ep.4 ザッハ・ヴァルカス
街のギルドへ戻るヒイラギ一行。
道中何かを会話しているようだが傍観している宮下はその時の記憶は覚えていない。
しかしながら1つだけハッキリと覚えている事があった。
「おいおい、俺の身体でそんな奴を街に連れていくなよ。
どんな目で見られると思ってんだよー。
それはあくまでも俺の身体なんだからよー。」
と、苦笑する。
なぜこの短時間で苦笑出来るのか。
宮下のメンタルはとんでもないのかもしれない。
しかしその苦笑
それは宮下からすると嫉妬、と言ったところだろうか。
まるで宮下の声が届いたかのごとく
話が進む。
「ふむ、ダウラ。
今の格好では目立ちすぎるな。
少し、じっとしておれ。」
「幻影の鞘
【アイドロン・シース】」
そう唱えた直後だった
ダウラのあの禍々しい見た目が
見違えるほど人。そう人。
飛べるのか分からない翼のような物はなくなり
禍々しいオーラすら感じさせない。
それすらはおろか、服まで変わっているではないか。
宮下は嫉妬まじりに呟く。
「チートかよ、、、、」
そうこうしているうちに
ギルドへと到着した一行。
ヒイラギを見かけた担当受付嬢が声をかけてきた。
「ヒイラギさん、おかえりなさいっ」
「ウルフの討伐ご苦労さまでしたー。
報告はこちらでお受けしますよ?」
話しかけられたヒイラギは怪訝な顔で答える
「誰だお前は?」
「おいおいおいおい!
アニマてめぇ!!!
今まで俺を見ては無かったのか?
俺の身体でなんてものの言い方を!
あーー。シュナちゃんごめんよー。」
うなだれる宮下はさておき。
「ヒイラギさん??」
明らかに今朝までのヒイラギとは
別人のそれ。に目を丸くして驚く
担当受付嬢のシュナ。
彼女の様子を見たヒイラギが取り繕うように声を出す。
まずいと思ったのだろうか。
「シュナさん、いつもご苦労様ですっ。
ウルフの討伐完了報告お願いしても?」
少し違和感を覚えながらもシュナは返す。
違和感を覚えるのも無理もない。
アニマはこの様な喋り方をしない。
ましてや宮下もだ。
「もちろんですっ!
では、こちらに報酬受け取りのサインを、、、、、」
手続きをしようとしているヒイラギとシュナの間を割って話を遮るように入ってきた男。
その男は見るからに屈強。
1人だけ異質なオーラを放っていた。
ここに居る者、誰1人として敵わないだろう。
ヒイラギとダウラを除いては。
現れたのは【ザッハ・ヴァルカス】だった。
当ギルドのギルド長を務める男。
過去は自身も冒険者をしており、なんとその経歴は過去に8人しかいないSSランクの冒険者だったとか。
「おーい、ヒイラギぃ。
頑張ってるかぁ?
今日も愛しのシュナちゃんに
『ご苦労さまでしたぁ♡』
って、言われる為にちゃんと頑張ったかぁー?
偉いぞぉーー。」
それを聞いたシュナの頬が何故だか少し赤く染まる。
そして、何故だか、自分がどこにいるのかすら分かっていない宮下の頬もまた、赤く染まるのであった。
「ヴァルカスさーん。
やめてくださいよぉー。
そんなんじゃないですからー。」
屈託のない笑顔で何かを悟られまいとヒイラギが答える、が。
がっはっはっ!と笑っていたヴァルカス。
先程の表情とは一変し
鋭い眼光でヒイラギを睨みつけながらこう問う。
「ところでヒイラギぃ。
おまえ、何をしてきたぁ?
ほんとにウルフを討伐してきただけかぁ?
そいつは誰だぁ?」
流石と言わざるをえない。
その質問に少しだけ戸惑いの表情を見せるヒイラギとダウラ。
ダウラが口を開こうとしたその瞬間だった。
ガシャーーーン!!
と大きな音と男の罵声が別のカウンターから聞こえギルド内に響く。
「あーー?
ねーちゃんよぉ?
なんでこれが依頼達成にならねぇのかしっかりと説明しろや!!!!」
「、、、、、、、いや、その。」
目の前にいる激昂している男にすら届かないほどの怯えた小さな声で返す受付嬢。
「おい、てめぇ。
話なら俺が聞こぅじゃねぇかぁ?」
ものすごく低い声を出し、凄むヴァルカス。
それは明らかに威圧。
ヴァルカスが声を出した直後だった。
彼は常人では扱えないなにかを放つ。
威圧するようなオーラ。
いや神威とでもいえば良いか。
一瞬にして場が凍りつく。
誰もが敵わないと思わせるほどの神威。
これが元SSランク。
しかしながら当然と言えば当然の事なのだろうが
ダウラは怯むことなく
ただ、ただ。様子を伺っていた。
宮下はこの時理解した。
ダウラがヒイラギの足元にひれ伏していたあの時。
そう、あの時アニマはヒイラギの身体に入りすぐ、つまり宮下と入れ替わった瞬間にダウラに対して圧倒的ともいえる神威をはなっていたのだと。
しかしヒイラギだけは違った。
彼はある1人の者をじっと見つめていた。
ヴァルカスの神威にすら屈していないその者を。
そんなこととは露知らず。
俺がシュナちゃんの人生という名のパズルの大事な1つのピースになる。
とかいう馬鹿げたポエム妄想を宮下は展開していた。
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では、また次回。




