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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.38 デスィグナール・クエスト①

厄災オルトロス討伐戦より約1ヶ月程。

ギルドは普段通りの装いを取り戻していた。


支部唯一のAランクとなったグロリオサ。

彼らはAランクに上がった事で依頼の幅が格段に広くなっていた。

そして、指名依頼が舞い込んで来ることとなる。



「おはようございます!グロリオサの皆さん!」

シュナがニコニコ顔で受付を始めた。


「シュナ。今日はこれを頼む。」


いつも通りに依頼書を提出したヒイラギだったが。


「それはお受け出来ませんよ?」


「何故だ?」

3人の頭にはてなのマークが浮かぶ。


「クリムゾン・グロリオサに指名依頼が来ていますよ!」


「初めてですね。」

「どのような依頼なのでしょうか?」

ヒイラギ、リリィだけでない、ダウラも満更でもない様子で尋ねる。


「今回の依頼の事をヴァルカスさんが説明するみたいなので、ギルド長室へ来てください。とのことでした。」


「そうか、分かった。」


そう言って上がって行く三人。

ふと、リリィが振り返る。


それに気付いたシュナが口パクで、かんばれ!と言って両手でガッツポーズをしてリリィに声援を送る。

リリィも口パクで、がんばるですです!

と言ってシュナと同じポーズをとる。


尊い。

何故そんなに尊いのだ。



部屋に入るとヴァルカスが既に指名依頼書を手にして待っていた。


「今回の指名依頼だが。」

「その前にぃ。」

「ヒイラギぃ。光・魔導師ってのはなんだありゃ?お前なにかしただろぉ?」


「別に何もしていない。」


「嘘をつくな。」


「まぁ少しばかり細工をな。」


ヒイラギはあの時、職業鑑定魔導具の眼鏡の方にアイドロン・シースを掛けていた。


光・魔導師という職業は自身の魔導の光のようなからインスピレーションを取った。

それと、シブルク支部の書庫にあった古い文献なのか、おとぎ話なのか、そこで見たことがあったとのこと。



「なるほどなぁ。」

「まぁ眼鏡君が知らないこともあるわな。そりゃ。」

「それであいつに火をつけちまったみてぇーだかなー。ガッハッハッ。」


「そんなことはどうでもいい。」

「早く指名依頼を見せろ。」


「わーった!わーった!」


ヴァルカスは1枚の紙を机の上に置く。



今回の指名依頼の内容は魔物討伐でも採取依頼でも調査依頼でもなかった。

《Sランク指名依頼 -野党「叛逆夜賊」の討伐-》

基本的にギルドに寄せられる依頼の殆どは、魔物の討伐依頼だという。

他は雑務みたいなものや、ギルドが周辺の調査の為に依頼するものばかり。

そんな中での今回の野党の討伐はイレギュラーだった。


「まぁ依頼の難しさはそれほどでもねぇーさ。お前らなら。」

「ただなぁ、厄介なことがあるんだわ。」


「何が厄介なのですです?」

「悪いことをしている人達は懲らしめないと!」

「ですです!」


「いやな、この叛逆夜賊。」

「規模としては、そこまで大きくはねぇー。」

「ただな、この賊。全員元冒険者だ。」


全員渋い表情を見せる。

無理もない、いわば元同業の闇堕ち。

冒険者としてはあまりにもやりにくい依頼である。


「そして、条件は全員の捕縛だ。」

「この条件で遂行出来るのは恐らく、お前らグロリオサを含めて3パーティーぐらいしか居ない。」


「3パーティー居るのですよね?」

「何故私たちにその依頼を?」


「俺が推した。」


沈黙が流れる。

皆がヒイラギの言葉を待っていた。


「いいだろう。」

「その依頼受けよう。」

「早速今日から動くぞ。」


「ヒイラギぃ。気をつけろ。」

「奴らの頭は元Sランクだからなぁ。」


どこにアジトがあるのか。

メンバーの人数。


そして、元冒険者ということもあり。

叛逆夜賊メンバー全員のギルド登録記録。


もちろん、シブルク支部に所属していた元冒険者もいる。


リリィにとっては処理をした事のある奴もいるであろう。




各々が支度を始める中、ダウラがヒイラギの元へ歩み寄る。

彼は何を思ったのか。何を伝えたのか。




そしてグロリオサと叛逆夜賊。

事の顛末を知るものは、今はまだいない。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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