招かれざる私
終電で金沢のお土産芦原温泉駅に付いたやよいを西田は黒いエスティマで迎えた
しかし、「今日は一緒にホテルに泊まろう」
しきりに西田はやよいにそう言い続ける。
「うちは何時でもウェルカムだから」そう西田に言われ、お土産を用意してスーツを来て金沢から芦原温泉駅迄来たやよいはわけがわからず、その旨を話した
西田「うちの親、スッゴい見栄っ張りやし!」
そんなの構わない!私が貴方の家に行くと言って約束したのに到着した途端にそんなのないわ!
やよいは全く納得出来ない。
やよいは都内に住んでいた時に、六本木のパブで一緒に働いていたルーマニア人のダニエルと以前、婚約をしていた。
成田空港でダニエルの家族の為に、日本酒や折り紙等とにかく日本をアピールした土産物を数万円使い購入し、ダニエルが待つブカレスト迄フライトをした。
ところがブカレストから「ヤシ」と云う名のダニエルの地元に到着しても、一向にダニエルは家族に会わせてもくれず、ホテルに何泊もして軟禁状態にされたやよいは全てをダニエルに問い詰めた。
ダニエルは答えた
「うちの親は厳しいから、皆に内緒で役所に行って入籍しよう。」
やよいは瞬時にダニエルに別れを告げやよいにとっては言語の解るモスクワへ独りで旅立った。
ダニエルは泣いていた。
しかしそれ以上にやよいは怒っていた。
だけど場所が違うだけで状況は全くその時と変わらない。
お前もダニエルと同じだ!とやよいは西田に言い放った