由が分かるのかい?」
「あ……。うん」
サキカはリリスと伏せていた目を合わせた。
「今から言うことは、おそらくの話しだからね」
ガイアは封印の理由が大体予測できているのだろう。視線はこちらに向いているが、口を開く気配はない。三人は身を乗り出すようにして、こちらに耳を傾けているが。
「リリスは多分、もともと高い質の魔力の持ち主だったんだ、制御が出来ないほどの」
三人は絶句した。
しかし、それなら納得がいくのだ。
制御出来ないほどの魔力の質。
それはどういう事か。──つまり、簡単で威力の弱い初級魔法を少しの魔力で放っても、中級、もしくはそれ以上の威力の魔法となる、ということである。
それを小さい子供が持っていたら、魔力の暴走を起こしかねない。サキカは以前、魔力の質が高すぎたために暴走を起こした者を見たことがある。
渦巻く魔力、泣き叫ぶ人々、血に染まった村。そしてその中心で、理性をなくして獣の様に吠えていたのは、僅か五歳の少年であった。
そのようなことを防ぐために、魔力量が多い者や魔力の質が高い者は、幼少の頃封印をすることが稀にある。そしてその者が魔力が制御できるようになる頃──十二になった時に、封印を解除するのだ。
おそらくはリリスもその内の一人。
しかし封印を施してもらえるのは、極稀。封印はかなりの技量や魔力量を必要とするため、そう簡単には出来ないのだ。
──しかしそれならば。
サキカの脳に、一つの疑問が浮かび上がった。
なぜ彼女は、両親に捨てられたのだろうか、と。
「成る程ね」
有舞は納得したように頷いた。
「なあ」
何かを考えている素振りだったレイトが、改まったようにサキカに話し掛けた。どうかしたのだろうか。
「はい?」
「サキカはどうだったんだ?」
「………」
サキカは予測外の質問に固まった。
「サキカも魔力の質、高いだろ」
「……うん」
頷いたついでに俯く。表情を取り繕えているか自信がない。密やかに息を吐き出したサキカは、ゆっくりと口を開いた。
「……俺は封印はしなかった」
目を伏せたまま話すサキカ。誰も口出しはせず、無言でその先を促す。
「…………一度、暴走したこともある」
その言葉には、ガイアまでもが驚いたようで、唾を呑み込む音が隣から聞こえてきた。
──あの時のことは、忘れられない。魔力が発現した直後、起こったあの暴走のことは。自分の魔力が強大過ぎて傷付けてしまった村人達のことも、……恐怖に染まった、親の顔も。
「暴走したって……」
有舞が恐る恐る尋ねてきた。
空気が重い。本当のことを告げる勇気もない。サキカは努めて明るい声で、できるだけあっけらかんとしているように聞こえるように言った。
「うん。でも一度暴走したら、自分でコントロール出来るようになった」
「流石サキカ」
ガイアは感心したらしい。だが、彼のその言葉は、重くなった空気を払拭するための台詞であろう。
「それ程でもないよ」
サキカは顔を上げると、何事もなかったかのように笑ってみせた
「ごめん、話が逸れたね」
サキカは一息吐くと、すぐに表情を切り替えた。
「リリスはもう十五歳で封印は必要ないと思うから、今から封印を解こうと思う」
「えっ……、解けるのかい?」
リリスが目を丸くした。ガイア以外の皆も驚いている。
それもそのはず、封印を解くにはその封印をした者以上の実力がある者か、又は封印をした本人でなくては解けない。
「俺が解くわけじゃないよ」
サキカは皆の誤解を解いた。勿論、サキカが本来の力を出せば簡単に解けるが、今のサキカは落ちこぼれということになっているのだ。
「じゃあ……、まさか」
皆の視線がガイアに向く。
「あ~……分かった、分かったからそんなに注目するな」
ガイアは大きく溜息を吐き、サキカの方をちらりと見た。目で面倒だと訴えてきたガイアに、心の中で謝るサキカ。しかし、彼に頼むしかないのだ。この中であの封印が解けるのは、サキカを除いたら彼しかいない。
「ホントに解けるのかい……?」
リリスの目が疑惑に染まっている。
「取り敢えず、“魔力遮断結界”」
ガイアはそれを無視し、詠唱破棄で魔力を遮断する無属性の上級魔法を使った。透明な四角い結界がサキカ達五人の周りを囲う。
結界は防護壁の一種で、普通の防護壁と違うところは完全に空間を隔離してしまうところである。故に結界の類は他の防御魔法よいも難易度が高い。
「封印解くぞ」
前置きはそれだけで、面倒ごとが嫌いな彼は、さっさと終わらせたいのかすぐに詠唱を始めた。
