ep.30 ドロップ・リベレイション③
恐怖。
冒険者をやっていれば恐怖という感情を感じることはある。
特に新人ともなればその数は多くなる。
しかし、今回のそれは、いつもの恐怖とは違う。
恐怖いや、支配、、いや、、、言葉が見つからない。
言うならば、-絶望-。
「走れぇーーーーーーー!!!!!」
「撤退だぁーーーーーーー!!!!!!」
瞬時に判断したウィルの声が響く。
正解。
文句のつけようがないタイミングでの判断。
冒険者として、その判断は適切だった。
はずだった。
『おそい。』
声と同時に降り注がれる無数のイカヅチ。
轟音響いてからこれまで、わずか十数秒。
生存者1名。
『ほう、1人生きておるか。』
生存者の目に映るそれ。
漆黒の身体に、二つの頭。
身体の周りにバチバチと電流のような物。
巨大ななにか、いや、化物。
魔祖四厄災 【オルトロス】
生存者は動けない。
いや、動くことを諦めた。が正しいか。
____時を同じくしてグロリオサとヴァルカスの3人もその剛雷を耳にしていた。
「なんだ、いまのバカデケェのは?」
「分からぬ!しかし行くしかないだろう!」
馬車から飛び降りる4人。
すぐ近くまで戻って来れていた。
それが幸いなのか。はたまた。
全速力で走る4人。
目にしたのは。
酷く荒れた戦場。
片腕のないラミラス。
そして、オルトロス。
「ダウラぁ!俺をあのバケモンの頭上にぶん投げろぉ!!」
右手に小さな結界を展開。
右手より射出され空高く飛ぶヴァルカス。
「こうも早くヴァルカスとの約束を、果たす日がくるとはな。」
クスりと笑ったヒイラギ。直後顔つきが変わる。
「ダウラ!リリィ!」
「ラミラスを救助しろ!その後シブルク全体に結界を展開!」
「デーモンズ・ドロップを探し出せ!」
ヴァルカスの取った行動により指示を出すヒイラギ。
「らじゃりー!ですです!!!」
「リリィさん、行きましょう!」
「無茶だけはしないでくださいね。」
「私もいますから。」
冒険者として多少の経験は積んできたリリィ。
とはいえ、あれ程までの化物を目の前にして臆することを知らない。
本当に強い子だ。
「【一閃】」
空高く飛び上がったヴァルカスがその拳をオルトロスの左の頭に振り下ろす。
まるでイカヅチの如く。
轟音とともに舞う土煙。
『随分と手荒な真似をしてくれるじゃないか。人間!』
「結構、本気で殴ったつもりだったんだがなぁ?」
『蝿が2匹来たところで、我、オルトロスに勝てる思うなよ!』
咆哮とともに放たれる禍魂。
二つの神威が禍魂とぶつかり合う。
淀んだ空気が一瞬にして割れる。
「まぁ、これぐらいじゃーやれねぇわーな。」
「ヒイラギぃ。行けるな?」
「無論。足を引っ張るなよ!」
「生意気ぬかせぇ!」
ザッハ・ヴァルカス
職業 【拳鬼】
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