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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.27 クリムゾン・グロリオサ⑤

行き交う人々で賑わう王都大通り。


「それで、リリィさん。」

「どのような物でお揃いに、と考えているのですか?」


「決まってないのですです。」

「なので、お父さんに教えてもらったお店に行きたいのです。そこで、みんなで選ぶってのはどうなのですです?」


「うむ。良いな。そうしよう。」


大通りから1本裏手の道へ入り、少し薄暗い路地の奥にある店。



雑貨屋 パウパズ



カランコロンと扉の鐘がなる。

店の中は薄暗くジメッとしていて、物が溢れていて少し誇り臭い。




「あらあらー。誰かしらー?お客さんー?」


とてもおっとりとした喋り方の若めの女性の声がした。

すると奥から、下着ですか?と言わんばかりの格好にシースルーのように透けている紫の上着を羽織った女性が出てきた。





お姉さん!僕の童貞を奪って下さい!

よろしくお願いしますっ!!!

さっき宮下の味方とか言った自分を殺したい。

くたばりやがれ、クソ下が。





「あ、あの!」

「お父さん、、、じゃないや。」

「ヴァルカスさんの紹介できました!ですです!」


「ヴァルカスのー?あのクサレ筋肉、まだ生きてるのねー。まぁーこの前会ったけどねー。」



パウパズ店主 サーシャ・ポルガノーズ


雑貨屋と言いながらも、職業は錬金術師。

ヴァルカスが所属していたパーティーの身に付けていた装備品は彼女が作ったものだったらしい。

天才錬金術師としてもてはやされ始めた頃。

世間に嫌気がさし、身を隠す様にここパウパズで雑貨屋として生活をしている。



「それでー?何かを買いに来たのー?」


「私達、パーティー登録をしまして。それで、記念にお揃いの物が欲しいなと、ですです。」


「なるほどねー。パーティーとして許可されたんだー、いいねー。」

「それでー、パーティー名はー?」



ヒイラギが1歩前に出る。

「クリムゾン・グロリオサだ。」


「ええー、いい名前じゃなーい。グロリオサねー。素敵ねー。」

「それと、君ー、いい目をしてるねー。」

「ふーん。グロリオサねー。」

「ちょっと待っててー。」



奥に何かを探しに行ったようだ。


「なんか、変わった人ですです。」


「ああ、変な奴だな。」


お前も十分な?



「なになにー?私の悪口ー?やめてよー。」


「いえいえ、貴方の様な麗しい女性はなかなかお目にかかれないと話していただけですよ。」


ダウラさん。シゴデキ!!!


「あらー。やだー。君は口がうまいのねー。」

「それより、これー、どうかなー?」


サーシャが差し出して来たのはコイン程の大きさのチャーム。

六つ葉のクローバーの形をしていた。


「これはねー、試作品でー以前作ったものだけどーお嬢さんに似合うと思うのー。」


「可愛いです!可愛いですです!」

「ヒイラギさん!渡しこれがいいですです。」


「リリィがそれが良いのならそれにするか。」


嬉しそうなリリィはぶんぶんと首を縦に降っている。いつぞやのダウラみたいに首を気にすることにならないといいのだが。



「それでねー、この葉の1枚に色をつけてねー、ラペルチェーンにするのはどうかなー?」


「完璧ですです!それでお願いします!」


「じゃあー、今から作るからちょっとだけ待っててねー。えっと、すぐ出来るから大丈夫だよー。」




ものの5分で戻ってくるサーシャ。


「はいっ、これー。」


彼女が言うにはそれぞれのイメージカラーを勝手にイメージして色を乗せたのだという。



ヒイラギには赤。ダウラには黒。リリィには白。

このカラーが彼女の中に入り込んで来たんだとか。

それぞれの色がついた六つ葉のクローバーの右上の葉に色が施されている。




ダウラはお代を払おうとしているが、それを拒むサーシャ。

「今度ヴァルカスから巻き上げるから大丈夫よー。」


「そうか、ありがとう。」


「また来てねー。」

首を傾け頬杖を付きながらゆらゆらと手を振っているサーシャ。彼女は3人を見て何をおもったのであろう。



「ダウラ、リリィ。すまない、少し店主と話をしてくる。少し待っていてくれ。」

そう言って店に戻って行ったヒイラギ。



何か気になる物でもあったのだろうか。

それとも、サーシャに何かを感じたのだろうか。

ヴァルカス達のパーティーが昔、装備品を作って貰っていただけあって、腕が確かな事だけは間違いない。




しばらくして戻ってきたヒイラギが2人に袋のようなもの投げる。


「これは?」


リリィが不思議な顔でヒイラギをみる。


「開けてみてくれ。」


袋の中には服が入っていた。




リリィにはフードがついたローブ


ダウラにはロングジャケット



どちらも白を基調として赤のラインが施されていた。


そして襟が立ったローブをヒイラギがヒラリと身に纏う。


「まぁ、団服と言ったところだな。」

ヒイラギはまたあの笑顔で笑っていた。

やはりこの頃、変わってきたように思う。



もらった服を着てヒイラギに飛びつくリリィ。


ぎゅっと服を握り空を仰ぐダウラ。




その空はとても綺麗な青空だった。


読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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