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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.20 デーモンズ・ドロップ②

フォレストウルフ。

森林というフィールドを得意とする魔物。

ゴイモ谷いる純正ウルフとの大きな違いはその見た目。

緑色のメッシュが入ったような毛色をしている。

し 純正ウルフに攻撃力や防御力は劣るものの、素早さに特化した魔物である。



「リリィ、いいか?支援魔導師の基本を教えてやる。」


「はいっ!!」


「ただし、我らのパーティーの、だ。」


リリィが少し震えている気がする。


「大丈夫です。リリィさん。」


それに気付いたダウラが声を掛けるが、それは違った。


リリィは、時折ヒイラギがみせるあの微笑み。

不敵な笑みをしていているではないか。

おそらく武者震いであろう。

やっと始まった自分の冒険。

それを楽しむかのように戦闘は始まる!



「リリィ。索敵を展開。

500M内に居るフォレストウルフを囲う様に結界を展開しろ。」

「自分を円の外周に置き、前方にだ。逃がすなよ。」


「らじゃりー!ですです!」


独特な返事だ。戦闘を楽しんでいるのだろう。

支援魔導師としての世界に没入していくリリィ。


「ちっ。」


微笑みながら舌打ちをするヒイラギ。


「後ろは無視しろ。我がいる。」


「その調子ですよ!リリィさん!」


一瞬にして結界を展開する。

そしてリリィは元ギルド職員。

フォレストウルフがどの程度の魔物かも知っている。

その為か、リリィが展開した結界は1枚。

それで充分だと、いや、それだけで充分だと判断したのであろう。

本当にこの子は賢い。


「先に開けた場所がある。ダウラ。フォレストウルフを誘導しろ。」


パチン!と指を鳴らすダウラ。

「承知しました。」


「リリィ。その場所へ行くに連れて結界を狭めていけ。出来るな?」


「もちろんですです!!」


ダウラがフォレストウルフを誘導しながら森林の開けた方へと向かう。

指を鳴らしただけ、それだけで範囲内にいる全フォレストウルフのヘイトを一気に自分へと向けたのだ。


リリィもヒイラギの指示をしっかりと聞き、それをやってのける。



誘い込まれたフォレストウルフ15体。



「リリィ。よくやったぞ。これまでの対応力とは、驚いたぞ。」




「ダウラ、殺れ。」


ダウラの手には大鎌。




一振。





全滅。




ここまでに要した時間。


わずか3分。



「リリィさん!やりまし、、、、」



ダウラの言葉をかき消す程の声を張り上げる。


「ヒイラギさん!」

「ごめんないですです!!」


急に謝るリリィ。


ヒイラギが舌打ちをしたあの時。

僅かな綻び。このパーティーにとっては綻びなんて事はないのだが。



「・・・フォレストウルフを囲う様に結界を展開しろ。」

「自分を円の外周に置き、前・・・」


ヒイラギのこの最初の言葉。

直後にリリィは自分を中心とした結界を展開した。

後の言葉に自分は円の外周とわかるやいなや、

前方と後方に結界を展開したのだ。


そしてヒイラギの舌打ち。

ヒイラギは舌打ちと同時に後方のフォレストウルフに向けて神威を放ち一掃。



故に、失敗してしまったと思ったリリィは謝罪をしたというわけだ。


「いや、謝罪はいらぬ。」

「今回は我のミスだ。」

「リリィ、ここまでとは。」


キョロキョロとヒイラギ、リリィを交互に見るダウラ。

知らなかったのか、もしくは知らないフリをしているのか。


「リリィさん。ヒイラギ様もああ言ってます。」

「大丈夫ですよ。」



しょんぼりした様子のリリィに言葉をかける。


「リリィ、我は怒ってなどおらぬ。それは本当にだ。」

「良い機会だ、今の反省をしよう。」


「はい!!!!」


ヒイラギは今回の戦闘に関してを振り返ろうとする。が、戦闘自体に不備は全くない。

ひとつ、上げるのであれば、リリィの術式の構築。これに問題があるという。


リリィは索敵をした後、結界を展開した。

単体構築からの単体構築だ。


これが問題だと言う、ヒイラギ。


術式の並列構築だ。


つまりは索敵をした状態で結界を貼れば結界から漏れた敵を認知出来るようになる。


「リリィ。試しにやってみるといい。」

「今は結界を貼る必要はないからな。」

「索敵に索敵を並行構築してみろ。」

「範囲は目一杯広げろ。」


「わかりました!ですです!」



リリィが驚いた表情でヒイラギを見る!


「これは!凄い!凄いですです!」



「何処にいるか、だけじゃないです!

どんな魔物が居るかまでわかるですです!」


「それが並列構築だ。」

「更に索敵を構築してみろ。」


「さらにですか?」


「ああ、簡単なことだ。

帳簿をみる。リストアップする。現物と照らし合わせる。難しい事は言ってないだろ?」


いや、充分難しいことを言っている気がする。


「これは???」

「いち、にぃ、さん、しぃ、、、、

何かが26個あるですです!」

「まさか、デーモンズ・ドロップですか?」


「ああ、そうだ。

先のダウラの話。そしてリリィ。お前は元ギルド職員だ。見た事があったのであろう。」

「それを魔族の雫と認識はせずにな。」


ほえー。といった表情のリリィ。

いや、3つの並列構築とかいう、とんでもないことをやっている君を見ているこっちが、ほえーだよ。


「26個ってまさか、リリィさん?」

「あなた、この森全体を索敵して?」


「ですですっ!!」



その後、いとも簡単にゴブリンの集落を落とし、ギルドへと戻るのであった。







リリィちゅわーーーーーん!




出たよ。宮下。



可愛くてー、賢くてー、支援魔導師だってー?

あぁ、愛おしい。

いかんいかん、俺にはシュナさんがいるではないか。

けど、けど、リリィちゃん。

一体、俺はどっちを選べばいーーのだーーー!


お前は選ばれねぇよ。クズ下。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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