ep.16 リ・スタート
冒険者登録を終えたダウラ。
どうやらヒイラギとともにランクを上げるべく、クエストに出発するみたいだ。
「シュナさん。このクエストをお願いします。」
【Eランク依頼 メシュ森林でのゴブリン討伐】
ゴブリン1体につき50ビア
そういって2人が持ってきたクエストはこれだった。
「初クエストで討伐ですか。」
「まぁ話を聞く限りでは問題ないと思いますので受注しますね!」
「ヒイラギさんはどうしますか?」
「???」
「どうするもなにも二人で行くのだが。」
「あー!その辺の説明まだでしたね!」
シュナが慌てた様子で説明を始めた。
どうやらこのギルドの中のシステム、少し厄介なようで、理由は管理体制にあるのだとか。
冒険者同士でパーティーを組むこと自体には問題は無いのだとか。
しかしギルドに正式なパーティーとして登録出来るのはCランクから。
この国のギルドの支部は15あり、各支部に所属している冒険者の数は平均しておよそ1500人程。ギルドに勤めている職員が少ないせいか管理体制が脆弱なようだ。
Cランクから依頼の難易度がグッとあがり、その分報酬もDランク以下の依頼よりもかなり多くなる。複数人でなければ達成が困難になってくるという訳だ。。
しかし必ずしもソロ討伐が不可能という訳ではなく、あくまでも推奨。
その為、Dランク以下がパーティーを組んで討伐に向かう際には、同依頼を複数枚、受付に提出する形となるようだ。
まぁ1枚の依頼書で報酬を訳け合うという形でも大丈夫のようだった。
なんて不憫な制度であろう。
「そういうことなら。」
「我もランクを上げなくてはならないからな。同じものを頼む。」
「承知しましたー!」
Dランクヒイラギ。
Fランクダウラ。
2人の冒険者としての日々がスタートしたのだった。
-メシュ森林-
シブルクの街の南側に位置し広さはおおよそ街の10倍ほど。
その森林にはEランクのゴブリンの他にDランクのウルフやCランクのオークと言った魔物が生息しているようだ。
オークは数はおらず遭遇することの方が珍しいがDランク以下の冒険者は遭遇した場合、直ぐさまの撤退が鉄則だとか。
宮下がつぶやく。
いや、呟くという表現は適切ではなかろう。
宮下は嘆いた。
「あいつらめ。」
「手をかざせば出るわ出るわ。
火、風、土、氷。」
「なんだ?鎌をひと振りでいち、にぃ、さん、、、、、」
「何体一気に倒しやがる。」
「やっぱりぶっ飛んでやがる。」
宮下が嘆くのも無理はない。
彼がゴブリンと対峙する際、セオリーを忠実に守って戦う。
ゴブリンは集落の様な物をつくり、単独行動はせず、3体ほどのグループで動いている。
一体ずつ引き離して順番にやっていく。
ゴブリン自体それほど攻撃力も素早さも無いため割と討伐がしやすいのだ。
よってEランク。
なお、魔物の中にある魔石を回収してギルドへ持ち帰ることにより報告としている。
しかし集落を落とすとなると話は別だ。
ゴブリンキング。
こいつの出現により依頼のランクはBへとなる。
少し陽が傾き始めた頃。
ギルドへと足を運ぶ2人の姿があった。
「シュナさん。こちら依頼の完了報告です。」
ドサッっと袋をカウンターに置くダウラ。
魔石がおおよそ150は入っているだろうか。
「な、な、な、なんですかこれ?!?!?」
「何って。ゴブリンの討伐完了報告ですよ。」
「集落を3つほど壊滅させてきた。」
当たり前のようにヒイラギが言う。
「集落を?!?!? 3つも!?!?!?」
ザワつき始めるギルド内。
無理もない。
今日登録したばかりのFランク冒険者と、対してこれまで目立った活躍はしていなかったDランクがとんでもない成果を上げてきたからだ。
騒ぎを聞きつけたヴァルカスがやって来る。
「シュナ。一体なんの騒ぎだぁ?」
言いかけたヴァルカスは、それに気付く。
カウンターに置かれた魔石。
そこに立つヒイラギとダウラ。
全てを理解したようだ。
額に手を置き項垂れる。
「お前らなぁ、、、、、、。」
「もう少しやり方ってのがあるだろぉ。」
その様子をみてニコニコしているリリィ。
数日後、自分もそこに立っている姿でも想像しているのだろう。
少しお灸を据えられながら日々を過ごしているヒイラギとダウラ。
そして疲れきった様子の受付嬢。と、ニッコニコのリリィ。
アニマのヒイラギとしての。
ダウラのヒイラギの配下としての。
そして。
リリィの冒険者としての。
3人の止まっていたであろう、時計の針が。
再び。
動き出す。
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では、また次回。