「我、汝に掛けられし封印を解く者。我、ガイア・レントリアは、汝、リリス・クローネの魔力の質を妨げし封印を解除す。“封印解除”」
──実は、ガイアの名前はもう少し長い。真名ではないが、炎帝である彼の力ならば十分であったのだろう。詠唱が終わった途端、リリスの体から目の眩むような強い光が放たれる。結界の中にリリスの濃密な魔力が一気に満ちた。
「くっ……」
「き、きつい……」
レイトと有舞には少し辛いようで二人は顔を青くしている。彼女はこれほど『濃い』魔力の持ち主であったのかと、サキカは驚いた。精々Sに届くかどうかの質であると予想していたが、これは──。
暫くするとそれがおさまり、レイトと有舞の顔色が戻った頃、ガイアが結界を解いた。
「気分はどう?」
サキカはリリスに聞いた。本当に封印が解けるのか半信半疑だったらしいリリスは、呆然と呟いた。
「なんか……満ち足りている感じがする……」
驚き、呆然とする彼女であるが、しかし、これが本来の彼女の魔力なのだ。
彼女の様子を見ているうちに、サキカはあることを思いつき、一冊の本を取り出した。
古めかしく分厚い造りのしっかりとした本。その表紙は赤みがかった紫色で、何も書いていない。
「そ、それはっ……!」
ガイアが驚きの声を上げるが、サキカは何も言うなと目で合図をした。彼はこれが何か知っているのだ。彼の前でこれを使っていたこともあったのだから当然であろう。
「何、それ?」
有舞が問う。しかしサキカは何も言わず、リリスに手渡した。リリスはそれを無意識にか受け取って首を捻る。やはり、彼女ならば──。
リリスは手にしたそれの中身をめくるが、全てのページが白紙で何も書いていない。これは、そういうものなのだ。契約をしなければ、何も書かれていないただの白紙の本なのである。
「だから、これは何?」
しびれをきらしたらしい有が手を伸ばした。サキカは止めようとしたが間に合わず、彼女の指先がそれに触れた。瞬間──、凄い力で何かに弾かれ、有舞はソファーから落ちる。
「っ……何よこれ!?」
有舞がサキカに抗議するが、静止を促す声が間に合わなかったのだ。仕方がない。
「リリス、表紙に手を置いて」
リリスは不思議そうに首を傾げながらもそれにしたがった。
リリスの小さな手が表紙に置かれると、それを中心に本が輝きはじめる。それと同時にリリスが目を見開いた。
──彼女は今、優しいアルト声を聞いたはずだ。この本に宿る、あの存在の──。
「【ローズ】……?」
リリスは小さく呟いた。本の輝きは増していき、そして表紙に魔法陣と文字が刻まれていく。
──『魔導書【ローズ】』。
表紙に古代の言葉で、その名前が刻まれている。輝きは徐々におさまっていき、表紙には黒い文字と魔法陣が残った。
「魔導書……!?」
有舞が驚きの声を上げた。古代文字がわからずとも、これが何なのかわかったのだろう。
魔導書とは魔法を使う媒体の一つである。特徴としては、持ち主の属性に関わらず魔法が使え、しかも通常、魔法を使う時よりも消費する魔力が圧倒的に少なくてすむという、便利な魔武器である。しかし、魔導書には何種類もあるが、その魔導書に載っている魔法しか使えず、さらに魔力の質が良い者しか使用出来ない。
それに付け加え、魔導書自体がとても珍しいものであり、大半の魔導書は人から人へと受け継がれるもので、手に入れることが困難な代物である。
──魔武器には受け継がれるものと、そうでないものがある。王族や五大貴族の聖なる魔武器(聖剣等)は受け継がれていくものであるが、一般的に使用されている魔武器は、魔鉱石と呼ばれる特別な石に魔力を流すことで作成されるものだ。こうして作成した魔武器は、本人の死後、元の魔鉱石に戻る。
おそらく、リリスも有舞もレイトも始めて魔導書の実物を見たのだろう、驚いている。
「これが魔導書……」
三人はじっと魔導書を見つめていた。しかし、有舞が突然思い出したようにサキカに問いた。
「さっきあたし触ろうとして弾かれたけど……、何で?」
「その魔導書……【ローズ】は、自分が認めた者以外には触らせないんだ」
サキカはなんでもないことのように答えたが、そのようなことは聞いたことがない有舞達は眉をひそめた。
「そ、それって魔導書に意志があるってことか!?」
「うん」
レイトの確認するような言葉に、サキカは頷く。有舞とレイトが唖然とした。結構知られていることのはずなのだが、彼女たちは知らなかったらしい。
