ep.33 ドロップ・リベレイション⑥
____シブルクの街。
まだ街は騒然としている。
ダウラは決着したことを分かっている。
分かっているが結界を解こうとはしない。
街の人々の不安が消えぬ内は。
____戦場には3人。
心地よい風が流れていた。
「ヴァルカス、まだ動けるか?」
「ああ、なんとかなるだろ。」
「そうか。リリィを頼んだ。」
ヒイラギはそう言い残してある場所へと向かう。
「最後の仕事、頼んだぜぇ。」
右手をあげ、振り返りはしない。
仲が良い訳ではない。
共闘したわけでもない。
まともに喋った事すらない。
ただ一度。憎まれ口を叩かれただけ。
ただそれだけの関係。
しかしAランクパーティーとして立派に戦った。
街を守ろうと必死になった。
シブルク支部Aランクパーティー
シルバーウイング。
ただ、それだけの事。
「ウィル。最後の仕事だ。」
ヒイラギは剣を振りかざす。
キーンという甲高い音と共にその剣は役目を終えた。
同時に、大きな魔族の雫は砕け散った。
戦いの幕は降りた。
空を見上げ、ヒイラギは呟く。
「これでは、お前に会わす顔がないな。」
____オルトロス討伐を終えた3人が街の入り口へと戻ってきた。
「ダウラ。ありがとう。よくやってくれた。」
「いいえ、ヒイラギ様も。」
平静を装っているダウラだが目に見えて疲れが出ている。無理もない。
賢聖の結界を長時間維持し続けたのだから。
本職が中衛のダウラにとってその疲弊は計り知れないであろう。
ヴァルカスが声を上げる。
「みんなぁー!」
「厄災は去った!」
「クリムゾン・グロリオサが討伐した!」
「我々の勝利だ!!!」
湧き上がる歓声。
その歓声には様々な感情が入り乱れていた。
眠るリリィの傍らですすり泣く女性。
その女性に喋りかける。
「シュナ。大丈夫だ。魔導が切れただけだ。」
目を腫らし、涙が止まらないシュナがヒイラギを睨みつける。
「なんで!なんでリリィちゃんを危険な場所に!!!」
「我はリリィに街を守れと言った。」
「だが、リリィは戦場へと赴いた。自らの意思でな。」
「間違っていたならすまない。シュナお前に問う。」
「、、、、、」
「何故、止めなかった?」
「、、、じゃない。」
「止めなかったんじゃない。」
「止められなかった。」
「この子は強い。お前が思うよりもな。」
振り返り去ろうとするヒイラギの背中に飛びかかるシュナ。
「ばか。」
「ばか、ばか。」
「ばか、ばか、ばか、ばか!」
何も言わずに、ただ背中を貸すヒイラギ。
ヒイラギの背中を弱々しく叩きながら、わんわんと泣きわめくシュナ。
シュナのその声には安堵が含まれていた。
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『報告書』
事象:ドロップ・リベレイション
出現場所:シブルク西の街道
討伐対象:ゴブリン・ウルフ・オーク
オークキング ランクA
ガーゴイル ランクS
魔祖四厄災 オルトロス ランクSSS
参加パーティー:
A シルバーウイング
B ヒーリングマスターズ
トーテムポーラー
C 宵闇の狩人
オストラノヴァ
レッドウイング
鬼神会
クリムゾン・グロリオサ
※シブルク支部 ギルド長 ザッハ・ヴァルカス
討伐功績:
ゴブリン: Cパーティー(グロリオサ除)
ウルフ: Cパーティー(グロリオサ除)
オーク: Bパーティー
オークキング: A シルバーウイング
ガーゴイル: 不明
オルトロス: C クリムゾン・グロリオサ
並びにザッハ・ヴァルカス
結果報告:
B・Cパーティー 全滅 死亡(グロリオサ除)
A シルバーウイング 全滅 4名死亡
1名生還(重体)
C クリムゾン・グロリオサ 全員生還
※ザッハ・ヴァルカス 生還
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この戦いは後に『厄災オルトロス討伐戦』として、歴史の1ページに語り継がれることとなる。
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