ep.12 シュナ・フリージア⓪
カツっ。カツっ。というヒールの音とともに
談笑する声が階段の上から徐々に近づいてくる。
ギルドのカウンターフロアに降りてきたシュナとリリィ。
「ちょっとみんないいかな?」
皆に声をかけるその時、丁度ギルドの受付カウンターに冒険者の姿はないようだ。
そう声をかけ、ギルドの受付嬢を集めるシュナ。
【シュナ・フリージア】
リシオ王国ギルド シブルク支部所属
ギルドカウンター チーフ
27歳。独身。彼氏無し。
後者ふたつはいじらないように。
命が欲しければ。
受付嬢のなかでも美人と噂の彼女。
まぁ実際の所、美人で間違いない。
腰よりやや上くらいであろう青い髪を首元あたりで束ねている。
美人とは関係ないのだが大きい。
そりゃーめちゃくちゃに大きい訳ではない。
でも、でもだ。大きい。何がとは言わない。
シブルク支部では4人の受付嬢をまとめあげるチーフといった立場。
シュナを含めると5人の受付嬢が働いている。
それと事務方のリリィ。計6人だ。
当然、冒険者からの人気も高く
まぁいうところギルドのアイドル的存在と言った所か。
それに付け加えて仕事も完璧。
シュナは冒険者に対して的確な依頼を提示する。
つまりだ、その冒険者には向いていない、もしくは依頼達成不可能と判断をすることに長けているのだ。
なんと、シュナが提案、許可したクエスト成功率100%
シュナの教えを無視した結果のクエスト成功率18%
後者は、まぁなんらかの運がかさなり成功した程度。
シュナが担当した冒険者は自ずと自分の実力を測れる様になる。
カウンターへ持ってくる依頼も自分に見合った依頼書を提出する様になるのだ。
仕事も完璧にこなす才女だ。
数年前、ヴァルカスが突然連れてきた少女。
そう、リリィだ。
シュナはリリィを見るやいなや
モフモフ愛でだす。
何故に愛でられているのか分からないリリィも存外嫌そうにはしていない。
それからほぼ毎日のようにヴァルカスがリリィを連れてくるのだ。
少しづつ、人と接するのが大丈夫になったリリィにシュナが提案する。
まぁダメ元で、と少し不安な様子。
「リリィちゃん?
良かったら私と一緒にここで働いてみない?」
コクっ。
ぱぁっとシュナの表情が明るくなった。
リリィも照れくさいのか、もじもじしながらシュナに尋ねる。
「そ、、、それで、、、
何を、、、し、、、、したら、、
いい、、、、、、ですか?」
おいシュナよ。目がハートになっているぞ。
「今日からやってくれるの?」
コクっ。
「少しずつでいいからね?」
コクっ。
そして、シュナはリリィに出来そうな仕事を教えることにした。
ちょっとした雑務を教え、仕事を頼んだ。
それを覚えてしっかりとこなすのには
新人は最低でも3日。
覚えの早い子でも、1日半はかかる。
初めてだから仕方ない。
そういった仕事を与えたはずだ。
しかし、どうだろう。
リリィはものの5分で仕事を覚え、与えられた全てを2時間程度で終わらせてしまう。
そう、天才だった。
要領がいいとかそんな次元ではない。
もちろん煙草をふかしながら銃をかまえる大介でもない。
そして現在のリリィがこなしている業務。
雑務を含めるとかなりの量の仕事をこなしている。
その全てを覚えるまでに要した時間。
3日と45分。
バケモンだ。
「ちょっと訳あってね、リリィちゃんが退職することになったの。」
受付嬢一同の顔が一気に引き攣る。
無理もない。天才がやってきてくれていた仕事を自分達が負担する未来しかみえないのだから。
「リリィちゃん?1週間くれる?」
コクっ。
「みんな!引き継ぎ期間は1週間!
いい?気合いいれるわよ!」
「2人にはこれとこれ!お願いするわ。
それから、、2人にはこれ、、
ああ、あとそれから、、、、
うん、そうね!それなら、、、、
それがいいかも!、、それじゃあこれは?
うん、、、、ええ、、、、」
テキパキと仕事を割り振り
みんなを束ねる。さすがチーフ。
さすがシュナさん。
自分の天才っぷりに気付いていないリリィは
感謝と尊敬の眼差しでシュナを見つめていた。
果たして受付嬢の運命やいかに。
もちろんリリィも1週間後には新たな旅が始まる。まだスタートラインに立っていない。
これからスタートラインに立とうとしている彼女の背中を後押しするように、怒涛の引き継ぎデイズが始まろうとしていた。
おっと。そういえば言い忘れていた。
シュナは2つの秘密を隠している。
本人しか知らない秘密。
本当に誰も知らない秘密だ。
ひとつ、シュナはダヴルだ。
もうひとつ、、、これは後にわかる事となるだろう。
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では、また次回。




