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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.8 ダヴル③

それは、どこか儚い。

その言葉が正しい表現かはわからない。

物悲しき儚さの中に美しささえ見て取れる。

それは他人格の影響なのか。

そんなリリィが語り始める。



「私はリリィ。そしてあの子もリリィ。」

本格のことを指しているのだろうか。



「私は内から、あの子を。

リリィをずっと見てきたんです。」

「だから、、あの子の想いは知っています。」

「だから、、だから、、、急に仲間になれ。

だなんて言われても、、、

私、、、どうしていいか。」

「、、、、、、」


少し沈黙が続く。




「リリィは、母を幼い頃に病気で亡くして、

冒険者の父と二人で暮らしてたんです。」

「小さい頃から父の背中を見て育ったリリィは

大人になったら冒険者になるだーって、

お父さんと冒険するんだーって。」


本格かの様に照れくさそうにそう述べるリリィ。




「クエストから帰ってきた父の話を聞いたり、父が買ってくれた魔導書を読んで、

いっぱい、いっぱい勉強してたんです。」

「いつか本当に冒険者になるのを夢見て。」


そう言ったリリィの顔がだんだんと曇っていく。

ずっと見てきたのだ無理もない。




「けど、、、、」

「あの子が大好きだった父はこの世を去りました。」







「冒険者登録が出来るよになる12歳の誕生日の前日のことだったんです。」

「なんで?なんで?お父さんが?」

「私はこれからどうしたらいいの?」

「そう嘆くリリィを内から見ることしか、

私はできませんでした。」


そう嘆くリリィがあるのもを見せてくれた。


「これは父からのプレゼントです。」

「リリィにとっては形見なんです。」



華奢な手首にはとても綺麗なミスリルのブレスレット。

翠緑と瑠璃の装飾が所々に見て取れる。


ブレスレットをギュッと握りしめるリリィ。

このリリィ、他人格のリリィもまた想うところがあるのであろう。


静かに耳をかたむけていたヴァルカスが口を開く。



「リリィはあの日からだぁ。

おどおどして自信がない今のリリィになっちまったのは、、、。

何度かぁこいつの親父がここに連れて来ててなぁ

そりゃ元気いっぱいでなぁ、少し騒がしいぐらいだなぁって思ってたんだよぉ。あの頃は。」


「んで、このブレスレットはなぁ、その親父がクエストに行く前に俺に預けていったんだわぁ」

「もしものことが俺にあれば、娘の12歳の誕生日に渡してくれと。」

「クエストに行くたびに渡してきてなぁ。」

「俺に何かあったら娘を頼む、とか言いやがってよぉ。」



「渡さずに、てめぇはちゃんと帰ってきやがれぇ。娘が待ってるんだからなぁって、よくクエストに送り出してたなぁ。」


少し涙を目に浮かべながらヴァルカスは続ける。



「そんな事があったもんだからよぉ。

リリィは俺が預かる事にしたんだわぁ。

まぁ、あいつとの約束さ。」


そこからのヴァルカスの話は長く、そして暗いトンネルをお互いが彷徨っているような過去だった。


リリィの苦悩。

ヴァルカスの優しさ。


そんな話の最中でダヴルの発現について語られる。



「俺が仕事で遅くなっちまった時にだ、

家に帰ると聞き覚えのない声がしやがるんだわぁ。」

「ご察しの通り強盗さぁ。」


ドアを開けたときにヴァルカスの目に飛び込んで来たのは生きているリリィ。

酷く怯えている。ガタガタと震えている。声も出せない位に。

その姿を見たヴァルカスは゛生きている゛

それだけで救われたのであろう。


「神威を使った。」


「おまえらの考えているこたぁアタリだ。」


「そこでリリィのダヴルの素質が発現したんだよぉ。俺は驚いたぜぇ。」


頷くダウラ。その隣で

ようやくヒイラギの目が

静かに開く。



「なるほど。理解した。」

「我が1つ。提案をしよう。」

「まぁ、提案といってもそれは運命となるのだがな。」



大丈夫と言わんばかりに

先程と同様にヴァルカスに手を向け

目で何か合図を送るヒイラギ。


ヴァルカスはそれに答えるように頷く。



2人にしかわからない、なにかがそこにはあるのだろう。



その時、最後の結界が音を立てて砕け散る。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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