ep.6 ダヴル①
気味の悪い宮下、、、、いや
ゲス下はさておき、話を戻そうではないか。
ソファに腰を降ろしたリリィはうつむいている。
「そろそろ本題に入りたいのだがぁ?」
待ちきれない。と言った様子のヴァルカスが口を開くがそれを静止するかのように
ヒイラギが被せる。
「その前に。お前。
リリィとか言ったな?
何者だ??」
これまでのヒイラギとは変わり、
分からない。答えが見つからない。
と言った表情をし、彼女だけを見つめて問う。
そのヒイラギの口調にやっと本題に辿り着けそうな、
ほんの少しだけそんな気がしたヴァルカスをよそにヒイラギは彼女を見つめ続ける。
そのヒイラギの瞳に困惑するリリィ。
「わ、、私、、は、、
その、、、、、
べ、、べ、、別に
何も、、特別では、、、、」
困惑するリリィを庇うように
ヴァルカスがヒイラギに対して凄む。
「うちの受付嬢をいじめんじゃねぇよぉ。
お前どこまでわかってやがる??」
そう凄んで来たヴァルカスに対しても一切臆することなく、ただ淡々とヒイラギは表情を崩さずに言葉を返した。
「わかってるもなにも
分からないから聞いているのだ。」
「ヴァルカスよ、少し我を買い被りすぎではないか?」
「どうだ?取引といこう。」
『ほう?取引だぁ?』
「その者、リリィのことを教えろ。
嘘、偽りなくだ。」
「その変わり、我も全てを話そう。」
『、、、、』
『はぁ、わぁーったよ。
それで手を打とう。』
何故かあっさりと引くヴァルカス。
イマイチ理解していない様子のダウラ。
そして、何故に自分がここに呼ばれたのかも分からず
何故に自分の事で言い争っているのかと困惑している様子のリリィ。
「悪いがぁリリィ。
この部屋に結界をはってくれ。」
当たり前かのように注文を出すヴァルカス。
冒険者でもない受付嬢にだ。
「わ、わ、分かりました。
ヴァルカスさ、、ん。
その、、あの、、な、な、何枚程、
展開して、お、お、
お、、、、おけばよろしいでしょうか?」
その言葉にヒイラギが反応し笑みをこぼす。
その笑みは不敵なものではなく、
どこか高揚感とでもいうのだろうか、そのような感情が高まっている様だった。
「そーだなぁ。5枚といったところかぁ。」
『わ、わ、わかりました。
早速、、、て、て、展開しますね。』
リリィがそう言った直後に
結界が5枚展開されたのだ。
またしてもニヤリと笑うヒイラギ。
「ほう、無詠唱か」
少し驚いている様子のダウラをよそに
ヴァルカスがヒイラギに詰め寄る。
「なぁ?ヒイラギぃ?
とりあえずこの結界をよぉ
2枚ほど割ってくれねぇかぁ?
まぁ2枚でも3枚でもいい。
割ってくれりゃーいいからよぉ?」
まるで問い詰めるかのような口調で頼み事をするヴァルカス。これは頼み事ではなく、もはや恫喝といっていいだろう。
そしてヴァルカスの知ってるヒイラギには到底、そのような事は出来ない。
しかし、この提案。
ヴァルカスは何かを感じとっているのであろう。
「あぁ、わかった。
2枚でいいのだな?
で、どのような手をつかっても?」
『あぁ。かまわねぇさ。
ただしだぁ、リリィだけは傷つけるなよぉ?
それだけは守ってくれりゃーいい。』
「そうか、では先程のお前と同じやり方でやらせてもらおう。」
「ダウラ。この結界を割れ。
2枚だけだ。」
『わかりました。ヒイラギ様。』
ここに至るまでの会話。
結界を張ってからものの数十秒であろうか。
ダウラが動く。いや、正確には動いてはいない。
そしてあの時のヴァルカスの様に
ダウラからオーラが放たれる。
先程のヴァルカスの神威とは違い
どこか禍々しいオーラのようなもの。
属性?の違いなのだろうか。
まぁ言葉として表すところ
虚威いや、禍魂といったところか。
「!!!
ひゃっ!!!!!」
思わず声が出てしまうリリィ。
そして朦朧として意識が飛びかけている。
直後。
バンっ!という衝撃波の様なものを感じた。
ほかでもない。それはすぐさまにヴァルカスがダウラの禍魂を上書きし、己の神威で3枚目の結界を割った衝撃波だった。
3枚目の結界が割られたその時だ。
ヒイラギが笑みを浮かべている。
これまでの笑みとは明らかに違う。
まるで無邪気な子供がずっと欲しいと願っていたものを手に入れたかの様な、
はたまた
悪魔が残虐な狩りを楽しんでいるかの様な。
どちらにせよこれまでに見せたことのない表情をしているヒイラギ。
それもそのはず。
先程まで、悲鳴をあげ意識すら朦朧としていた、その者がしっかりと立っているのだから。
何事も無かったかの様に、凛とした表情で。
ヒイラギは興奮した様子で、
しかし、じっくりと獲物を狩るまえの獣のごとく尋ねる。
「ほお。
、、、、
【ダヴル】か。」
ヴァルカスが静かに口を鳴らす。
「ちっ、ご名答。」
まだリリィでよからぬ妄想をしている
宮下もといゲス下は
そっとしておいてあげるとしよう。
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拝読いただきありがとうございました。
では、また次回。




