ep.14 トシノリ・ミヤシタ
1週間後の旅の始まりに向け。
ヒイラギ、ダウラ、リリィ、各々が色んな思いを馳せながらその未来に向かって動き出そうとしている。
そしてもう一人。
傍観者になった宮下。
この男。とんでもない。
傍観者になってしまったことをたったの数時間で受け入れてしまった。
それどころか、なんだか楽しそうにしている。
どんなメンタルしているのやら。
ここで、宮下について少し話しておこう。
いや、宮下自身に語ってもらうのがいい。
、、、、、、、、
宮下???
宮下さん??
みーーやしーーーたさーーーーん??
、、、、、、、
おいゴルァ宮下!!!
ビクッ!!!!
俺の名前は【宮下 俊紀】
ブラック企業に勤務する40歳。独身。童貞。
まぁ今はヒイラギとして異世界転生したはずが何も無いところで、俺、、だったヒイラギを見つめている訳だが。
前世はあまりにも窮屈だった。
だから、異世界に転生してのびのびと冒険者をやっていた自分は結構、充実していたと思う。
40歳にして平社員。会社内でもモブ。
尚且つブラック企業ってんだから溜まったもんじゃない。
え?なんで辞めなかったのか?
そりゃー辞めたところで、俺を採用してくれる会社なんてどこにも存在していないからだよ。
そんなしがないおじさんにも趣味はいくつかあったんだ。
アニメ、ゲーム、プラモ、映画鑑賞、釣り。
その中でも花を育てるのが好きでね。
花は色々な表情を見せてくれるんだ。
室内に自作の専用飼育ハウスを作っていてね。
夜遅くに帰ってきても彼ら、彼女らが俺を癒してくれるんだ。
まぁ花のことを語りだしたら2週間ほどかかりそうなので花の話はおいておこうかな。
異世界転生に至ったあの日の事を少し、語らして貰うとしよう。
あの日は忘年会だったんだ。
翌日も仕事があるのにだぜ?
休みの日の前の日にやれってんだ。
まぁ、俺は翌日の仕事に支障がでまいと、お酒を呑むペースは控えながら飲んでいたんだ。
そこで、後輩に絡まれた。
「宮下さーーん、のんれますかぁ?」
俺の特技は気配を消すこと。
まぁカッコよく、ステルス!とでも言わせてくれ。
飲み会の場などで端に座り、自分はここにはいませーん。関わらないでくださーい。みたいな雰囲気を出すのが上手だ。
しかし、その日は何故かバレた。
絡んで来た相手は橋本 美紀。
入社3年目の25歳。
これがまた可愛いんだわ。
そしていい匂いがする。
こっそりくんかくんかしちゃうぐらいだ。
気持ちが悪いだろ?
大丈夫、自覚はある。
「あっれー?れんれん飲んれませんかー?」
かなり酔っているようだった。
こんな、ザ・窓際社員で見た目も残念なおじさんによくもまぁ、絡んでくるなぁと思っていた。
可愛いなぁと思っていた俺は絡まれたこと自体は満更でもなかったんだよ。
普段、職場では気が効いて優しく、仕事を覚えてからはメキメキと力を付けている。周りの社員からも一目置かれている。
そして、俺にも優しく接してくれたり、分からない事を聞いてくれていた。
まぁ社会人なのだからごく当たり前の事なのだが、女性に対して免疫がない俺は、それだけでいいなぁーと、思っていたんだ。
彼女でいろいろ妄想もしたさ。
ああ、何が悪い。
そしたら彼女が突然こんなことを言って来た。
「宮下さんはぁー?なんれそんらに仕事出来ないんれすかぁー?」
「オマケにぃー臭豆腐みたいな匂いするひぃー」
「わからないことをー、先輩に聞いたらあー
宮下さんに聞いれこいってゆーんれすよー」
「ひどくないれすかぁーーー?」
「おい、橋本!飲みすぎだ。」
「宮下。すまんな。」
部長が宮下を止めに来た。
「宮下さぁーん?何とか言ってくらはいよぉ?」
「無視れすかー?」
「もぉー、ひどーーーい。」
いや、酷いのは今のお前だよ。
本人にそれを言っちゃだめだろ。
というか、俺って臭豆腐みたいな匂いを職場内に漂わせていたのか?
ショックだったよ。
俺は酒を煽り散らかした。
そこからの事は覚えていない。
気付けば知らないベッドで寝ていた。
当然知らない。
なんせこの時には既に異世界だからな。
目が開くと同時に酷い頭痛におそわれたよ。
あの日の記憶が断片的にフラッシュバックする。
そこで理解したんだ。
繰り広げられるフラッシュバックの1つ。
俺はシャンプーを一気の飲みして死んだんだと。
馬鹿げている。本当に馬鹿げているよ。
もう、死にたい気分だったさ。
まぁ実際には死んだんだけど。
ああ。それと、借りていたDVDがあったんだが、延滞料金ってどうなるんだろうな。
フラッシュバックが終わると自然と頭痛も消えていたんだ。
そこで自分が生きていることに気づき慌てて鏡をさがした。
鏡を見て飛び跳ねて喜んだよ。
ブラック会社からの解放、過去の自分との決別。超絶モテそうな見た目。
すぐに転生したんだって確信したさ。
疑わないあたり、俺らしいといえばらしいが。
そしてこの異世界では何をするにも自由。
実際の所、最初は色々と試していたさ。
ファイヤーボール!とかいいながら出ない魔法の練習をしてみたり。
商人もいいなと思い色々な店を回ってみたり。
そこで、たまたま入ったギルドでシュナちゃんを見かけたたんだ。
もうね!衝撃が走ったよ!
雷に打たれるとは、このことか!と。
そこで冒険者になる事を決めたんだ。
あぁーシュナちゃーん。
ぶつぶつ。
ぶつぶつ。
けどリリィちゃんも。
ぶつぶつ。
、、、、。
どうやら宮下の妄想モードが始まったようだ。
このモードに入ると彼はしばらく帰ってこない。
しかしながら宮下にもたまには出演してもらわなくては。
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拝読いただきありがとうございました。
では、また次回。