「厳密にいえば【ローズ】自体と、【ローズ】の守護精霊に意志があるんだけど……」
「「「守護精霊?」」」
三人が同時に聞き返した。三人は守護精霊の存在すら知らなかったようだ。
「うん」
サキカは三人に説明をし始めた。知っておいて損はないだろう。
守護精霊とは魔武器に宿っている魔武器の守り人みたいなものである。全ての魔武器に宿っているわけではなく、一部の魔武器にしか宿っていない。例えば、この【ローズ】のような魔導書の一部や王族・五大貴族に受け継がれている聖なる魔武器のように、人から人へと受け継がれていく魔武器に宿っている。
「リリス、【ローズ】の守護精霊に出て来てって念じて」
「ふぇっ? ……分かったよ」
知らないなら実際に見た方が理解が早いだろう。
リリスに頼むと、彼女は目を閉じる。数秒後、リリスが目を開けると、魔導書から白いなにかが出てきて、それはリリスの目の前で渦を巻き人型を形成した。
──それは、シルクのドレスを纏った美しい女性。流れるようなプラチナの髪、金に輝く瞳。聖母のような優しい微笑みを浮かべた彼女は、リリスの前で跪ずき、頭を下げた。
「御主人様……」
「えっ……えぇえ!?」
リリスは困惑顔であたふたした。
「ちょっ……、【ローズ】はぼくのじゃないよ!?」
「いいえ、貴女様のものです」
守護精霊は頭を上げ、微笑みを浮かべたまま言った。あの掌を置くという行為が契約であることを、やはり彼女は知らなかったのだ。騙してしまった気がして、罪悪感が沸く。
「うぇぇえぇえ!? サキカ君のものだよね!?」
「なんか騙したみたいでごめんね。【ローズ】に認められた時点で君のものだよ。それに俺はすでに【ローズ】と契約切ってるし……」
三人が声をあげて絶句した。
魔武器には契約というものがある。それは魔武器自信に認められた時点で成立し、本人が死ぬかもしくは自分から破棄するまで続く。契約を破棄すると、本人が死亡した時と同様、魔鉱石から作成した魔武器の場合元の魔鉱石に戻り、受け継がれている魔武器の場合ただの武器に変わり果てる。故に自ら契約を破棄する者は滅多におらず、例外は受け継がれていく魔武器を師弟子で受け継ぐ時ぐらいである。
「何で契約切ってるの!?」
「え? えっと……」
その質問の答えは考えていなかった。迷った末、どうせ後日わかることだろうと判断し、事実を述べる。
「……俺、他にも魔武器あるから」
「えぇ!?」
「何で!?」
「嘘だろおい……」
三人から三者三様の反応が返ってきた。先程から騒がしい三人である。
魔武器は大抵、高等部に入学後、授業で作成する。そのため、この時期にこの歳で魔武器を持っていること自体珍しいのだろう。
「お前、一体何者だよ……」
レイトが溜息を吐いた。その顔は、どこか呆れたような表情である。サキカはそれを無言で微笑んでごまかした。
「……それであなたは?」
リリスは守護精霊に尋ねた。
「申し遅れました。私は【ローズ】の守護精霊、ロゼリーヌと申します」
ロゼリーヌは礼儀正しい。彼ら彼女ら守護精霊の大半は礼儀正しく、宿る魔武器の持ち主に対して敬意を抱いているのだ。
彼女は綺麗に頭を下げた。それを見たリリスは慌て声をかけた。
「頭なんて下げないでよ!」
リリスの慌てっぷりが面白かったのか、ロゼリーヌはクスクス笑い、顔を上げた。
「はい、御主人様。……御主人様の御名前をお伺いしても宜しいですか?」
「う、うん。……ぼくはリリス・クローネ。これから宜しくね、ロゼリーヌ」
リリスは緊張からか少し吃り、ロゼリーヌに若干恐る恐るといった様子で視線を向けている。
「はい、宜しくお願いします、御主人様」
一通りリリスとの自己紹介を終えると、ロゼリーヌは立ち上がり、プラチナの髪を揺らす。そして今度はサキカ達を見た。
「御久しぶりです、サキカ様、ガイア様」
流石に前の持ち主であるサキカのことと、その親友のガイアのことは覚えていたようだ。契約破棄してから、大分時間が経っているのだが。
「うん、久しぶりロゼリーヌ」
「ああ、久しぶりだな」
笑顔で答えるサキカと、仏頂面のガイア。彼女はまた笑みをこぼす。
「申し訳ありませんが、御二方は……?」
続いて、ロゼリーヌは初対面であるレイトと有舞に目を遣った。
「オレは──」
「あたし、鈴方 有舞。リリスの友達よ。宜しく」
レイトが元気よく話し出したところを有舞が遮る。パターン化しているやり取りなのだが、彼らは飽きないらしい。
「ひっ酷い……。でも何か同じ事があったような……」
