ep.7 ダヴル②
宮下??誰だよそれ。
ほっとけ。
おっとお口が悪いですね。
気を取り直していきましょう。
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【ダヴル】
同一の肉体(本格)の中に、本来の自己とは異なる人格を内包し、かつその人格が持つ特異的な能力を完全に制御・行使できる者を指す名称。
本格: 肉体の本来の持ち主であり、ベースとなる主権人格。
他人格: 本格の内部に潜伏する、性格や性質の異なる別の人格。
他人格が発揮する能力の限界値は、「本格」が持つ潜在能力に直接依存する。
他人格がいかに優れた資質を持っていたとしても、本格側の器(潜在能力)を超えた出力を出すことは不可能とされる。
1. 覚醒
本格が自らの内にある他人格の存在を認識し、それを制御下に置くことで、能力を自在に引き出せるようになった状態を指す。
2. ダヴルへの昇華
「覚醒」のさらに上位概念。「昇華」。
他人格を制御するだけでなく、自分自身(本格)の意識とアイデンティティを完全に保ったまま、他人格の能力を並行して、あるいは融合させて発揮できる者。
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「だが、今はまだダヴルではない。」
そうヴァルカスは漏らす。
意味合いとしては覚醒にすら至っていない。
といった所であろう。
なにせダヴルを扱えるもなのど存在するのか?と問うレベル。
ダヴルの素質がある者ですら、出会えれば奇跡と言われるほど。
故に、ダヴルの素質がある。
ただそれだけで政治、貴族、ましてや王族までもが欲しがる逸材。
どのように扱われるかは、、、、
なんと悲しき世界か。
ヴァルカスのその表情にはどこか、寂しさとでもいうのか、はたまた、親心ともでいうべきか。
複雑な感情が取って伺える。
「だろうな。」
ヒイラギもまた、何を考えているのか。
表情では決して汲み取れない。
「あの。
、、、、
あのー!!!」
他人格であろうリリィが口を開く。
「さっきからヴァルカスさんは何をぶつぶつ言っているのですか?」
「それと、ヒイラギさん?でしたよね?
私をここに呼んだ理由、まだ聞いてませんよ?教えてもらえるのですよね?」
先程までいた本格のリリィの雰囲気はある。
声、仕草、それは消えないものなのだろうか。
しかしながら今、ここにいるリリィは
先程までとは違い、大きな声でハッキリと話をしている。それも礼儀正しくだ。
天真爛漫という表現が似合う。
他人格のリリィ。これが彼女の素質。ダヴル。
「お、」
ヴァルカスが何かを言いかけたその時。
ヒイラギが手をかざしヴァルカスの言葉を遮り口を閉ざす様にと目を合わせる。
数秒考えたような様子を見せ
口を開くヒイラギ。
「単刀直入に言おう。我と共に来い。
我の仲間となり、新時代を創造しよう。」
「そーだな。良い機会だ。
パーティーを結成しよう。」
「どうだ?」
「お前はどうしたい?」
深く落ち着いた、しかしどこか興奮を消しきれない声でリリィに問いかけるヒイラギ。
隣には頷いているだけのダウラ。
沈黙が訪れる前に叫ぶ。
その大声は耳の奥まで届いてくる。
「だぁめだ!」
声を荒らげてヴァルカスが身を乗り出す。
「リリィはなぁ、ダヴルどころか覚醒状態すらぁ発現しちゃーいねぇ。」
「ヒイラギぃ?お前も見ただろぉ?
普段をぉよぉ、、、、、、、
本格はあの様子だ。
とても冒険者だぁなんて、真似事でも許さねぇ!!!」
まるで鬼。その形相は先程大笑いをかましていた男とはまるで別人だ。
と、同時に4枚目の結界が割れた。
おそらく、ヴァルカスが無意識に、、、
いや、強い敵意を向けてのものなのかは分からない。
しかし確実に。
ヒイラギに向けて神威を放ったのであろう。
パキっ、パキっ、パキっ、と音を立てる最後の結界。
5枚張った結界の最後の結界にまで気が回らない程の怒り。
ヴァルカスから放たれた神威に対して
ヒイラギも対抗するかのごとく
そして最後の結界が割れぬ様に神威を放っていた。
ヒイラギから放たれる神威。この相殺的神威によりこの結界の崩壊は免れていたのかもしれない。
「ヴァルカス。お前には聞いていない。
リリィ。お前はどうしたい?」
重く、深く、ヒイラギが問いかける。
しかしその声にはヴァルカスから感じる怒りのようなものはなく、どこか慈愛さえ感じるほどだ。
目を閉じ。
深く。
大きく。
深呼吸をする。
一連の動作で話す内容をまとめたのか。
もしくは
話すことを決断したのか。
リリィが口を開く。
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拝読いただきありがとうございました。
では、また次回。




