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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.13 エイデース

シュナとリリィが退室した部屋では

3人が次なる話を始めているようだ。


「ところでヒイラギぃ。

さっきリリィに使ったあれ。なんだっけか?

アイドンシースルー?だっけかぁ?

ダウラにもそれが使ってあるんだよなぁ?」


「アイドロン・シースだ。」

「あぁ、もちろんダウラにも使用しておる。」


「そんじゃまぁーそれ、解いて見せてくれ。」


「あぁ、いいだろう。約束だからな。」


昨晩、2人の間に何らかの約束があるようだ。



ヒイラギがダウラにかけていた術を解く。


現れたのたのはあの時のダウラ。



その姿を見るやいなや一瞬にして

臨戦態勢をとるヴァルカス。

本能がそうさせたのだろう。



「ダウラ。」

「お前はぁ、、、魔族か?」



いつ攻撃が来ても良いように臨戦態勢だけは崩さないヴァルカスがそう聞くと、ダウラはかなり怪訝な面持ちになり答える。


「魔族、、、と?」

「ヴァルカスさん。冗談は寝てから言ってくださいね。あんな下等な種族と一緒にされては心の底から怒りが湧いてしまうではありませんか。」



ヒイラギの術が解けている今のダウラはより禍々しくおぞましい見た目でそう答える。


1歩退いてしまうヴァルカス。

それほどまでにダウラは異形なのであろう。

そして、ダウラからの怒りを感じ取ったヴァルカスは本能的に間合いをとったのであろう。



「魔族ではないのか?」


ヒイラギもその見た目から魔族と判断していたようだ。



魔族とはこの世界に存在する種族。

魔王シキの元、人間を滅ぼそうとしている。

魔境と呼ばれている場所に城、拠点を構えており、リシオ王国があるデウギミ大陸からは北東の、かなり離れた場所に位置し、周りには大陸はおろか島国さえないと言われている。


言われている。と言ったのはこちら側から魔境へ出向くことは無いからである。

ただ、その魔境と呼ばれる場所も元々は人間が暮らしていた地であったとか。


「ヒイラギ様。」

「私は【エイデース】冥族です。」



「おとぎ話かと思っていたわぁ。

驚きすぎてなんて反応をしたらいいんだぁ?」

「ヒイラギといい、ダウラといい。」

「お前らぶっ飛んでるなぁ。」


先程までの臨戦態勢は解け、大声でガッハッハッと笑い飛ばすヴァルカス。



【エイデース】

冥王ハデスを王とする。

この世界には無い、別の所に住む存在。

冥族。

今いる、この世界とはゲートと呼ばれる物で行き来をするらしく、冥族に出会ったとされる者は過去の文献ぐらいでしか確認できていない。

魔族と容姿が似ていることから見分けが付いていないだけなのかもしれないが。


魔族と冥族の見た目的な違いは明確にあるようで、それは翼だという。

魔族の翼は、今のダウラのそれと見た目は同じ、広げても両手を広げたよりやや大きい程度。

しかし冥族の翼はと言うと、広げた時の大きさがかなり大きいようだ。

想像するなら大天使が天から降りて来た時に、デカデカと翼を広げてるあれ。



一通りの説明を聞いたヴァルカスが尋ねる。


「ダウラぁ?それ広げて見せてくれねぇか?」


ダウラは苦笑する。


「いいですけど、この部屋無くなりますよ?」


「それはぁ困る!やっぱ無しだ!!」


くくっと笑うダウラに、たじたじのヴァルカス。

冥族について。ダウラ自身について。

いろいろと談笑を混じえながら話す2人。




そんな2人の話を聞きながら優しく見守っている様子のヒイラギ。


この2人の相性はかなりいいのでは?

と思いながら時は流れていく。


ヒイラギが話に入らないのは何かを知っているからなのか、はたまた入らない理由でもあるのか。

まぁ、あるとすれば、のちに一緒に旅をするダウラに聞きたいことを聞く機会などいくらでもあるのだから。と、いった所か。




1週間後にリリィを迎え入れるべく、未来への時計の針が動き出した。

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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