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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.21 Cランク①

自分が選ばれる。

自分は選ばれた人間なんだ!

と、信じてやまない、突然のクズ下の登場に謝罪をしておこう。



「ところでヒイラギさん?」

「もう1つの依頼。あれはどうするのですです?」



「それなら問題ない。」

「あの依頼書がある事を確認した4日ほど前にすでにまとめてある。」


「はいー。リリィさん。」

「これを提出してしまえば完了でふ。」

ヒラヒラと数枚の紙を出して見せる。


「あ!ダウラさん噛みましたねたね!」


クスクスと笑うリリィ。

数日前までおどおどして、自分の殻に閉じこもるような、暗い闇から抜け出せないような。

そんな子がここまで明るく笑えるとは。





リリィちゃん!!

笑顔最強です!!!Goodです!

何故か親指を立てて自慢げなクズ下は下がっていて下さい。




依頼達成報告の為、ギルドに戻ってきた3人。


しかし、何やらギルド内が騒がしいようだ。

確かにいつもこの時間は、依頼達成報告や、明日どうするかとクエストボードを見る、そんな冒険者で人の数は多い。

しかし、明らかに受付カウンターを囲う様に人だかりが出来ていた。

その受付カウンターはいつもシュナが居るところだ。


それを知ってか知らずか。

バンっと扉を開け放つヒイラギ。


「なんの騒ぎだ。」

近くにいた冒険者に尋ねるヒイラギ。

「シュナさんと誰かが言い争ってるみたいで。クレーマーですかねー。」


「ヴァルカスは?」


「どうやらギルド本部へ行っているとかで不在みたいで。」


ヒイラギ達に気付いた人だかりがこちらへと視線を送る。

と、同時にじりじりと移動し始める野次馬達。シュナのカウンターへの道が出来始めていた。

無理もない、この街で今話題の冒険者たち。

しかも担当がシュナときたら、それはもう。



「だから!」

「俺は依頼書の通り薬草を取ってきた!」

「なんで依頼書では1個10ビアの薬草が達成報告をしたら5ビアになるんだ!!」


そこには、なんともまぁ。

世紀末みたいなヒャッハーが。



「なんども申し上げておりますが、依頼書には上質な薬草とあります。」

「こちらの魔導具で鑑定したところ、上質な薬草ではないとの結果が出たので、買取が5ビアとなるんです!」


「薬草は薬草だろ?」

「その魔導具壊れてんじゃねーのか?」


「そんな事はありません!」


クレーマーだ。既視感がある。

いつの時代にもこういう輩は減らないものだ。




「やれやれですね。」

そうダウラが呟いた。


人だかりが割れ、シュナとクレーマーの姿が見えた時だった。

ヒイラギ、ダウラの両名が慌てる。



「まずい!」「まずいですね!」






直後、耳をつんざく音。



バタバタと気を失う人々。







リリィの神威が覚醒した。





そこに立っている者、僅か3名。

ヒイラギ、ダウラ、リリィ。


「遅かったか。」


「リリィさん!リリィさん!」

リリィの肩をつかみ揺らすダウラ。




「え?え?え?え?」

「私なにを????」


「お前のせいではない、リリィ。」

「後で詳しく話そう。」



静まり返っているギルド内。

外の音が聞こえるほどに静寂だ。



「大丈夫ですよ。リリィさん。」

「これは、その、、、リ」




「ダウラ。少し黙っていろ。」

「これは我の責任だ。」

「神威の覚醒だ。」





神威について一通り説明したヒイラギ。


自分のせいでと、落ち込みはしたものの、ヒイラギの言葉により前を向く決心は出来ていた為か、リリィにそれほどの精神面でのダメージは大きくはなかった。


「ダウラ、全員にヒールを掛けてやれ。」



「あの、ヒイラギさん。」

「私にやらせてください。」

「元はと言えば私のせいですです。」



少し間が空き答える。

「そうか。わかった。」

「けどな、リリィ。これだけは覚えておけ。」




「我とダウラがいる。」

「こういう時の仲間だ。」


また、屈託のない笑顔で笑うヒイラギ。


同調するようにリリィにも満面の笑みが戻る。






「らじゃりーですですっ!」







萌える!萌える!

萌え死んじゃうよ!おじさんは!!

くぁぁあーーーーー。

ベッドの上でリリィちゃんにあんな事いわれたら、、、ドゥフ。ドゥフ。


はぁー、またですか。はいはい。




その後、ダウラのヒールにより意識を取り戻す。全員、何が起きたかわからない様子だ。



「お兄さん、お困り事ですか?」


「ああ!そーなんだよ!

俺がこういって、、、、」


振り向けばヒイラギ、ダウラ、リリィ。


「い、あ、、いやー。

俺の勘違いだったかなーー。」

「あは、あは、あはは。」

走り去っていくヒャッハー。何とも滑稽だ。


ドンっ。カウンターに小袋が置かれる。

シュナは思った。デジャヴとはこの事か。と。


「ゴブリン。50程だ。」


「フォレストウルフが30ですです!」


「それと、生態調査。色々とまとめておきました。」


めちゃくちゃドヤ顔の3人。

中でもリリィは飛び切りのドヤ顔をかましているではないか。

まぁ、彼女にとっては初陣だ。大目に見てあげようじゃないか。


「はぁ、、、あなた達は、、、」

「もう、何を言っても無駄よね。」

「わかりました。わかりました。」

「確認が取れ次第、またお呼びしますね。」


「どうしたシュナ?疲れか?」


「いえいえ、お気になさらず。」


お前らのせいだよ!

ヒイラギぃ!ダウラぁ!

と、心の中で叫んでいそうなシュナ。

少しだけ眉間にシワが寄っているぞ。

まぁ、まぁ、おちついて。


「あっ!」

「そういえば、ヒイラギさん」


「なんだ。」


「2週間後にランクの昇格査定があるのですが、登録でよかったですよね?」


「無論だ。」


「わかりました。3人ともで?」


「ああ。頼む。」


2ヶ月に1回の昇格査定。

どうやら運良く、2ヶ月も待たなくて良さそうだった。


2週間後の昇格査定。

しばらく、シブルクの街は彼らの話題で持ちきりであろう。



「リリィ、明日は少しばかり早めに出る。」

「しっかりと休むのだぞ。」



「らじゃりー!ですです!!」




最高の笑顔だ。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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