有舞の行動に対し、レイトは虚しいデジャヴュを感じているようであった。
「あの……」
ロゼリーヌが困り顔でレイトに話し掛ける。話し掛けられて嬉しかったレイトは、満面の笑みで手を差し出し、口を開いた。
「おお、忘れてた! オレは──」
「通称・馬鹿よ」
それを有舞が再び遮った。通称に馬鹿とつけられるということは、よほどのことをしているのだろう。
「ちっ違う!!」
「間違ってはないわよね?」
有舞はガイアに話を振る。
「あぁ、何も間違いはない」
一切の否定をせず、ガイアは冷たく答え、リリスが頷き賛同した。彼らにとって、迷う余地すらないらしい事実なようだ
「うぅぅ……」
レイトは部屋の隅で体育座りになる。
「えっと……、良いの? ほっといて……」
そろそろ何かいうべきかと口を開くと、レイトが飛び付いてきた。
「サキカぁ~! お前だけが味方だぁ~!!」
思わず反射的に避ける。サキカに避けられたため、レイトはソファーにダイブした。
「あっ……、ゴメン!」
サキカはとっさに謝った。悪気はなかったのだが、日頃ガイアに抱き着かれているサキカは、避ける癖ができている。
しかし、皆のレイトに対する態度は相変わらず冷たい。
「気にすんな、サキカ」
「飛びつこうとした馬鹿が悪いんだから」
「……馬鹿はほっといていいよ」
「皆様のおっしゃる通りです」
ガイア、有舞、リリス、ロゼリーヌ。ロゼリーヌまで加わっているのが、不思議でしかたがない。
「そう……?」
戸 惑いながら問い返したサキカに、四人が次々と肯定した。
「ひ、酷い!!」
レイトは部屋の隅で踞ってしまった。じめじめとした空気を醸し出し、床に指で何かを書いている。そこだけ妙に湿度が高くなっている気がした。
レイトが静かになったところで、ロゼリーヌが口を開いた。
「さて、あの方は放って置いて……、御主人様、貴女は獣人ですよね?」
有舞とリリス、レイトがビクッと肩を揺らした。
「何で知ってっ……!」
「魔力が獣人の方のものですし、魔導書を御使いになる方には獣人の方も多いですし」
獣人の中には、リリスのように魔力の質が高い者がいる。そしてその大半は、彼女のように魔力量が少なく、魔導書がなくてはすぐに魔力切れを起こすのだ。
「それがどうかしたのかい……?」
恐る恐る、というように尋ねたリリスであるが、ロゼリーヌが「ただの確認ですよ」と答えたため、ほっと息を吐き出した。
リリスとロゼリーヌの話がついたところで、サキカは立ち上がった。
「じゃあ、今日はもう遅いから……、また明日ね」
その言葉で皆が一斉に部屋の掛け時計を見た。短い針が九と十の間を指している。
「もうこんな時間かよ」
ガイアは小さく呟くとレイトを引っ張って──否、引きずって帰っていく。
「じゃあ、帰ろうか」
「はい」
リリスの言葉にロゼリーヌが魔導書の中に戻った。
「リリス、魔武器は消えるように念じれば消えるから。喚び出したいときは名前を呼んで出来るように念じれば出てくるよ」
【ローズ】を小脇に抱えたリリスに教える。魔武器をまだ持ったことがなかっただろう彼女は、その使い方を全く知らないに違いないのだ。
「ありがと」
リリスは【ローズ 】を消してから、部屋から出て行った。
「あたしも帰るわね」
有舞も帰り、部屋はサキカ独りになった。
白い部屋に、一人取り残されたような気分になるのは、仕方がないことであろう。
皆がいれば騒がしく活気に包まれるこの部屋は、サキカ一人では重苦しい沈黙に包まれてしまう。
作っていた表情は消え去り、おそらく今のサキカは無表情だ。
──いつかは作った笑顔ばかりでなく、自然な笑顔だけで日々を過ごせるようになることを──。
「……さて、僕は風呂にでも入りましょうか」
サキカは独り呟き、立ち上がった。
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☆魔法
“光球”<光・初級>
光の球を作り出す魔法。本来ならば魔力で手のひらから飛ばすのだが、有舞は投げて使用した。
ロゼリーヌ
魔武器、魔導書【ローズ】の守護精霊。プラチナの髪に金の瞳を持つ、優しげな女性の姿をしている。本来の姿は不明。
☆魔武器
魔法の武器、略して魔武器。普通の武器とは違い、固有魔法と呼ばれる特有の魔法が使える。
魔導書:魔法を使う補助的な役割を果たす魔武器。しかし、その魔導書に記されている魔法しか使えず、魔力の質が高くなければ持ち主となれない。